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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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ダークエルフ 揺する木の者

知ってる。オレこのダークエルフ、、、いや、このエルフを知っている。

彼は『揺らす木の者』。森に入り、樹木や木々に生育する実を採り、樹木に付く小動物を狩る者。私に森の中での生き方、授業をしてくれたサバイバルの先生だ。

以前私は南に位置する森の中、毒素の強い葉にかぶれてしまった事が有り、リーザが薬草となる草木などの原料を探しに森の中へ分け行った。私は腫れ上がった腕を擦りながら倒木に座りリーザの戻りを待つ事になった。

そこで私は彼と出会った『揺らす木の者』。彼は持参していた薬を処方してくれた。

その場で短いながら集中講座を受け、『子なる木、母なる森』というエルフの考え方や森林での暮らし方、森での狩猟(木の実やキノコの採取と食の判断方法、動物の狩り)、木との付き合い方、水の得方、、、それは森の中でのサバイバルに通じる教えを受けた。

その後も数度の付き合いはあった。

(エルフに比べて)足が遅く、力も弱く、木に登れない、水を見つけられない私に辛抱強く、優しく教えてくれ、二人して大笑い(エルフには珍しく)もした。

彼には恩もあり、情もある。

何でダークエルフとなって私の前に現れた!

「『揺らす木の者』何やってんだ!」

思わず叫んだが、彼には届かない。


「トキヒコ殿、お下がり下さい」

ロウが『ズィ」と私とダークエルフの間に割って入る。

「ロウ、オレはこのエルフを知ってる。知ってるんだ」

何でダークエルフになんかに成った。誰かを殺めてしまったのか。

彼が他のエルフを傷付けるなんて信じられない。エルフは無駄な殺生をしない。残虐性を持たない。彼はそれを体現しているようなエルフだ。素朴で優しさを持つエルフだ。なのに何故?

しかし、ダークエルフはトキヒコを見据え、ジリジリと動いている。


「お父さん、下がって」

さくら逞しく成長したな。でも、相手が誰であれ、自分の子を自分より先に危険に晒す事はしない。

「さくら、逞しく勇敢だ。でもこの場で勇敢さは要らない。前に出るな。それと避けろ」

先程見たさくらの動きであれば、ダークエルフとなった者の速い動きにも対応可能だろう。

でも対峙する、掴む事や戦う事になってしまったら勝手が違う。

さくらはスポーツ等での誰か、相手との対戦経験は有るだろうが、戦いは違う。

このような戦いにルールは無い。常に不意な動きを求められる。人間同志の喧嘩とも違う。揺らす木の者、今はダークエルフと成り果てた者。対峙する彼は悲しいかな今や獣にしか見えない。それも『狂気の獣』だ。

ロウは逞しく私の前に立ってくれている。

彼の腕力に加え、術や魔力を使えばダークエルフを抑え込む事は容易いかも知れない。

しかし、どうしたら揺らす木の者を救えるのか、どうやったらダークエルフからあの素朴なエルフに戻せるのか。


「ロウ、私はあのエルフを知っている。彼を元のエルフに戻す、何か手立てな無いのか」

「トキヒコ殿、ダークエルフに対する我らの知識は皆無に等しいです。ダークエルフ為る者が存在した事が有る、その程度の意識と口伝しかございません故」

ダークエルフ発生の原因は『エルフ殺し』の者であるとザーララから聞いたが、エルフはエルフを殺さない。だからダークエルフは出現していないから事例も無いし対策も無い。

唯一の事例でありその対策は、、、ダークエルフの首を落とす。殺す事、、、。

でも彼を殺せない。いや、エルフの誰一人としても殺しては為らない。理由はどうあれ、同族殺しを行えば人間と同じになってしまう。

この世界において、それは在っては為らない事と強く沸き上がって来る。でも、私に何が出来る?考えろ!


雨が、小雨ながら空から落ちて来た。

何か手段が、何か解決法が無いのか!

私は何も思い着かない自分にイライラした。無力だ。そして何も思い浮かばないまま、私の拙い思考の時間は終わった。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーがこの地に到着したのである。

少し離れた場所でトゥクルトッドドゥーから降りると、ゆっくりと歩み寄って来る。

大戦士である『左に立つ者』レウラーイ、『右に立つ者』ピラウロウとリーザを従えて。


「トキヒコ殿、下がられよ。さくらもおるのか」

女王ユーカナーサリーはいつもと変わらず自然体である。

リーザに睨まれてる。

「ロウよ、如何だ」

「王よ、ダークエルフ為る者、あの者です」

ダークエルフと成った『揺すり木の者』は何処へも行かず、殺気を携えその場に居る。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーがこの場に到着すると、彼の目線が向かうのは私から女王に移った。女王様の到着をまるで待っていたかのように。


ダークエルフの突然の突進!それは女王ユーカナーサリーに向けられた!

『バチィィィィーンン』

突進したダークエルフは、見えざる壁にその行く手を阻まれ弾かれた。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの術に魔力を込めた結界である。

「でも何故、ダークエルフとなった『揺らす木の者』は女王ユーカナーサリーに向かったんだ?」

『狂気の獣』となり果てて、無差別に暴れ出したのか?

(彼を救う、エルフに戻す方法は無いのか、、、。)

トキヒコは崩れて落ちそうな体と思いをグッと堪え、この結末に立合う覚悟を持った。



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