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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第80話 重要参考人


 数十もある気配。

 その殆どは、ドラゴンだった。


 ここは、ドラゴンの厩舎と言えば良いのだろうか……。


 ただその他にも、重要な事実が判明した。それは、多くのオークがいることである。オークの異常繁殖についての手掛かりも、あるかもしれない。


「これだけのドラゴンが居るとは……」


 ギーナも、口調からして驚いているようだ。しかし、俺たち3人からすれば、ここに居るドラゴンを殲滅することくらい容易いことだろう。


「あそこにいるの、全部吹っ飛ばして良いか? 」


「そうだな。俺も急襲をかけたいと思うのだが……」


 まだ、誰が使役しているドラゴンなのかは判らないが、放っておけば危険なことには変わりない。少なくとも、ドラゴンは倒してしまっても良いだろう。


「2人がやる気なら、私も反対はしない」


 ギーナも賛成のようだし、ここは手際良くやってしまうか。


「わかった。ではカミラ、早速頼めるか? 」


「おう。任せときな」


「ただ、なるべくドラゴンだけを一定の場所に引き付けて欲しい」


「わかったよ。後のことも考えろってことだろ。じゃあ、行ってくるぞ」


 カミラは、そう言って走り出す。

 数秒もしない内に、大きな爆発音が起こった。


 俺とギーナも、比較的攻撃しやすい場所に移動した。


 ドラゴンは、一斉に攻撃態勢を整えて、カミラを標的に動き出した。しかしカミラの素早い動きに、中々対応できない様子だ。決して大型ドラゴンという訳ではないが、カミラという1人の人間と比べれば、体格は大きい。そのため、小回りが利かない分、後ろに回り込まれてしまうのだ。


 カミラは、一体ずつ着実にドラゴンを倒していく。同時に、うまい具合にドラゴンの群を誘導している。


「ギーナ、準備が出来たら言ってくれよ」


「わかっている」


 そして俺も、なるべくギーナから離れないように注意しつつ、付近にいる敵を倒す。

 いくらカミラが引き付けているとはいえ、警戒のためか積極的に動かないドラゴンも数体いる他、武装した戦闘員もいるからだ。


 もちろん戦闘員はなるべく殺さないよう、手加減している。

 

 1人の男が現れた。

 剣を手にしている。


 雰囲気からして、他の戦闘員とは違うようだ。リーダーや幹部と言った立ち位置の者かもしれない。それに星型のバッチを3つ付けている。


「全く。あの魔族共、誘導に失敗しやがって」


 男は、そう愚痴をこぼした。

 先ほどの魔族の集団と、それを追いかける黒装束姿の連中のことを言っているかもしれない。


「大人しく投降してもらおうか? 」


「大人しく投降するはずが無いだろう? 」


 ごく狭い範囲だが、周りに気配は感じられない。だが、安心できるわけでもないし、速攻で決めてしまおう。


 俺は、まず男の持つ剣を対象に波動魔法を放った。ほぼ同時に、今度は男自体に波動魔法を放つ。


 2つとも、効かなかったようだ。


 驚いている場合ではない。既に俺は走り出している。カミラほどでは無いにしろ、この拳でぶっ飛ばせば良い。


 だが駄目だ。

 直ぐに、思考を変える。


  

「貴様が、国家憲兵隊の……」


 男は、そう呟き剣を振りかざす。

 ちょうど、俺の首に当たる位置だったのだろう。もし、このまま突っ込んでいれば、首から下とお別れしていた。しかも、ここで波動魔法を放っても無意味だったに違いない。


 だから、俺は立ち止まったのだ。

 それも絶妙な位置で。


 男の持っていた剣が、空振りする。


「なるほど、アーカジの懐刀と言われることだけはあるようだ。戦場での経験か、咄嗟にいくつもの判断ができるようだな? 」


「褒め言葉に返してやるものはない。大人しくしろ。できれば殺したくないんでな」


 殺してしまえば、情報収集に影響が出る。


 


「ボルスト捜査官! 準備は整ったぞ」


 と、ギーナの叫ぶ声が聞こえて来た。

 

「カミラ、下がれ! 」


 条件反射的に、俺もそう叫ぶ。

 数秒もしない内に、光線がドラゴンの群れを襲った。


「ギーナ殿下!? 」


 ドラゴンが消滅することよりも、今男が言い放った言葉の方が重要だろう。


「ギーナのことを知っているようだな? 」


 しかも、殿下という敬称をつけていた。

 まず、この男がハンターの関係者である可能性が浮上した。そして同時に浮上したのは、ギーナが王族などの高貴な身分の者であるという可能性である。


 さらに言えば、ハンターがゾラン公国の何らかの機関かもしれないと言うことだ。


 それも暗部として。

 

 上司のあの時の命令が、現時点でも有効だったとすれば、彼は喜んでいたはずだろう。


「……」


 すると、足音が聞こえて来たのであった。

 それとは別に、カミラもこちらへ向かってきている。


「どうして、お前がここにいる! 」


 ギーナの声だった。

 俺に対するものではない。目の前の男に対してのものだ。


「殿下……。これはゾラン公国のために必要なことなのです」


 と、男は言う。

 

「あのドラゴンがか? 」


 ギーナの口調は、とても冷たい。


「……殿下! ドラゴンの配備をすることによって、ゾラン公国軍の大幅な戦力強化になります。このチャンスを逃してはいけません」


 確かに、ドラゴンを使役すれば強力な戦力になる。

 

 スケルトンの異常繁殖も考えると、魔族ではない一部の人間も、魔物を使役することについて、組織的に実用化を図っているようだな。


 ここまでの流れを考えると、それはハンター、もといゾラン公国ということになる。


「それで、ドラゴンはどこで捕まえたのだ? まさか、誰かと取引をしたのでは無かろうな? 」


 ドラゴンを、しかもそれを数十体も捕まえるなど難しいことだ。考えられるのは、魔族から譲り受けたということだろう。


「国のため、仕方のないことです。私は、汚れ役を引き受けられたことが、とても幸せです」


「汚れ役とは何だ? 」


「ま……魔族と取引を行いました」


 ついに、吐いたか。


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