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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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風の民 クーリャ・ククール・なんとか

 風の民かぁ、、、と、納得するしかないけど。


「でもリーザ、この子はこんなに小さいから、私を連れて『越える』よりも少ないパワーでいいんじゃない?」

 リーザ、風の民を摘まむ様に持ち上げていたもんな。

「トキヒコ殿、コヤツは小さな体だがの、その大きさ、概念的な質量や存在定義は貴公と同等ぞ。」

 存在定義?え、なんだかがコイツと同じ?

 大きさ重さ、、、見た目では無く概念って、、、それと存在定義って、、、何?それでは私は小さき存在なの?ちょっと、ショボン。

「トキヒコ殿、貴公はコヤツより重要な存在じゃ、案ずるな。」

 まあ、私が重要な存在である根拠は分かりませんが、そうして下さい。

「コヤツはこんな小さな成りじゃが、飛翔を行い姿も消す。それなりの『術』に相当する力を持っちょる。そこだけがトキヒコ殿を上回ってしまう。他に特筆すべき事は無い。」

 女王様、ちょっと断じた。でも空を飛んで、姿を消すって、、、すごくない!

 ちょっと感心してしまう目を向けると、風の民クーリャは何か得意顔で見返して来た。

 何だかちょっとイラ付く、癪だ。


「我は『記憶の石』が何故、我里国にあったのかが気になる故、済まぬが一度戻るとする。」

 何で『記憶の石』風の民の宝物の様な物がエルフの里国にあったのだろう。風の民の王家が管理していたのなら、持ち出されたのか盗まれたのか、、、誰が、何者が?何の為に?

 でも私はエルフ達の事をまだまだ何も知らないのに、エルフを取り巻く周辺の事、あちらの世界なんて全然知らないよ。


「リーザよ、それでコヤツをどうするのじゃ。我が連れ返そうぞ。」

 女王様のお力なら、難なく風の民を連れ帰れるであろう。

「私が越えて連れて来てしまいました。ですので私が再び越えて連れて行く事が道理かと思います。」

 え?リーザ、そういう律儀さ?

「コヤツにその様な気遣いは不要じゃが、リーザがそう決めたのであらば、致し方無であろう。」

 ああ、リーザが自分で決めた事か。エルフは自身で決め、自身が行うか、、、。


「良いか、リーザの力が貯まるまで、お主をここに居る事を許そうぞ。但しじゃ、この家の主人あるじはトキヒコ殿ぞ。主人に反する者には罰を与える。合わせてこの家から勝手に外に出る事は成らん。ただ、外に出ずる理由の有る時は姿を消せ。トキヒコ殿以外の人間にお主の姿を見られる様な事があっては成らん」

罰?

「あのぉ〜ユーカナーサリー、罰って何ですか?」

「ほうじゃのう、火炙りじゃ」

ええー!風の民死んじゃうよ。

思わず口を手で覆い驚いた。

「トキヒコ殿、案ずらぬでも良い。よしんばコヤツを今ここで丸っと焼いてみるが良い。こちらの時間で1年の経たずにキレイに治っておるわ」

「え〜!風の民不死身なの!?」

「いやいやトキヒコ殿、こうであってもコヤツも命有る者ぞ、死は訪れよう。死の刻がのう」

死の刻、、、

そう言ったユーカナーサリーに見られた風の民クーリャはブルっと身震いした。

「よって火炙り程度では死なん。だがの、痛みは伴うぞ。相当のな」

わあぁ女王様サディスティック!


痛たたた、、、

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは自身の魔力を行使して、エルフの里国へ繋ぎ越え帰って行った。

さて風の民、クーリャ・ククール・サャン、、、サシ、、、なんとか、、、どうすんの?


「リーザ、早速だけど、風の民との接し方なんだけど、、、」

初めは小さくて可愛らしいなぁと思ったが、しばらく見ていたら、、、チビのくせに生意気なヤツ。でも身体の大きさでは無く、存在定義?が私と一緒もしくはもっと大きいって、、、癪だ。

「はいトキヒコさん、特別構える必要はございません。そうですね、日常的にどなたかと接する機会、、、駅前商店街の方々やお買い物をされたりする時の状況、状態で良いと思います」

 いやいやリーザ、駅前商店街の方達はどちらかと言うと、私には高圧的な態度なんだけど〜。

「まあどれだけの期間になるか分かんないけど、2週間ぐらい?よろしくなクーリャ」

「トキヒコ!あたいの名前を略すなー!」

 クーリャ・ククール・シャ、、、シン、、、覚えて無い。長いし。

「オレはスルガ トキヒコ。トキヒコだけで呼ぶなら、クーリャだって相手の名前を略してるぞ」

「分かったよ、トキヒコ。」

 また、略したじゃんか。


「う〜ん、リーザ。今日は一緒に夕食とかの食事の材料とか買い物に行こうと思ったけど、風の民に留守番させておくか、私一人で行こうか?」

 リーザと一緒に今日はケーキでも食べに行こうと思ったのになぁ。

「トキヒコさん、私もお買い物にご一緒したいです。献立も色々と考えたいですし。それに、、、」

「それに?」

「はい!それにケーキを頂けると仰ってましたので!」

 あー良く聞いていたなぁ〜。ケーキを食べに行こうと言い掛けて、クーリャを見つけちゃったから。女の子って甘味に弱い?

