風の民 ハヴァバン・・・
風が吹いた。強い風が、突然に。
そして眩い輝きが周囲を包み、大男が現れた。
(なんか、マンガチック過ぎる展開だ)
現れた大男は、クーリャみたいに服だか布のような物で全身をくるまっている。
『あなたの選択は正しかった、さあその中に居る者よ出るが良い』
(さっき横道を走っていた時に聞いた声だ)
私はクーリャの中からスウゥーと出た。なんか呆気無く出された。
クーリャの中から出ると、目の前にいた大男は私と背丈が変わらなかった。いやオレの方が背、高いわ。
「あなたは?」
「私はハヴァバンドゥーンズローシミィ。この国トファノキブーミの創造主にてこの風童達の父なる存在である」
声は耳からではなく、直接頭の中に響いて来るようだ。
ババァ、ドーン、ズロースの染み?ああ!この国、この世界の神様か!
でもやっぱお父さんがこの子達を生んだって事?
「クーリャ・ククール・シャンデニーラト・サンダステェン・アンディカミー・ヴィラーサットに手を貸して下さった、あなたは何と言う方なのか?」
おお、さすがお父さん!娘の名前をスラスラと。
「ああ、すみません。私はスルガ トキヒコと申します」
神様かぁ~
「スルガ トキヒコよ。あなたには大変な迷惑と大変な苦労をさせてしまった。詫びさせて欲しい、この通りだ」
この国の創造主であるハバ、、、バーんと、、、シミミなんだっけ?は深々と頭を下げた。
「いえいえお顔を上げて下さい。一応私は無事のようですし。それより恐れ多いのですが、あなたはこの国の神様になるのですか?」
クーリャはここが自分の里、『嵐の国』に帰って来たと言っていたから。
ハヴァバ、、、は頭を上げ、私を見た。
「神様とは、、、スルガ トキヒコの世界の創造主なる存在か」
「う~ん、私の世界の創造主的な神様はどうでしょう。想像や空想、逸話や童話の中の者かも知れません。存在したのか、今存在しているかも不明です」
私は会った事が有りませんから。
「あなたは面白い事を言う。自身が知らぬ存在を他者に当てはめるとは、面白い」
ハヴァバンドゥーンズローシミィ(言えた?正解?)は微笑んだ。
「創造主って事ですが、この国をあなたが創ったって事ですよね?」
「うむ、そうなる」
「私は何時の刻からか、ただ独りで漂っていた。そしてこの場所に行き着いた。ここはただただ風が強く吹くだけの場所であった」
「独りは辛く悲しいものだ。私は寂しさを紛らす為に、丘を創り谷を創り、町を創った。町には住人が必要だ。風童を創り国と定めた」
なんか簡単に色々と作ったんだな。ジオラマ作家か?
「だが、どうやら私はこの場所から離れられなくなった。それは嵐の国であるここ、トファノキブーミを定めてしまったからかも知れぬ。私が寂しさを紛らす無配慮な行いが、気紛れであったとされる為の報いかも知れぬ」
神様は寂しがりやか。
「でもあなたは国を創り、この国の住人である風童達も誕生させた。偉大な行いじゃないですか。国創りが進み、住人が増えて行く過程は、それこそ心踊る楽しさがあったでしょう。それは今も続いてますか」
ゲームの世界なら楽しいのだが。
「楽しみか、、、忘れてしまったのかも知れん。今の私はそれを風童達に求めてしまっている」
「先程、離れられなくなったと、、、何処か、次に行かれる場所があるのですか?」
「いや、ここが私の出発点となり、終着点となるであろう」
何か神様との会話のはずが、普通の世間話しと言うか身の上話しと変わらない気が。
「スルガ トキヒコ、あなたは面白い。楽しさを思い出した気分だ。よもやあなたは神様なのか?」
「ナイナイ、無いですよ。私は単なるいち人間ですから」
「人間?」
「ええ、私の世界で暮らす数多き生き物の中のひとつの種類に過ぎません」
「その一種である人間が全世界で80億人近く居ると言われていて、その中の一人に過ぎません」
「80億か。私の風童達は100にも満たない。国創りはまだまだ、入り口に過ぎぬか」
