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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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ダークエルフ 対峙する女王

「トキヒコさん、我が王の結界です。あの中には物であれ誰としても入る事は叶いません」

女王ユーカナーサリーの結界か。

「それと、後ほどお話しがあります」

ギャァー!リーザめっちゃ怒ってる!、、、解る。


エルフの里国の王、ユーカナーサリーが結界を張った。

しかし目には見えないはずの結界が、小雨を受けてその形が浮かび上がる。

それは女王を中心として半球のドーム状、お椀をひっくり返したように見える。

「イァーゼラック、ズィーザラック、カルスーラー、、、」

女王ユーカナーサリーは何か小さく言葉を発しながら、その歩を進める。

(魔力の呪文なのか、エルフ語なのか分からない)

そして、その結界が広がった。

それは、女王ユーカナーサリーとダークエルフと成った『揺らす木の者』を囲った。

女王ユーカナーサリーは自身の作った結界の中でダークエルフと一対一の状況を作ったのだ。

結界の中を干渉されない為と言うよりは、結界の外に影響が及ばない為なのだろう。

女王の側に立っていた大戦士である『左に立つ者』レウラーイ、『右に立つ者』ピラウロウは周辺一帯を守るようにその場に待機している。

私達は結界の外から、この行く方を見守るしかないのか。

ダークエルフ、、、理性を失った者。意識や意思、力の制御が効かない者。

エルフは私達人間より体格も肉体も越えている。プロレスラーや格闘家も軽くあしらってしまう力強さを持っている。

先程、ダークエルフの素早さ、ロウと張り合う力強さを目の当たりにした。

その制御を失った力が女王に向かうのか。

エルフの里国の王ユーカナーサリーの見た目は、うら若き小柄な少女というか女性で、身長は私よりも低い。

対峙しているダークエルフは女王の倍の体格をしており、大人と子ども以上の体格差が有る。

しかし女王ユーカナーサリーは、エルフの持つ術に加え彼女自身の家系から受け継がれた『魔力』を持つ。

『魔力』の仕組みや効果、効力など理解していないが、私からすると正に現実する魔法使いである。


女王ユーカナーサリーは自身の作った結界の中で、ダークエルフに問いかける。

「揺らす木の者よ、お主に何が起こった?」

(エルフの言葉による会話なので、私はさっぱり解らない)

「さくら!通訳」

「え~、ちょっと聞き取りずらいし、面倒くさい」

ダークエルフは女王に対して、何も答えてはいないようだ。

女王も続けての問い掛けは行わない。

女王ユーカナーサリーとダークエルフは、お互いに一定距離のまま、口を開かずに見つめ合った。

んー多分、意識での会話を行っているのだろう。でも、ダークエルフって意思や意識も吹っ飛んでるんじゃ無かったっけ?

女王ユーカナーサリーとダークエルフ『揺らす木の者』の意識での会話は続いた(たぶん)。

時間は過ぎた。霧雨の様な小雨は次第に強くなりつつあり、その雨に当たり続けて、女王ユーカナーサリーの作る結界の外に居る者は私も含め、皆ずぶ濡れの様になっていた。

しかし誰一人として、この場を動けなかった。

すると、ダークエルフは項垂うなだれる様に膝を着いた。

それは自分の首を差し出すかの様に、、、。

女王ユーカナーサリーは右手に握る大剣を軽々と振り上げた。

「我は、行わなければはらん」

(こんな結末しか無いのか、揺すり木の者が死ぬ、、、)

(ユーカナーサリーがダークエルフの首を落とす。ザーララさんから聞いた初代王ファウスの様に。でもその後ファウスは消えた。)

(もしもこのまま、ユーカナーサリーもダークエルフの首を落としたら、揺らす木の者を殺したのなら、、、どこかへ消えてしまうのか)

(揺らす木の者が死んでしまう!)

(何か、何か別の手立ては無いのか。結界も有る。私は見ているしか無いのか、、、無力だ。誰も助けられない、何も力を持たぬ者。私は無力過ぎる、、、この場に崩れ落ちてしまいそうだ。)

『ガシャン』

女王ユーカナーサリーが振り上げた大剣をその場に落とした。

「無理じゃ、、、我では無理じゃ。我には出来ん、、、」

女王ユーカナーサリーは頭を抱えた。抱えた頭を左右に振りながら、よろめいている。

「王よ!」

リーザが叫んだ。ユーカナーサリーに届いたのか分からない。リーザでもこの結界の中には入れないようだ。

ロウも動けない。

ユーカナーサリーに差し出す様に頭を垂れていたダークエルフは、大剣が落ちた音に反応して顔を上げると大剣を見た。

ふらふらと立ち上がると落ちている大剣に手を伸ばす。

「ダメだ!」

私は叫び、駆け出した。

左者右者レウラーイ、ピラウロウもユーカナーサリーに向かい駆け出した!

『バッチーン』

私は女王の作った結界に阻まれた。

「痛ってー」

私は弾き飛ばされその場で尻もちを着いた。

「トキヒコさん!」

リーザが駆け寄ってくれた。

「無茶です!」

あ、リーザゴメン。まあ何時の事だが。

その時!

空間が歪む、風が起こる。空気が熱を持ち、強い風が舞い周囲の草木が激しく揺れ捻じ曲がる。木々の小枝や葉先が炎に焼かれる。

歪んだ空間の中心辺りで複数の青きイナヅマが絡まるように暴れ出した!


そして、ザーララが現れた。


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