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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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風の民 買い物に連れて行く

 食料品の買い物に郊外のショッピングセンターに向かう事にした。

 私はスウェットの上下(パジャマ兼部屋着)から外出着に着替えた(と言っても、ジーンズにフード付きのジャンバーなんだが)。

 リーザもこちら仕様に着替えを済ませ(リーザもジーンズ。スリムジーンズでビシッキュッでカッコいい!)、車に乗り込んだ。

 クーリャは姿を消し、どうやらリーザの膝の上に乗っているらしい。

(リーザの膝の上を占領しているのは許せないのだが。)


「トキヒコ〜、この部屋は何だー?」

 姿は見えずとも声はする。

「これは自動車と言う乗り物で、速く走る事が出来るんだ。大人しくしてろよ」

「ふぅ〜ん」

 エンジンを掛ける。

「何だ何だ何だー!変な振動とー、変な音がし出したー!」

「ああ、これはエンジンが、、、」

 面倒くさい。いちいち説明するの、やめよう。

 程なく発進した。

「うぇぇ〜、変なのー変なのー、遅い、おっそいなー」

 あーうるさい!


「ではリーザ、ケーキを食べて行こうか」

「はい、楽しみです!」

「へぇーケーキだケーキだー!ケーキ!でもトキヒコ〜、ケーキって何だー?」

 うるさいな〜

「クーリャ、ケーキはですね、甘くて美味しいモノです。ここでは洋菓子と言われていて、小麦粉と卵にて構成される物が多く、砂糖と呼ばれる糖分が程よく混ざり、生乳にて作られる生クリームにてデコレーションされている物も逸品です。カカオの種子を焙煎等したカカオマスを主原料に作られるチョコレートを使用した品も有り、果物も乗せられる物も有り、それは品物を選択するに辺り、大いなる悩みを生じさせられる罪深き存在です。」

 うわぁリーザ、ケーキに凄い思い入れ!

「ふぅ〜ん、リーザリー・フェアルンは罪深き存在に立ち向かうのかー。あたいは嫌だなぁ。」

「じゃあクーリャはパスだな」

「いいよー、あたいは見てるよ。リーザリー・フェアルン、頑張ってねー」

「はい、立ち向かいます!」


 店内で食事も出来るケーキ屋さん。

 店内はお客さんで賑わっているが、二人で座る席は待たずに案内された。

「いいかクーリャ、大きな声を出すなよ。話すなら出来るだけ小さな声で。女王様は姿を人間に見せるなと言ったけど、声を聞かれても同じだと思うぞ」

 クーリャが『ブルっ』と震えたのが伝わって来た。

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーが『罰』だと言った『火炙り』を思い出したか。

 一度席を立ち、入り口すぐにある多くのケーキが並ぶショーケースを見に行った。

 このお店は、ショーケース内のケーキを選んで飲み物と合わせたケーキセットを注文出来る。

 リーザと並んでケーキのショーケースを覗き込む。


「トキヒコさん、悩みます!王道のイチゴのショートケーキか、チョコレートケーキか。いえアップルパイもツヤツヤと良く焼き上がっていて魅力的です。レアチーズケーキも捨てがたいですねぇ〜。シンプルなシフォンケーキにクリーム乗せ、ティラミス、モンブラン、ザッハトルテ、季節のフルーツ盛り、、、あー悩ましいです!」

 リーザ罪深き存在に立ち向かってる(笑)、凄く楽しそう!

 キレイで美味しそうなケーキがこんなにも並んでいたら、リーザで無くとも目移りしちゃうよ。


「リーザ、私はチョコレートケーキにするよ。リーザは二つ選んでいいよ」

「本当ですかー!嬉しいです!」

 あーリーザ、飛び上がりそうだ。

「トキヒコ〜、トキヒコー」

 あれ、クーリャはリーザに抱かれているのか。

「トキヒコ〜、あたいも罪深き存在に立ち向かいたいよ〜」

「クーリャ嫌だってさっき言ったじゃん」

「あたいも立ち向かいたいのっ!」

 何かここで騒がれても厄介だけど、そもそもクーリャにケーキを食べさせてもいいのかなぁ?


「リーザ、お悩み中申し訳ないんだけど、風の民の食事って、何食べるの?」

 そうだ、クーリャはしばらく家に居る事になるから、これからの期間何か食べさせなくっちゃなぁ。

「トキヒコさん、風の民の食事はエルフ達やトキヒコさんと同じと考えて下さって良いと思います。ただ、クーリャの好み、嗜好については判り兼ねますが」

 そうか、特に変わった物を準備しなくても良いんだな。

「あっ、それとクーリャ、姿を消したままで、何かを食べる事は出来るの?」(小声で)

