↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/24

百合子の場合⑦



久しぶりにあの夢を見た。

2年前まではよく見た夢。


大きな川の向こうに、3歳くらいの男の子が立っている。

こっちをじっと見て、口を開く。



「ママ」

あなたは誰なの?


「ママ」

跳ねるような声色、可愛らしい響き。


「ママ」

ああ、泣きそうなほど苦しい。


「……」


川を渡り、彼を抱きしめたかった。

彼の名前を大きな声で叫びたかった。


だけど、それは叶わないこと。

だって、私は彼の名前を知らない。



「ママ、自分を責めないで」


こっちに来なくていいよ。

僕のことで思い悩まなくていいよ。

僕の名前を呼ばなくていいよ。


僕を抱きしめなくていい。


幼い男の子が、私に手を振る。

バイバイ、さようなら。


優しく暖かいその眼差しに、私は涙を流す。


さよならなんてしたくないのに。

それしか選択肢がなくて、苦しいほど切ない。


ごめんね、こんな私でごめん。


そこでいつも目が覚める。

決まって私の目尻は濡れている。


ああ、久しぶりに見た。



あの子にまた会えたことの嬉しさと苦しさで、暫くベッドから動けずにいたら。



「ゆ……り、こ」


微かな呻き声が廊下から聞こえた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。