「クーリャ、留守番出来る?」

「トキヒコー略するなぁ〜、まあ許す。で、留守番って何?」

「家の人達がお出掛けしても一緒に行かず、家で大人しく待っている事」

「え〜嫌だよぉ〜つまんないよぉ〜何だよぉ〜連れて行けよぉ〜あたいも行くよぉ〜置いて行くなよぉ〜」

「あーうるさい!主人に反すると女王様に火炙りにされるぞ!」

 風の民クーリャはブルブルブルーと震えた。

 ちょっと可哀想だったかな。

「トキヒコさん、クーリャ・ククール・シャンデニーラト・サンダステェン・アンディカミー・ヴィラーサットに姿を消させましょう。ここで留守番をさせても家の中がこのまま保たれているかの保証はしかねますので。」

 えぇ~~~!リーザ、クーリャの名前を一発で覚えちゃったの?、、、それと保証って、風の民のイタズラっ子ってやつか。

「でもリーザ、主人の命令として、『じっと動かず留守番』と命じてしまえばいいんじゃない?」

 オレはリーザと二人で出掛けたいの。

「それは可能でしょう。しかし良からぬ事、不測の事態、突然の来客、災害等に風の民が直面した場合の対処方法について、私は知らぬ事ですので。不安を抱えつつの外出も如何なものでしょう。」

 まあ、リーザの言う事に一理ある。なんか今、ニヤっとしなかったか、コイツ?

「リーザ、申し訳ないんだけど、リーザがコイツ、風の民の名を呼ぶ時、クーリャにしてくれない?わたしはクーリャをフルネームで呼ぶの無理だなぁ〜、覚えられない」

「はい」

 リーザは微笑んでくれた。


 どうやら風の民、クーリャ・ククールなんとかがしばらくわがアパート暮らしとなる事だ。

 何か得体の知れない不安感が興るのは何故?それと、、、

「クーリャに聞きたい事が有る。何故、オレに初めて見られた時、泣いたんだ?」

 こんなに肝玉が座ってるように見えるのに、何だったんだろう?人間が初見だったから?

「あたい達はねー、複眼なんだー」

 複眼?

「いや、オレも目は2個付いてるよ」

「はぁ〜人間って頭悪いのか、トキヒコが頭悪いんだなー」

 ちっ、腹立つ!

「あたいの複眼はねー、情景と光を見る事が出来るのさ!エヘン」

 光を見る?

「光って明るさとか?」

「そんなん誰でも普通に見れるよー。やっぱ人間、トキヒコって頭悪いのかー」

 腹立つなぁ。

「光を見れるというのは、生命の色の事でしょうか?」

 リーザが以前言っていた、命を持つ者が発する独特の色。オーブ、魂の色。

「そう瞬間的にねー。トキヒコの光が見えたんだー」

リーザに一瞬見えたと言う私の色。

「トキヒコはねー、ブパーと光ったの凄い光ったんだよー。でもズーと暗くなったの。」

 暗くなった?

「トキヒコさんは輝かしく私がこがれる色を持ってます!」

 リーザが反論した。

「あたいはねーちょっと怖かった。だからリーザリー・フェアルンに守って貰いたくなったのー」

 暗くなって、怖くなった、でも涙する程って、、、私が持つモノ、、、ってクーリャ、リーザの名前も略して、間をすっ飛ばしてるじゃんか。

「それはクーリャがさ、初めて人間を見たからじゃ無い?今はどうなの?」

「う〜ん、そんなに何時も見えるモノじゃ無いよ。今はね、見えないよー」

 何かちょっとクーリャが見た私の光、色が見えなくてホッとした。『ズーと暗くなった』がまた見えちゃったら、、、気になる。そりゃあ私は明朗活発、明るい性格、正しい心、、、どれも持ち合わして無いけど、、、。


 まあいいや。

「そうだ、クーリャ姿を消すって、消える事が出来るの?」

「ほいっとー」

 え?消えた!どこ行ったクーリャ?

「トキヒコさん、こちらに居ます。」

 え?リーザ?

 私がリーザを見ると、クーリャはリーザの膝の上で姿を現し座っている。

「クーリャ凄い!消えたよ!」

「エヘン、凄いだろっ!」

確かに凄いんだけど、なんか癪!

