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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第1章 冒険者大会の狂った前夜祭
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第49話 デニス死す


 ドアが思いっきり開かれる。その向こうで、イルザがとても慌てている様子を見せて立っていた。何か、とんでもない報せを受けたのだろうか。

 

 イルザが室内に入り、ドアを閉めた。

 

「大変よ。デニスが殺されたわ」


 その言葉を聞いた瞬間、俺は酷い脱力感を覚えた。

 勘とは言え、俺の予測は当たっていたのかもしれない。しかし、先回りされた。また、手がかりになり得たものを失ったのだ。


「……やられたか」


 俺は、そう声にする。

 誰がデニスを殺したか判らないが、デニスの口封じが目的に違いない。


「それに、市内のあちこちで暴徒が暴れているらしいわ。想定していたことが、始まったようね」


 暴徒か。

 ハンターが直接関与しているかは判らないが、タイミングから考えれば何かしらの関連性はあるだろう。


「まさかこういう形で、イゴルの読みが当たっていたことが判るなんてな。しかし当面、俺たちがすべきことが無くなってしまったわけだ。暴徒の鎮圧でもするか? 」


 と、イザークが言う。

 特にすべきことが見つからなければ、イザークの言うとおり暴徒の鎮圧に協力することしかやることは無い。


 デニスと言う手がかり(仮)を失ったのだ。

 他に何か……。


 いや、まだ残骸くらいは掴めなくもない。ならば、ここでのんびりしている暇などないだろう。


「デニスの自宅へ行きたい。イルザ、場所は知っているか? 」


「……わかったわ! 案内する」


 デニスが殺された以上、その自宅も狙われる可能性は高い。

 既に手遅れかもしれないが、ここで待ち続けてその報せを聞くよりかは、現地で自分の目で確認した方がマシだ。

 そして、イルザも同じ考えに至ったのだろう。特に文句を言うことなく、直ぐ行動に出た。


 俺はイルザの先導で、冒険者ギルドを出て市内を進む。

 イザークたちもついて来ていた。


 この辺りには、まだ暴徒が集まっていないようだが、それでも警官が巡回している。しかし暴徒が今後もあちこちで増えれば、市警では手に負えなくなるだろう。そうなれば国家憲兵隊か、或いは王立騎士団が出動するに違いない。


 暴徒・・たちも、色々と気になるところだが、今はデニス宅へ急行することに集中しよう。


「デニスが捕らえられていた監獄の王立騎士団の人たちも、数名犠牲になったらしいわ」


 王立騎士団にも犠牲が出たか。

 ここまで来れば、もはや動乱ともいうべき事案だ。俺が無暗にハンターをつついたせいなのだろうか……。


「明日以降、王都に日常が戻るとは思わない方が良いな」


「そうね」


 

 さらに進むと、暴徒らしき者たちが警官と衝突している場面に出くわした。規模としては小さい方なのだろうが、警官がやや押されている。

 ナイフや木の棒などで武装していることから考えて、無辜の市民とは言えないだろう。


 俺も体制側の人間だし、少しばかり警官たちを助けることにした。暴徒らしき者たちに向けて、波動魔法を放つ。後は、警官たちの頑張り次第だ。

 

 それからもデニス宅に到着する間に、似たような場面に何度も遭遇した。

 俺はその度に波動魔法を放ち、警官たちを助けた。これは多少の義務感からくるものもあったが、イルザに目移りさせないためでもある。

 デニス宅までの案内はイルザがしているわけだし、途中で義憤に駆られて立ち止まられると困るのだ。


「さり気なく警官たちを助けるなんてね。戦地でもそうしてきたのかしら? 」


 と、イルザが言う。

 流石に、俺が毎回波動魔法を放っていることはバレているか。


「自慢じゃないが、こう言った立ち回りが、戦地での俺の役割だったんだよ」


 それは、上官に命じられてのことだ。

 まるで瞬時に動かせる駒のように、俺はあちこちの場所へ行かされた。1週間、ろくに寝ずに、ひたすら歩き続けたこともある。しかも、それは何度もあったわけだ。


 ともあれ、俺たちはようやくデニス宅に到着したのであった。


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