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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第72話 思わぬ共同戦線


「どうして、そこまで魔族が関与していると判るんだ? 」


「帝国内で、魔物の異常繁殖が多発している。それらを調べていたところ、魔族の関与が判明したってわけだ。だからこの山で異常繁殖しているオークも、魔族が絡んでいるにちがいねぇ」


 魔物の異常繁殖か。

 俺もここ最近で、これまでに2件の異常繁殖に出くわしている。1つ目はスライムの異常繁殖、そしてスケルトンの異常繁殖だ。


 後者のスケルトンについては、結局はっきりとはしなかったが、ハンターの関与が濃厚である。


「レゲムーク王国内でもつい最近、魔物の異常繁殖があってな。とあるテロ集団の関与が疑われているんだよ」


「そのテロ集団の名は? 」


「名称や組織の実態は不明だ。しかし巷では、ハンターと呼ばれている」

 

 すると、カミラの表情を変えた。


 どうやら、ハンターという言葉は知っていたようだ。まあ、帝国騎士団でも特殊な任務に就く立場らしいし、この程度は知っているのだろう。


「ああ、それならアタシも聞いているよ。ここ最近、レゲムーク王国内を騒がせている組織らしいな? 」


「ああ。俺はその線で追っている。まあ、あくまで非公式ではあるがな」


 一応、上司から個人的に調べる分には良いと言われているし、嘘をついたことにはならないだろう。


 一方で、黒装束の連中と交わした約束は破る形になっている。

 こちらについては、巧く言い訳を考えておかなければならない。


「ハンターは、魔族共の手先ってことだ。それなら辻褄は合う」


「いや、根拠に乏しいだろ」


 とりあえず俺はそう言ったが、ここ最近の流れを追ってみると、ハンターが魔族と関わっている可能性が無いとも言えない。


 特に昨日、シェヌロカの町で絡んできた男だ。

 あの男は魔族にしか使えないはずの瞬間移動らしき技によって、俺の目の前から消えた。それを見たソフィナは、ハンターでも一部の者にしか使えないと言っていたわけである。


 さらに、昨日接触したハンターの幹部を自称する女も、少なくともハンターの内部に瞬間移動が扱える者が居ることは認めている。


 何らかの方法で、魔族による技術提供があったのかもしれない。


 しかしながら、目下の懸念事項は何とかなりそうだ。

 それは、黒装束姿の連中に対する言い訳のことである。


 大カナリア帝国騎士団の特務総隊のメンバーと偶然会い、オークの異常繁殖に魔族が絡んでいる可能性があると聞き、そして調査を始めたということにすれば良い。


「根拠に乏しいから、それを調べるんだろ? 」


「まあな」


 会話は一旦途切れたが、俺は先へ向かって進む。カミラも俺から離れることなく、事実上2人で行動している状況だ。


 とりあえずカミラと戦闘にならずに済んだが、オークの異常繁殖にハンターや魔族が絡んでいるとすれば、この先で思わぬアクシデントに遭遇するかもしれない。気配を感じさせない者もいるわけだし、尚更注意が必要だ。


「さっき、ボワド市の冒険者ギルドへ行ってきたんだけどさ。オークの討伐依頼の依頼票が貼りだされてたんだ」


 唐突に、そうカミラが言った。


「ほう? 」


「だけど、依頼を引き受けた冒険者が相次いで行方不明になっているらしくて、今では誰も引き受けないんだとよ。結果、人員不足にもなっているみたいだしな」


「なるほどな」


 やはり、ボワド市支部の人員は不足しているわけだ。オークの一件で人員不足になったということは、かなりの冒険者が行方不明になったのだろう。


 ユウやミヤビの2人も無事だと良いが……。


「てっきり、お前は冒険者としてやって来たのだと思っていてな」


 だから絡んできたわけか。

 だが実際、俺は冒険者としてオーク討伐の依頼を受けている。カミラの推測も決して間違っているわけではない。


「冒険者っていうガラじゃないだろ? そもそも冒険者はパーティを組んで行動するのが、主流だしな」


「まあな。昨日も、間抜けな冒険者パーティが来てたから引き帰らせたんだ。この山は危険だ。もはや、浮かれた気持ちで来るような場所ではないからね」

  

「その割に、単独行動なんだな? 」


「それはお前も同じだよな? 」


 互いに単独行動ってわけだ。

 もしかして、似た者同士なのだろうか……。


 

 少しカミラに親近感を抱き油断しそうになった時、目の前に影が現れた。

 気配は感じられない。


「イゴル・ボルスト捜査官。昨日ぶりだな? 」


 声に覚えがある。

 女であって、確かに昨夜遭遇した者の声と同じだ。


「そして、帝国騎士団のカミラ・ゾーム卿は初めましてになるか」


 カミラの正体も知っているのか。

 

「テメェ、急に現れやがって。それに、アタシのことも色々知っているみたいだねぇ? 」


 カミラはそう言うと、女に殴り掛かった。その右手は虹色に輝いており、強い魔力が込められていることが判る。


 しかし、女はそれを避けた。

 元居た場所では大きな爆発が起こる。地面が抉れており、まともに喰らったら木っ端みじんになるに違いない。


「愚かな」


 女はそう呟く。


「カミラ、落ち着け。まずはこの女が接触してきた理由を聞くべきだ」


「ったく。わかったよ。お前は知り合いみたいだしな」


「で、今日は何の用だ? 」


「昨夜、お前はオークの異常繁殖にハンターが絡んでいる可能性を示唆したな? 」


「ああ」


 昨夜の段階では、女はそれを否定していた。


「だから、私もここへやって来たわけだ。一部の者が私の知らないところで勝手に動いているのではないかと、それを確かめるためにな」


「なるほど」


 まあ、とりあえずハンターの幹部を自称しているわけだし、話の辻褄は合う。


「実はな、一時的に協力関係を築きたいと思っている」


「……なんだと!? 」


 自称ハンターの幹部を名乗る女からの、思わぬ申し出。

 これは、一体何を意味するのだろうか。


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