「リーザはクーリャが膝の上に乗ったので、重さで分かったの?」

「いえ私は夜目も多少効きますし、少しの術でクーリャの姿を追う事が出来ます」

見えてないのは私だけ。


私はテーブルの上に置かれた『記憶の石』を改めて手に取った。

少し小振りなリンゴの大きさ。私も女王ユーカナーサリーの様に明かりに透かしてみた。

ガラス玉にも見えるが、中身有るのか?何か見えるのか?しかし真っ黒で何も見えない。

「クーリャ、この記憶の石は地図が入っているって言ってたけど、どうやって見るの?」

「あー、人間では扱えないさー」

なっ、腹立つ。

クーリャが記憶の石に両手をかざすと、クーリャに向かう様に地形図のような立体的な映像が現れた。

「うわっ!3Dか!立体映像?!」

ただ、立体的に出て来た映像は見慣れない物で、谷や山なのか構造物なのか判らない。この場所平地が無い?ゆっくりと回転している立体画像は上下の判断がしずらく頭がバグりそう。

「ここがあたいの里、トファノキブーミ。嵐の国さー」

「嵐の国?」

何か物騒だな。風の民が集まってるから嵐か?いや嵐から風が別れるのか?

「リーザ、知ってる?」

「いえ、ユーカナーサリーはご存知のようでしたが、私は聞き及んでおりません。初見ですね」

エルフは女王様しか知らないのかもな。

「で、クーリャ、エルフの里国からクーリャの里であるトファノキブーミ?『嵐の国』まではどうやって行くの?その道順も出せるの?」

エルフの里国の外。三つ有ると聞いてる門の外って、どうなってるんだろう。エルフの里国と嵐の国との間には幾つもの別国が存在するんだろな。向こうの世界地図かぁ、見てみたい!

「トキヒコ、あたいは無力だー。あたいはあたいの里しか出せないのさー」

はぁ?力不足、役立たず、期待外れ。

「そんな地図が出せるのはハヴァバンドゥーンズローシミィだけだよ」

変に期待して損した。

「ハヴァ、バンドウさん、、、シミって誰?」

「トキヒコー!あたいの父なる存在を略すなー!」

「ハヴァバンドゥーンズローシミィ、クーリャの父なる存在なのですか。あなたの里で創造を行いし者となりますか」

「そうだよー」

ズロースの滲みって変な名前だけど、創造主!?風の民の国を作った神か!

「クーリャ、そのハバンドンズンロスィミは風の民の神様なのか!風の里、嵐の国に居るのか!?」

「違うー違うぞートキヒコ!あたいの父なる存在を間違えるなっ!」

「ああ、ゴメン(一発で覚えられない)。で、神様なのか?」

「そうだよー居るよー、父なる存在さ!エヘン」

存在する神様か。世界と言うか空間(?)は違うけど、そんな存在に会えるモノなら会ってみたいなぁ。


「それとクーリャ、記憶の石を『逆に入る』って言ってたけど、何それ?」

石の中に入る事も理解出来ないが、それを逆からって、もっと意味不明。

「あ〜人間はろくすっぽ理解も出来ないくせにー、何でも知ろうとするなぁ」

カチンと来るなぁ

「さっき言ったろ、29番位のリイリー・カティン・べへアン・ウッタリー・バーダル・ヴィラーサットと30番位のナアシサス・カティン・マハンジィ・パスチィミィ・バッシャヒ・ヴィラーサットの二人のねー様とあたいとで、記憶の石に逆から入ったのさー」

あー名前長い。風の民の名前って何なの?

「だから、逆からって!」

「あ〜、それか。あたい達三位でもって定めた記憶の石、今回は地図の石なー。無くなった内の一つだったのさー。だから三位で一緒に纏まり融合する事で記憶の石『地図の石』に向かったのさー」

良く解らん。でも融合って、合体でもしたのか?

「でも、あたいしか、石からは出て来れなかった。二人のねー様が、何処へ行ったのかわからないの、、、あたいも消えちゃうのかな、、、」

クーリャはしょぼくれた。

行方不明に、、、リーザの『越える』時にリーザから手を離すと、空間で迷子になるとかって、、、。

「そしたらねー、リーザリー・フェアルンが来たのー!あたいは飛び乗ったのー」

「でもですね、いくらクーリャが小さき、軽き者だとしても、私やサーシャインが気付かないなんて」

そうだ、いくらクーリャが姿を消したとしても、何かが乗ったり、接触した感覚は有るだろうから。

「あたいはねー、女王も知らないだろーなー、重さを消せるのさー。すごいだろーエヘン」

「でも秘密だぞー」

いやそれ、言っちゃったら秘密にならないだろ!

「そうでしたか。私は(トゥクルトッドドゥーの)サーシャインを供にしておりましたので、南周りで進みました。先程ユーカナーサリーが申しました、我が王の庇護とならぬエルフは我里の西と南と成り、王の結界は届かぬ場所」

ああ、エルフの里国以外に暮らすエルフ達。

そんなエルフ達も居るんだ。

「ですので、クーリャが現れたのは王の結界の外、結界の際だったのかも知れませんね」

だから女王ユーカナーサリーはクーリャと記憶の石に反応しなかったのかな?

「腹減ったー!何か食わせろー!」

わっ、唐突に何だ?でも何でコイツこっちの言葉(日本語)だと声の大きさ普通なの?大きい声が出るの?




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