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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第68話 頼み


 相手が本当にハンターの幹部かは判らないが、少なくとも気配が感じ取れないことから、只者ではないことは確かだろう。

 戦闘に発展し殺されたら、たまったもんじゃない。


 迂闊な行動は控えておこう。


「で、ハンターの幹部が、今さら何の用なんだ? お前らの捜査をするのは王宮騎士団と教会騎士団だ。俺は外された身なんだがな」


「むしろ捜査から外されたからこそ、接触したのだ。まあ、元々は我々と、レゲムーク王家や教会との争いだったわけだし、外されたのは当然の結果だろう。お前ら革命派の組織が介入したことで、ややこしい事態になっていたしな」


 つまり、当初から王宮&教会vsハンターという構図で争っていたと言いたいわけか。


「なるほど。本題を聞く前に1つ言いたいことがある。俺の認識では、元々ハンターを調査していたのは、冒険者ギルドだったはずだが? 」


「ふふっ。なら、アレクサンダー・バラデュールの奴が巧く誤魔化せたのだろう? 」


「何が言いたい? 」


 何だか嫌な予感する。

 アレクサンダー・バラデュール。俺の知る限りでは、冒険者ギルドの王都ムーク市支部の支部長だ。


「知らないのか? 奴は、レゲムーク王宮騎士団総長の側近の1人だ。大方、飼い主の意向で動いていたのだろう」


「……」


 思わず、言葉を失った。

 奴の言っていることが本当なら、冒険者ギルドによる調査は茶番だったということになる。その茶番に付き合わされて殺された冒険者もいるわけだし、心がざわつく。


「さて、本題を言おう」


「ああ。話は聞いてやる」


 俺に接触してきた理由だ。


「お前に一言お礼がしたいのと、頼みがあるんだ」


「頼みだと? 」


「ああ。まず、ソフィナを助けてくれてありがとう。彼女はハンターであるべき人物ではない。そもそも、本来居るべき場所があるからな」


 まさか、ここでソフィナの名が出てくるとはな。そして、あいつはただの一構成員では無かったようだ。


「それはどうも。で、頼みとは? 」


「今言ったとおり、本来ソフィナには居るべき場所があるわけだが、その上でお願いしたい。ソフィナを守ってくれ」

 

「ソフィナを? 」


 ソフィナがハンターの一味だったことを考えれば、この者と親密な関係にあったのかもしれない。


「わざわざハンターを名乗る人物の願いなど、どうして聞く必要がある? 」


 ソフィナに何かがあれば、もちろん可能な限り助けるつもりだが、ここで頷くわけにはいかない。


「謝礼なら払う。それにソフィナを守るには、お前が相応しい」


 どうして、俺が相応しいのだろうか。

 ただ、ソフィナの俺に対する……やたら挑発的な態度に何か関係性があるのかもしれない。


「確かにソフィナは、よくも悪くも俺に懐いているようだからな? 」


「それは良かった。ソフィナはずっと、お前に会いたがっていた。実際に会えて、そして嬉しかったんだろう」


「ずっと会いたかった……だと? 」


 驚きつつも、冷静に整理する。


 具体的にいつ頃から、俺に会いたいと思ったのだろうか。その時期次第では、色々と推測ができるだろう。


「ああ。お前は、ソフィナにとっておとぎ話の王子様だったんだよ」


 まさか、俺が戦地へ行った時のことについて、何らかの経緯で聞かされていたのだろうか。これくらいしか、思い付かない。


「王子様だなんて、そんなアホな話があるか。戦地でのことを言っているのだろうが、実際の俺は泥臭い」


「なるほど……。だが、ソフィナは泥臭く生きる王子様が大好きなんだよ」


「そうか。ところで話が変わるのだが、訊きたいことが幾つかある」


「言ってみろ」


 俺は女に促され、早速ボワド市近郊でオークが異常繁殖していることについて訊ねた。


「どうやら、ハンターが関与しているらしいじゃないか? 」


「少なくとも、私はそんな話は知らんな。ボワド市近郊で何かするという話も聞いていない」


「なるほど」


 まさか、ここにきて矛盾に出くわすとはな。

 紫色の装束を纏った連中は、オークの異常繁殖にはハンターが絡んでいると言っていた。


 深く追及するか……。

 否、それよりも気なっていることがある。


 今度は、先ほど俺に絡んできた男についてハンターとの関係性を訊ねた。


「ずっとお前の様子を見ていたが、あの男は、我々が認識している人物ではない。ただ、一瞬にして消えたことからして、お前も厄介な者たちに目をつけられたようだな」


「お前の大好きなソフィナが言うには、ハンターでも一部の者しか使えないらしいが? 」


 俺はそう訊きつつも、やはりあの男は魔族に関係する人物だと思っている。


「確かに瞬間移動を使える者が私の身近にいるが、その者は基本的に家の外に出ることはない」


「そうか」


 家の外に出ることはない……か。

 嘘でないなら、やはり女が知っている者ではないのだろう。


「さて、そろそろ失礼するよ」


 フードを被った女はそう言うと、素早く立ち去っていく。相変わらず気配を察知することはできない。一体いつから俺を尾行していたのだろうか……。



 まあ、身のこなしからして、かなり訓練された者に違いない。あのレベルを1人相手にするくらいなら何とかなるが、集団で迫ってきたら太刀打ちできないだろう。


 とはいえ、黒装束の連中に比べれば易しい。


「寝るか」


 ある種のストレスから解放されたからか急激に眠くなってきた俺は、宿屋へと戻るのであった。


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