「いえ、私の世界が異常なんです。種族の数が多ければ良い、というだけでは有りませんから」
「数が多ければ問題も多い、との事か」
「まあ、そんな感じですね」
「スルガ トキヒコ、あなたは本当に面白い」
「時にスルガ トキヒコよ、あなたに私達は救われました。記憶の石が戻る事により、この国は落ち着きを戻しました」
いや、風がすっげー吹いてるんだけど。
「『記憶の石』はこのトファノキブーミを安定させ、この世界を定める物。10の内、ひとつ足りとも欠けてはなりません」
じゃあもっと管理をしっかりとしましょう。セキュリティーもチェックを。
「10個の『記憶の石』のそれぞれに何が入っているのかは興味深いのですが、でもさっき11個有りましたが?それとですね、その11個目の『記憶の石』に触れ、消えてしまった二人は何処に行ったのですか」
あの二人がクーリャと顔を合わせたら、また攻撃されちゃうぞ。
「あの者達、29番位リイリー・カティン・べへアン・ウッタリー・バーダル・ヴィラーサット、30番位ナアシサス・カティン・マハンジィ・パスチィミィ・バッシャヒ・ヴィラーサットは、私の与えた意識を越えてしまった。あの風童達は『刻の場』に行きました」
「刻の場?」
「そう刻の場です。そこでは刻が刻まれます」
刻まれます?
「刻むって、何を刻むモノなのですか」
「刻の場で刻むのは生命です。刻の場では今まで行って積み重ねられた良き事とそうで無い事が互いに刻まれます。そうで無い事が良き事を上回ってしまったら、その者は命を刻まれ、やがて死を迎える事となるかも知れません」
エルフの女王ユーカナーサリーが言っていた『死の刻』か。
「でも何故、あの二人は刻の場に行ったのですか?」
「それはあの者達の定めですね」
定め、、、運命か、、、。
「あのぉ〜『良き事』とは何なのでしょうか、どう言った事なのか教えて下さい」
『良き事』は私も積んでおいた方がいいかも?
「良き事とは、我が風童達に望み求むるモノ。者であれ物であれ、自身の周囲にあるモノ、集まるモノ達に対して良き思いをさせる事。楽しみ、嬉しみ、明るき、幸福へと繋がる行為を行う事。これを行える能力を我が風童達、我が子達に潜在的な意識として与えております」
それが愉快な行動、イタズラって事~?
まあ、イタズラも過度な物で無ければ笑い話しのネタだし、イタズラを仕掛ける姿がバレれば笑っちゃうだろうし。
でも、イタズラはする方が楽しいのでは無いか?その意識微妙だなぁ〜。大丈夫かハヴァバンドゥーンズローシミィ?
「ちなみに、横穴を走っていました時、お声を掛けて下さりました。先程、選択が正しかったとおっしゃられましたが、間違った道を選択していたら、どうなっていたんでしょうか」
何処に出たんだろう?別の町かな?
「あのまま逆を選び進めば、また別の選択すべき道が現れます。それは幾度も現れ、最終的には『刻の場』へと行き着く道となります」
うぇっ、もしかしたら私が刻まれてた?危ねぇ~!
「ところでスルガ トキヒコよ。この者クーリャ・ククール・シャンデニーラト・サンダステェン・アンディカミー・ヴィラーサットは如何だろう。あなたに対して良き事は与えられているのであろうか?」
クーリャも『刻の間』行きなのだろうか?
「クーリャ・ククール・シャンディ、、、サン、デン、、、。生意気でうるさいです。約束したチョコも全部食べちゃいました。でも、、、ですが、そんな姿を見ていて私は楽しくなりました。ですからプラスマイナスのちょっとプラスですね」
「ちょっとって何だよー!」
えっクーリャ、起きた?
声のした私の足元を見ると、クーリャは丸まって横になり寝ている。寝言だったの?
「スルガ トキヒコよ。私達は、あなたには詫びと礼、望みを与えなばならない。望みは何だ」
はぁ〜望み?
「そうですね、私は無事ですので私の妻であるエルフの元に戻りたいです。その望みは叶いますか?」
「わたしの責任と命を持って、行おう」
ハバヴァバボーン、、、そう言うなり、私は飛んだ。




