リーザ、大蔵大臣に就任
トキヒコは悩み多い。
実生活では、何時も金欠気味だ。
無駄遣いは抑えている(多分)。
リーザと結婚してバイクも降り(苦渋の決断)、パチンコもスロットも競馬の類いのギャンブルも辞めた。
趣味であるプラモデルは続けているが、高額な物や大きな商品は買っていない(自分的には細々と)。
ゲーム器機も古いまま。
でも、元々安月給。出て行くモノを抑えても、入りは少ない。
特に特技や資格も持っていないので、転職を考えても、、、そもそも雇ってくれるトコ有るのか?それに今以上に給料が減ってしまったら目も当てれない。弱気である。
そんなこんなで、今の会社にしがみついている。
「リーザ、お話しが有ります」
リーザは1歳半となったさくらを抱えている。
その姿を見るトキヒコは、何とも言えぬ幸福感に包まれる。ポワァ~ンとしちゃう。
「はいトキヒコさん、何でしょうか」
意識を戻す。
「うん、リーザお金の話しなんだ」
「はい」
「リーザ、これは私の給料が振り込まれる銀行口座なんだ」
トキヒコは銀行通帳と銀行印そして銀行カードをテーブルの上に置いた。
「今日からわが家のお金の管理をして欲しい」
正直、自分の給料明細を見せられなかった劣等感から、逃げていた事。
「はいトキヒコさん。しかしそれは大変重要な事です」
「うん、でもこれからさくらが育って行くに当たり、色々とお金が必要となる場面が出て来る。それはもう次から次に出て来ると思う」
「はい」
「私の給料は申し訳無いが、多く無い。少ない、安月給だ。私がこの家のお金の管理をしていたら毎月赤字になっちゃう」
「そうでしょうか」
「今は何とかギリギリだけど、その内に破産だ」
「それは深刻です」
「だからリーザ、わが家の家計をやり繰りして欲しい。お願いしたい」
これ言わないと、、、実際にリーザにお金を持っていてもらわないと、さくらの医療費や教育費とかが発生する今後の事に対して、現実的では無いから。
「はい。でもですねトキヒコさん、そのような重大な事項を本当に私で宜しいのでしょうか?」
「リーザに頼みたい。リーザだからこそ頼みたいんだ」
「はい、ありがとうございます。これは大変に重大な任務です。そしてこれは、トキヒコさんから私が信頼されている証しでもありますね」
「うん。リーザには信頼しかしてないよ」
「でも、、、」
「はい」
「でも、火の車のような家計を押し付ける様で申し訳なく思う。もっとオレが高給取りだったら、、、通帳を渡すけど、恥ずかしいよ」
劣等感。
通帳に刻印されている金額は、お世辞にも多く無い。
「今のこの社会で構成される価値観の最上位に位置するのはお金だ。それが少ないオレは、社会人としての位置が低いって事を露呈している。だからリーザに対して恥ずかしいし、申し訳ないんだ」
「社会人としての位置。いいんじゃ無いですか?トキヒコさんが拘るので有ればしかたありませんが。でもですね、エルフである私はその価値観を理解はしましたが、私は持ち合わしておりません。ですので、トキヒコさん次第です」
あ~、そう言われると、増々申し訳ない。カッコ悪い。
「仕事は頑張る、、、それなりに頑張る。さくらをこの国での教育を受けさせたいから、それはクリアしたい。その上で何か望み事が出来た時に叶えてあげられたらいいなぁと思ってる。いや、叶えさせるのは親としての務め、義務だな。だからリーザ、協力して欲しい」
「はい、トキヒコさん。トキヒコさんの望みは私の望みです。ですから何時の日か、さくらが望みを持ちました時に、望みを叶えるられる様に頑張ります」
リーザ、リーザは何て、、、。
「うん、リーザありがとう。さくらが大きく元気に育つ事が私の望み。さくらが成長していく中で、なるべく枷を掛けずに自由に育ってほしい。その枷がお金に関わる事だったら、何とかしなくちゃならない。あ、別の『枷』は掛かっているけど」
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーにお願いしたさくらへの『枷』。
この『枷』は、さくらがリーザから受け継ぎ持っているであろうエルフの能力、力、術(魔術的な力)を抑えて、人間社会で暮らす為の、一種のお守り。
「それと、我が儘を言ってる事は分かるんだけど、今の生活の質を落としたくないし、たまにはどっかに旨い物を食べにも行きたいし」
いつも贅沢をしたいんじゃ無いけど、たまにはね、たまには。
「だからリーザ、わが家の大蔵大臣をお願いします」
「トキヒコさん、大蔵大臣は古い役職を示しています。ですがその任を引き受けさせて下さい。私は全身全霊を持って取り組み、大蔵大臣に就任します事を宣言いたします」
何かの演説になっちゃった。
「ではリーザ大蔵大臣、早速初仕事です」
「はい」
「私のお小遣いの交渉です」




