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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第79話 一方ソドたちは


「ったく。あいつ、どこ行ったんだよ」


 そう悪態をついたのは、ソドだった。

 一度解散し、それぞれ自由行動を取るという話になっていたが、ソドは明日の事で多少の打ち合わせをしたいと思い、皆を呼び集めたのである。


「ちょっと、帰って来るの遅いよね。いかがわしい店にでも行って、そのままお泊りとか? 」


 と、アンナも少々不機嫌な表情を浮かべて言う。


「あいつの事は、よく知らないから何とも言えないけど、その可能性もあるかもな」


 ソドとアンナの2人は、勝手気ままなイゴルに苛立ちを覚えた。

 一方で、早くもその個性を受け入れようという流れに、意識が変わってきているのも事実だ。


 そんな2人を前に、ソフィナだけは違った。


「恐らく、イゴルさんはオークの異常繁殖を調べに行ったのでしょう」


 と、ソフィナは推測する。


「おいおい。まさか1人でか? 」

「……嘘でしょ」


 唐突なソフィナの発言に、ソドとアンナは互いの顔を見る。言葉では語らずとも、相談しているのだ。一体、ソフィナは何を言っているのかと。


「でも、確かにイゴルって単独行動が好きだし、そうかもしれないけどさ……」


「ああ。ハンターに関する調査も独自にしてたって聞くけど、流石に夜遅くに動くことは無いんじゃないか? 」


「いえ、イゴルさんなら、そうするでしょう」


 ソドとアンナは半信半疑だったが、はっきりと言うソフィナを前に目を見開いた。今まで見せてきたソフィナの態度とは、まるで別人のように感じたからだった。


「あまりこういう事は言いたくありませんが、私たち3人はイゴルさんにとって、お荷物なんですよ」


 と、ソフィナは容赦の無いことを言う。


「お荷物……? 」


 と、ソドが声にする。

 その声は、とても小さなものだった。


「イゴルさんは、ドラゴンを1人で倒せるくらいなのですよ? 私たちと一緒に行動するくらいなら、単独行動を選ぶのは必然です」


「遊撃とか言ってたのって、そういうことだったんだね。まあ、それもそうか。戦力差がある者と一緒に行動したくないだろうし? 」


 アンナは、不機嫌そうな表情を浮かべつつも納得した様子を見せた。


「……ソフィナの言いたいことは判った。だが、オークの異常繁殖について、一体何を調べるんだ? たかが魔物の異常繁殖だし、全部倒せば良いだけだろ」


「恐らく、イゴルさんはハンターの関与を疑っているのでしょう」


 と、ソフィナが言う。

 彼女は、一定の情報を得た上でそう言っているのだ。もちろん、彼女に情報を流しているのはギーナやその部下たちである。


「おいおい……。よりにもよって、ハンターが絡んでるっていうのか。確かに、オークの討伐に消極的だったしな」


「言われてみると、イゴルって意味不明な行動取ってたよね。昨日の一件だってさ、突然1人で走り出して居なくなったわけじゃん? 」


「だが、命を狙われているみたいだしな……。もしかして、あいつも余裕が無くなってきているんじゃないか? 」


「そうかもね。命が危ないと判ってるんだし……」

 

「なあ、俺たちもイゴルの後を追うか? 」


 ソドが、そう提案した。もし、イゴルが危機的な状況にあるなら、助けてあげたいという純粋な気持ちからだった。


「いえ、今日はこのまま休みましょう。イゴルさんのことですし、滅多なことは無いでしょうから」


 しかし、現実はそう甘くない。

 そのことを、よく理解した上での発言だ。仮に、イゴルでも太刀打ちできない相手が現れたのなら、ここに3人が駆けつけたところで犬死するだけであると、ソフィナは考えている。


 とはいえ、ソフィナからすれば希望もある。それは、イゴルが運よくギーナと合流できるかもしれないということだ。


「だが、ハンターの連中が束になってかかってきたら、流石のあいつも太刀打ちできないんじゃないか? 」


「イゴルさんなら大丈夫です。彼の特技に、逃げ足もあるのですから」

 

「とりあえず、アタシはソフィナの言うとおり、明日の朝まで様子を見たいな。そもそも夜間に街を出て行動すること自体、危険なことだしさ」


「わかった。今日は休むとしよう。明日の朝、イゴルが戻ってこなかったら、その時また考えよう」


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