「出来るよー!」

「声が大きい。抑えろ」

 周囲は、、、大丈夫だったみたい。

「クーリャ、オレのチョコレートケーキを少し分けてやるよ」

「少しって何だよ!ちゃんと食べさせろ!」

「声を抑えろ。周りに不審がられたら、ここでケーキを食べれ無いぞ」

「あ、、、うん分かったよー」


 リーザは季節のフルーツ満載のケーキと白くて背の高いホワイトショコラのケーキを頼んだ。

 テーブルに運ばれ並び置かれたケーキを見て、目を輝かせる。

「トキヒコさん、ありがとうございます!頂きまーす!」

 はい、どうぞどうぞ。嬉しそうにケーキを食べるリーザを見る事は私の楽しみ、幸せだ。

 ン?何かが私の腕を突いて来た。

「トキヒコ〜、あたいも罪深き存在と戦わせろ〜」

 お、ちゃんと小声だな。

 私が頼んだチョコレートケーキをフォークでひと刺し、姿の見えないクーリャに差し出した。

 あ!消えた。

「フキィー!フキィー!美味しいぞー!いいぞー!いいぞー!アハハハ!」

「クーリャ、声、声、抑えろ」

 姿は見えないが、ケーキの美味しさに喜んでいるだろう。そんなクーリャの顔が見える様だ。

「どうだクーリャ、罪深き存在は」

「これはー罪深い。罪深いよー!アハハハハもっと、もっと食わせろートキヒコー!」

「あー態度が生意気だし、声が大きい」

 ぶー垂れてるクーリャが想像出来る。


「トキヒコ〜さん。もっと食わせろー、、、くさい」

 プッ、笑える。生意気坊主がケーキ欲しさに大人しくなった。ケーキ、、、偉大だ。

「あークーリャ、忠告しておくけど、リーザのケーキに手を出さない方が懸命だぞ。死の刻を迎える事になるからな」

 クーリャの『ビクンッ』を感じた。ただ、リーザのケーキを実際狙っていたのか『死の刻』に反応したのかは、判らない。姿見えないもん。

 この後、わたしのチョコレートケーキの半分が空間に消える事となった(周囲には気を配った)。


 続いて郊外のショピングセンターに車を走らせた。

「アハハハハー、変なの、変なのー!あはははは、遅~い、遅ーいー!」

 うるさいなあ。

 クーリャの車に対する反応は変わらない。

 だけどクーリャのテンション、変に上がってないか?


 郊外のショッピングセンターは相変わらずの混み様で、車を停めた位置から、店舗の建物までが遠い!

 店内も人か多い、


「トキヒコ〜、人間が多い。ココはお祭りか何かが行われる場所なのかぁ〜」

 確かに、田舎暮らしの私からすれば、今住む場所が地方都市の近郊であっても、人は多い。

「う〜んクーリャ、人間は集まって暮らす傾向があるからなぁ」

「何でだトキヒコ、何でだ?」

「そりゃぁ、一所に集まっていた方が物も集まるし、便利だからだ」

「便利って?」

「あ、うーん、住みやすいって事かな」

「ふぅ~ん、便利ね。でも変なのー」

 便利は変なのか?

 便利がいいに決まってるじゃん。でも便利って、誰かの都合に合わせる事だったり、自分が一歩引かなければならない事も含まれるのだろう、、、それは人間同士の共存や私の居る社会の仕組みであり性質、習性に繋がる、、、。

「クーリャ、便利でいいんだよ」


 クーリャを抱えながら歩くリーザの姿は不自然なので、見えないクーリャをショッピングカートに乗せた。

「いいかクーリャ、ここから勝手に外に出るなよ。オレは見えてないが、リーザはしっかりと見てるからな」

「わートキヒコトキヒコ、何だあれ、何だー」

 コイツ全然聞いて無いな。

「大人しくしてろよ。それと声の加減も気にしろよ」

「アハハハハー、何だあれ?何だー!あはははは」

 コイツは!

「トキヒコさん、クーリャの声を抑えましょう」

「え、リーザそんな技が?」

「ええ、少し術でクーリャを囲みます」

 リーザはショッピングカートを包んでしまうかの様なイメージで、クーリャ(多分そこら辺にいるのかな)を含めて手をかざした。

「これで良いでしょう。トキヒコさんと私以外の方には、クーリャの声が聞きづらくなったと思われます」

 そんな技が?!リーザの『術』かぁ、流石だな。


 クーリャ(見えない)の乗ったショッピングカートを押しながら、今夜の夕食を考えた。

「トキヒコートキヒコーこれ、コレは何だー!あれはー?アハハハ」

 クーリャの声と共に、ショッピングカートが揺れる。

 クーリャの態度は変わらない。リーザの『術』が無かったらアウトだな。

 ちょっと放っとこう。


 リーザの作る料理は美味しく、初めてキッチンに並んでカレーを作った時の事が嘘の様に、今や料理の腕前はプロ級だ。

 包丁捌きも凄く、魚は捌いちゃうし(魚屋の女将さんのお墨付き)、桂剥きからリンゴを剥くのも、ギネスに申請したくなる細さと薄さと長さで剥き上げる。

「フランス料理はレシピ通りに調理を行えば大丈夫す、レシピを守れましたら別段料理としては難しくないです」と言い切る。でも材料や調理器具の制約が掛かる為、工夫が必要と微笑んでくれる。

