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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第66話 賞金首


 ソフィナから逃げた俺は、人気ひとけの少ないところを歩いていた。


 不審な動きを取る者がいれば、俺は直ぐに対応できる。問題はない。

 1人の男が、恐らく泥酔しているのだろうか座り込んでいた。俺は、気配でそこに誰かがいることは判っていたので、男を避けるように進んだ。


 

「おい」


 どうやら、質の悪い酔っ払いだったようだ。

 奴が、絡んできたのである。


 髪は長く、無精ひげを生やし、安酒の瓶を左手に持っている。


「何だ? 」


 俺はそう訊き返した。


「テメぇの顔は覚えているぞ! テメェのせいで、俺の人生は滅茶苦茶だ」


「俺がお前に何かしたのか? 」


 仮にハンター絡みなら、俺が関わっている可能性も無くはない。


「テメェだけは殺してやる」


 男はそう言うと、銃を手にした。

 瞬時に事態を把握した俺は、波動魔法を放つ。銃は男の手を離れる。


「今、何か出したか? 」


 数秒置いて、俺はそう言った。

 普通の者なら慌てふためいているだろう。だが、この男は銃を失っても攻撃的な態度を取り続けていた。

 

「お前のせいでオレは全てを失ったぁぁぁぁあああああアアア」


 男はそう叫び、今度はナイフを取り出して迫ってくる。表情からして、強い憎悪を抱いているようだ。

 とりあえず俺は波動魔法を放ち、男を吹き飛ばす。


「何がしたい? 」


 倒れている男に近づき、俺はそう訊ねつつ拘束した。


「アーカジのいぬに成り下がっても、現役の頃と同じだってわけだ」


 急に落ち着きを取り戻した男に、俺は困惑した。

 数秒前までの、あの憎悪はどこへ消えたのだろうか。


「こんなことをする目的は何だ? 」


「アーカジに対する報復だよ」


 なるほど。よくわかった。

 

「今日、俺がシェヌロカの町に来ることを誰から聞いた? 」


 ところで、シェヌロカの町にやって来て怪しい動きをした気配はなかった。そう考えると、単なる偶然という結論に至りそうだが、安易に偶然と片付けるわけにもいかない。


「さあな? 」


 男はとぼける。

 それからニヤニヤと笑うと、訳の分からない言葉をブツブツと言い出した。ある種のメロディにようにも聞こえるため、薄気味悪い。


 3人の気配が、こちらに向かって近づいて来ていた。誰であるかを特定することは出来ないが、大体の予想はできる。


「とりあえず貴様を連行する」


 俺がそう言って、男を立たせようとした。

 このままだと間違いなく、面倒になるからだ。 


「おいっ! お前何してんだよ」


 ソドの声だ。

 既に、遅かったようだな。誰かと揉めているところを目撃されたわけだし、後で色々と追及を受けるに違いない。


 だが、それでもこの男を何とかする必要がある。

 

「既に王都以外、お前を狙う賞金首がうじゃうじゃいる。本隊もボワド市に到着した。せいぜい捕まらないようになぁ? 」


 男はそう言うと、突如として消えた。

 そこに存在していたのが、一瞬にして綺麗さっぱり無くなったわけである。俺は奴の腕を掴んでいたが、まるで物理的な要素を一切無視したかのようだ。


「……」


 俺はその場で、立ち尽くす。

 整理が追い付かない。だが、何か特殊な魔法が使われたのだろう。


 そして、俺に目を付けて攻撃してきたことも考えると、魔族かそれに関係の深い人物である可能性がある。魔族は魔法の研究に長けているし、それに俺を恨む魔族もそれなりに居るだろう。


「今の技は、ハンターでも一部の者のみが使える瞬間移動かもしれませんね」


 と、ソフィナが俺の脇にやって来て言う。

 ようやく整理できそうだったところを、搔き乱された感じだ。

 

「ちょっと待て。一旦場所を移して、落ち着いて話そうぜ」


 ソドの提案で、俺たちは一先ず宿屋へ戻ることにした。


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