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【完全版】義母が私を殺そうとします  作者: 樹


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第5話:世界一ズレた神の母と、永遠のハッピーエンド

魔獣軍団をペットにしてから、さらに数年。

私は学園を首席で卒業し、ついに十八歳の成人式を迎えることになりました。

この数年の間に、我がシルバ侯爵家は財政・魔術・武力のすべてにおいて国家の頂点に立ち、国王陛下からも「これ以上の功績を無視するわけにはいかない」と、ついに国家最高爵位である『公爵家』への昇格が正式に決定したのです。


「……フフ、アハハ、うふふふふふ。もう、何も怖くないわ」


公爵邸となった我が家の最上階で、お義母様、ルクレツィア様は、机の上にうず高く積まれた胃薬の空き瓶に囲まれながら、慈愛に満ちた(完全に悟りを開いた)笑みを浮かべていました。

頭の真っ赤なリボンだけは、まるで彼女の最後の魂の灯火のように、優雅に揺れています。


(公爵家よ。ついに我が家が、この国の最高権力になっちゃったわ。でも、これが最後のチャンスよ。今日の成人式の夜、あの子の祝杯に、我が実家の禁忌の書に記された、全次元の神々を激怒させて世界を滅ぼす呪いの儀式『終末のパンドラ』の術式を刻んだわ。あの子がグラスを掲げた瞬間、天から神の雷が降り注いで塵一つ残さず不慮の事故死を迎えるわ。さあ、世界を巻き込んで、あばばばばば!)


お義母様は、自分の命すら投げ打つ覚悟で、世界を滅ぼす最終暗殺計画を完了させていました。

そして始まった、盛大な成人式のパーティー。会場には国王陛下をはじめ、マブダチのエリザベスちゃん、第二王子、そして死の森の魔獣たちまでが礼服を着て大集結していました。


主役である私が、お義母様が用意してくれた豪華なグラスを手に取ったその瞬間、私の頭の中に、これまでで最も巨大なゴールドの脳内カンペが鳴り響きました。


『おっ、ついに最終ボスイベント発生だね! お義母様、君への愛が大きすぎて、全次元の神々をこの会場に招待する「超次元ゴッド・ウェルカム儀式」を起動しちゃったよ! 今ここでグラスを掲げて感謝を叫ぶと、天界の神々がみんな君のファン(信者)になって、永遠の祝福を授けてくれるよ! さあ、お義母様へ最高の感謝を!』


「なるほど! お義母様、世界中の神様まで呼んでくれたんですね!」


私は満面の笑みを浮かべると、グラスを高く掲げ、会場の全員に向かって大声で叫びました。


「皆様! 私が今日こうして最高に幸せな成人式を迎えられたのは、私が何をしても、いつも裏で命がけの素晴らしいサプライズ(暗殺)を用意して、私を導いてくれた、世界一優しくて美しいお義母様のおかげです! お義母様、大好きです!」


その瞬間、ゴゴゴゴゴ……と天地が激しく鳴り響き、屋根を突き抜けて聖なる黄金の光が降り注ぎました。

あまりの光の強さに、お義母様は「ついに神の怒りの雷がきたわ!」と勝ち誇った笑みを浮かべました。


しかし、光の中から現れたのは、破壊の神ではなく、涙をボロボロと流して感動に震える天界の神々の姿でした。


「おお……なんて美しい母娘の愛だ……!」

「冷酷に突き放すフリをしながら、娘を国家魔導師に育て、魔獣を手懐けさせ、ついには神の領域まで引き上げたというのか……!」

「ルクレツィアよ、お前こそ全次元が認める、真の『聖母ゴッド・マザー』だ!」


神々はそう叫ぶと、お義母様の頭の上に、眩いばかりの『聖母の光輪エンジェルリング』と『純白の翼』を強制的に生み出しました。


「な、ななな……なによこれぇぇぇぇ!?」


お義母様は悲鳴を上げましたが、その体からは一切の邪気が浄化され、触れるだけで人々の病を治す本物の聖母の魔力がドバドバと溢れ出してしまいました。

(暗殺よ!? 私はあの子を殺したかっただけなのよ!? なんで世界を滅ぼす呪いで神々が味方について、私が宗教画に描かれるレベルの聖母として世界に崇められることになってるのよぉぉぉ!?)


そこへ、お父様や領民たち、さらには国王陛下までがドタドタと駆け寄り、お義母様の前に一斉に跪きました。


「ルクレツィア! 君が我が家に嫁いできてくれたあの日から、すべては君の計算通りだったんだね! 我がシルバ家を公爵家に押し上げ、娘を神の愛娘にし、世界に平和をもたらすなんて……! 君は世界一の妻であり、最高の母親だ!」


「ルクレツィア公爵夫人、いや、我が国の守護聖母よ! 万歳! 聖母ルクレツィアに永遠の栄光あれ!」


会場全体から地鳴りのような「聖母! 聖母!」の大歓声が巻き起こります。

お義母様は、自分が仕掛けたすべての悪意を、シルフィアの無敵のポジティブ脳によって完璧な「愛」へと100%変換され、人類からも神々からも逃げられない『絶対的な聖母』として永遠に祭り上げられる現実を悟りました。


――もう、どうあがいても、この子には勝てないわ。


お義母様は静かに涙を流し、ついにすべての暗殺計画を諦め、ハァと深く長い、幸福に満ちた(諦めの)ため息をつきました。


全ての危機回避が完了しました。

シルフィア、およびお義母様は【世界の救世主】として神格化されました。

お義母様の胃:完全に浄化され、もう胃薬は必要ありません。

これより、永遠のハッピーエンドへと突入します。


「お義母様、これからもずーっと一緒においしいスープ(猛毒)を飲ませてくださいね!」


私が純白の翼が生えたお義母様に満面の笑みで抱きつくと、お義母様は優しく、そしてちょっぴり引きつった笑顔で、私の頭をそっと撫でてくれるのでした。

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