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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第78話 2つの勢力

 俺を含めて3人とも、互いに見える位置にある木に登ったため、簡単なジェスチャーで意思表示を行いつつ様子を窺った。


 そして、集団が現れた。

 動きを見るに、何かから逃げているようだ。つまり、俺たちを発見して向かってきたわけではないことになる。


 今走り去った集団だが、それぞれの目は赤く光っていた。

 魔族であることの、何よりの証拠だ。


 そんな魔族は、一体何から逃げているのだろうか……。


 少なくとも先ほどの集団を追うような、何かしらの気配は感じられない。


 もう少し、様子を窺ってみよう。


 俺は、なるべく伝わるように2人にジェスチャーを送った。まだ降りるなという合図である。


 

 判断は正しかったようだ。

 案の定、黒装束姿の連中が現れたからである。状況からして十中八九、先ほどの集団を追っているのだろう。


 つまり、黒装束姿の連中は魔族の集団を追っていることになる。


 そして合図を送る。もう降りて良いと。



「やはり、黒装束姿の連中もこちら側に来ていたようだな」


 と、ギーナが言う。

 ≪扉≫に辿り着くまでに、黒装束姿の連中と接触することは無かったわけだし、こちら側まで来ているという推測は当然だ。


「そして、黒装束姿の連中が魔族の集団を追っていたわけだ」


 あの魔族の集団が、ハンターと繋がりがあるということなのだろうか。


「で、どうするんだ? アタシたちも戦闘に加わるのか? 」


「カミラの気持ちも分かるが、それよりも、俺としてはこの地の調査を行いたい。そもそも、ここがどこの国の領土なのかすら判っていないわけだしな」


「ボルスト捜査官。それは、趣旨から外れると思うが? 」


「……ギーナの言うとおりだが、ここがどういった場所なのかを把握することも、何かあったときに有利になるかもしれないだろ。ただ、あくまでも2人の意見に従うつもりだ」


 俺が自己主張しすぎて、協力関係が危うくなるものよくない。


「ここが、魔族共の国かどうかを調べるなら、趣旨に反することはねぇ。そもそもこの女とお前、そしてアタシは調査の目的が微妙に違うしな」


「わかった。ならば、私もこの周辺地域を調べることに同意しよう」


「そうか。なら引き続き、俺について来て欲しい。どうしても確かめたい場所があるんだ」


 黒装束姿の連中の動向も気になるが、依然として残っている気配がある。数十人がずっと屯している場所だ。戦闘状態にある様子も無い。


「確かめたい場所? 」


 ギーナが怪訝そうな表情を浮かべて、そう言う。

 まあ、この地に初めて訪れた来た者が言うべき発言ではないし、こういう反応になるのは仕方ない。


「お前、この場所に来たことがあるのか? 」


 と、さらにカミラに訊かれる。


「判らない。森という性質上、記憶に残るものも無いしな」


 この場所が森である以上、仮に一度来ていたとしても、その位置関係を正確に覚えることは出来ないだろう。


「その割に、行きたい場所は決まっているわけだ。ってことは、まだ隠している能力があるのか? 」


 全く。

 勘のいい奴は、嫌いだ。

 

「まあ、そう言うことだ。……これ以上は、話すつもりはないがな。ここは、俺を信用してついて来てくれ。頼む」


 そう言って何とか2人を納得させた俺は、先頭を歩き進む。少し距離があるため、直ぐにその場所に着くわけではない。


「確かめたい場所は、少し離れた場所にある」


「へぇ。場所や距離も判るってか。便利な能力だな? 」


 この手の話になると、やはりカミラは興味を向けてくるようだ。


「便利なのは確かだが、精度は悪い。外れる可能性もあるから、そこは理解してくれ」

 

 少なくとも、感じ取れる気配については正確に場所や位置を把握できる。つまり数十人の集団が屯している地点も、正確なはずだ。そういう意味では精度が悪いというのは嘘になるが、気配を感じさせない者もいる以上、こう言っておいた方が良いだろう。


 現に、その1人が脇にいるわけだしな。


「なるほどな」


 と、ギーナが頷く。思い付く節があるに決まっている。


 それから、俺たち3人は先へと進んだのであった。


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