 短剣やナイフの扱いは(食材に対して以外は)もともと得意であったとの事。今はその手を包丁に持ち替え、日々料理に腕を振舞ってくれている。


 そんなリーザの料理上手だが、今夜は私が作ろう!と何故か思った。焼きそばをいっぱい食べたい!と唐突に思っただけなんだけどね。

「リーザ、今夜は私が焼きそばを作ろうと思うけど、いいかなぁ」

「はいトキヒコさん、それは楽しみです!お願いします!」

「任しとけっ!」って言いたいが、まあ、味は余り期待しないでね。

 先ずは焼きそばの麺、袋入りの安いやつ。

「リーザ、術のエネルギーを回復させる為に、沢山食べる?」

「いやですわトキヒコさん。ほどほどです。」

 あーこれ、相当行くな。

「トキヒコ~、トキヒコー、焼きそばって何だ?」

「クーリャ、焼きそばはコレを調理して味付けして食べるんだ」

 私はひと玉毎に透明ビニール袋に入れられた焼きそば用の『麺』を見せる。

「何それーアハハハハ何それー、細いの長いのー、何それー、あはははは変なのー変なのー!」

 声は、、、大丈夫、回りに漏れて無いな。

 周辺に居る、他のお客さんの反応は無いな。流石リーザの技!あ、術か。

「あ、クーリャ、嫌なら別に食べなくてもいいんだぜ。でも今夜は他に食べる物は無いけどな」

「トキヒコー!何で意地悪言うんだよー!食わせろー!」

「あーうるさい。だったら大人しくしてろ」

 あれ?これって、私が一人で誰も居ない方に喋ってて、ショッピングカートをガタガタと揺らして、、、私を見た人に不信に思われているのでは?

「クーリャ、少し大人しくしていないとダメですよ。」

「アハハ、、、はぁ~い」

 ありゃ?クーリャにとって、リーザがわが家の主人あるじの位置付け?


「トキヒコ~さん。トキヒコーさん。さっき食べた戦ったやつはここには無いのかー」

 チョコレートケーキか。

「あれは、無い」

「何でだよー」

「あれはケーキ屋さんに有る」

「だったらケーキ屋さんに行くぞーアハハハハ」

 あー面倒くさい。

「クーリャ、チョコレートケーキの代わりにチョコ買ってやるよ」

 お菓子コーナーに寄り、大袋に一つひとつが包まれて入っているチョコレートの袋を棚から取った。

「クーリャ、このチョコを買ってあげる。でも、1日1個と約束出来るなら買ってあげる」

「わーーートキヒコ~さん。やったぁーアハハハハ」

 オレの事、何か変な呼び方する様になってないか?

「1日1個だぞ」

「何でだよっ!」

「甘い物の食べ過ぎは良く無い。これはクーリャの事を思ってだよ」

「そうかー、じゃあ一1個だなー」

「そうだ1個だ、それがいい。約束だぞ。約束を破ったら主人に逆らった事で、女王様に火炙りにされるぞ」

 クーリャが『ビクンッ』と震えたのが伝わって来た。

 でも何か『火炙り』よりも『女王様』にブルッたんじゃないのか?


 今夜の献立、焼きそば以外の食材も買い込んで帰宅した。

 車に乗ったクーリャの反応は変わらなかったが、冷静に見ていたら(姿は見えていないが)、何か滑稽で面白く感じた。

「あはは、やっぱり変なのー。アハハハハ、遅いー遅っそい〜アハハハハ」

 でも変に笑い過ぎだろ!


 では、焼きそばを作ります。

 キャベツはザクザクと人参は細かく、豚のバラ肉はちょっと小さめに、、、リーザに切ってもらいます。(自分で作ると言っておきながら、手伝って貰ってます)

 豚のバラ肉から炒めます。続けて挽き肉を加えて炒めます。

 挽き肉は焼きそばの麺に絡まり『肉感』が増します。

 人参、キャベツ、モヤシも炒めます。そしてシメジも。

 モヤシとシメジは食感を良くしてくれます。

 全体を塩コショウで下味を少し付けます。

 ここまでやって、焼きそば用の生麺を入れます。

 でも私とリーザとクーリャの分、全部で12袋買ったので一度には全部炒めるのは無理です。大体4回に分けて作れる様に、ここまで出来た具を別皿に避けます。

 そして、ソースの登場!普通のウースターソースとお好みソースをブレンドして、それとちょっと高級感の有るソースも先日頂いた物が有るので混ぜちゃいます。

 でも、少しづつ。味が薄ければ後で食べながらでも足せばいいけど、濃くしょっぱくしちゃったら取り返しが出来ません。

「どうだクーリャ、焼きそばは?」

「トキヒコー!いいよー!これ、いいよー」

 小さめのホークを器用に使い、ズルズル、ズルルルーと、クーリャは無邪気に焼きそばをかっ込んでいる。

 嬉しそうに焼きそばを食べるクーリャが可愛い。

 クーリャ、実はキレイな顔立ちで美人さんだもんな。

「トキヒコさん?」

 ああ!(小人の風の民だとしても)異性を褒めたのがリーザにバレた?頭の中読まれた!?

「ソース掛け過ぎです。」




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