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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第83話 しつこいお友達

「アタシも訊きたいことがあるんだよ」


「……帝国で多発している魔物の異常繁殖事件のことか? 」


 と、ジェロームがカミラに訊き返す。

 どうやら、カミラが帝国の人間であるということを知っているようだな。カミラのことは、ハンター内で共有されているのだろうか。


「随分と、話が早いじゃないか? ってことは、テメェの仕業か」


「ああ。取引の対価として、帝国内でテロを起こすことになっていた。その代わり、ドラゴンの譲渡について、金銭を支払う必要は無かったということだよ」


 金銭の支払いが不要な代わりに、テロ事件を引き起こせということか。この事件は、まだ解決に程遠いようだな。

 

「アタシは現場で魔族を捕らえているんだよ。全員、目を赤くしやがってた。で、これはどういう事なんだ? 」


「連中は気前良く、手足になる魔族を提供してくれた。だから、実行犯は魔族にすることができたわけだ」


「なるほどねぇ……」


 つまり、全体的に見ればジェローム自身も手足に過ぎないということだ。ジェロームに接触したという魔族が何者なのか、それを追及するとしよう。


「ところで、ユウムさん。貴方に接触した魔族は、自分の立場を明かしたんですか? 」


「……ガゴル団だと言っていたな。ゾラン公国との協力関係を築きたいと言っていた」


 ガゴル団だと!? 

 確かに、実在する武装集団であり、主な活動地域は魔族諸国内のはずだ。もし仮に、ゾラン公国などにも活動範囲を広げたのであれば、趣旨に反しているような気もする。


 いや、ゾラン公国が誕生した経緯を考えれば、ガゴル団との相性は良いのかもしれない。


 それに、ガゴル団が黒幕と言うのも、動機から見ればあり得る話だ。少なくともレゲムーク王国に対して強い恨みを持っている集団であるのは間違いないからである。


 俺があっちに居た頃はその可能性を考慮して、虱潰しらみつぶしにガゴル団の活動拠点を潰していたのだがな。


 息を吹き返してしまったのだろうか……。


 まあ、単に名前を騙っただけという可能性もあるが。


「そうですか。確かに、ガゴル団と名乗ったのですね? 」


「ああ。ガゴル団を名乗った奴は、このバッチと手足を、そしてドラゴンを提供してくれたわけだ」


 なるほど、星形のバッチはガゴル団の階級を表すものだったのか。以前・・のものとは違うようだな。


 さて、当初はガゴル団も多数の戦闘用ドラゴンを保有していた。

 俺がその殆どを壊滅させたわけだが、ノウハウは残っているはずだ。そのため、ドラゴンを管理することは出来るだろう。


「ここで、繋がるとはな。帝国内で捕らえた魔族の連中も、自白こそしなかったが、ガゴル団という集団の構成員であることが判明した。いやぁ、まさかここまで判るとは思ってもいなかったねぇ? 」


 と、カミラが言った。

 

「ガゴル団は末端の構成員を俺に預けた。だから、帝国内で事件を起こしたのも連中だってことにもなる」


 そう繋がるわけか。

 まあガゴル団にしても、今現在、名実共に魔族諸国と戦争中である帝国内でテロ事件を起こす理由はある。


 しかし、ゾラン公国の一部がガゴル団と手を組んで帝国内でテロを起こしたことになる。

 レゲムークどころか、帝国とも戦争になりかねない。


 まさか、ガゴル団は非魔族の国家同士の対立を煽ることが目的なのだろうか? 


 可能性は充分あり得る。直ぐに上司に報告しなくはならない。

 


 だが、俺は上司に報告する前に死んでいるかもしれないな。


 気配こそ感じさせなかったが、今まさに堂々と現れた集団から、逃れられる自身は無いからである。



「情報収集は済んだかね? 」


 と、1人の黒装束が言う。


「ずっと、見張っていたのか? 」


 そう言って、ギーナが直ぐに臨戦態勢を整える。

 連中のことならあり得そうだ。俺たちがこのアジトにやって来た時から、ずっと見張られていたのかもしれない。いや、≪扉≫に入る前からか……。


 やはり、気配を感じさせない相手は厄介だ。


 幸いなのは、俺たちが3人で行動していたことだろう。


「噂の黒装束とやり合えるなんてねぇ? 楽しそうじゃないか」


「用件は何だ? 」


 ジェロームを攫うのか、それとも俺を含めて皆殺しにするのか。

 いずれにせよ、思い付くのはどれも不吉なことだけだ。


 だが、黒装束姿の連中は俺の問いに答えることは無かった。

 凄まじい速さで迫って来る。

 

 狙いは、ジェロームだ。俺は直ぐにジェロームを庇うために動いた。ふと、以前の戦闘では俺に向かってきた際に、エリンが庇ってくれたことを思い出した。つい最近の話だが、懐かしく感じる。


 さて、ギーナやカミラも、それぞれ応戦しているようだ。


 3度目の正直と言ったところだろう。しかし、有効打は俺にない。ここは防御に徹し、攻撃はギーナやカミラに任せる他ないだろう。


「俺は防御に徹することしかできない。後は2人に任せた! 」



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