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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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ダークエルフ さくらに渡ったモノ

ロウはザーララとの念話を行い、渡るべき到着予定地のポイントの連絡を取った。

目指す場所は北の山岳地帯の麓となる深林地区、その東の山麓である。

北の山岳地帯の深部にはザーララの山岳城が有り、その山麓の先に当る。(山岳城と到着予定ポイントとの距離は相当遠いらしいが)

私はロウの背に乗り(一人騎馬戦もしくはおんぶ)エルフの里国の世界内を『渡った』。

これは言う所の『ワープ』だな。景色が流れるように見える中、私という物質が空気に溶け、もの凄く速い風になった様。でもロウに捕まっている感覚はしっかりと有る。なんか凄い体験なんだが、イチ人間としては、やっぱ何か変だ。


到着予定ポイントに無事に着くと、さくらが居た。

「さくら、どうしてココに?」

しっかりと外着に着替えて、靴も履いてる、、、ザーララだな。

「ザーララさんが、ココまで運んで下さったの」

あ~もう!ロウとの到着予定ポイントは打ち合わせていたから、さくらをここに送り込む事は造作も無かっただろう。

あっ、それで場所の打ち合わせなんかしたのか!まあ、あのエルフ何でもお見通しだろうし。実際、ダークエルフの発見の連絡もして来たようだから。

全く、私の一人娘をこんな所にポツンと置くな!

ただなぁ、さくらを山岳城から出したら、絶交って言ったのになぁ。

ザーララさんには今度みっちりと言わなければならん!


「ロウ、悪いがさくらを見てやってくれないかな」

「ええ、お任せ下さい」

「お父さんは?」

「オレはいいの。それにザーララさんは、さくらにロウを就けると言ってただろ」

「でも、、、」

「いいんだ、この中でオレが一番強いから。それにさくらに何かあってみろ、リーザに殺されるよ」

「お父さんが強い根拠が無いんだけど」

「いいのっ!」

たぶん今ココにいる中でオレが一番、弱い。


周囲にダークエルフは居ないようだ。

「この場所はザーララさんが指定したトコ?ココにダークエルフが居たって事?」

「ええトキヒコ殿、我らの到着位置がザーララにてダークエルフを術にて『見た』所との事。相手も移動をしている事は予想の範疇ですし」

まあ、じっとその場で誰かが来るのを待っている分けでは無いだろうから。

でもザーララさんは常にダークエルフを追い、監視はして無いのか。

そうだ、

「さくら、いい事教えてやる。さくらがオレから引き継がれただろう事を教える」

「え?ドカ食いと寒いオヤジギャグ」

「さくらのギャグはまだまだだ。先ずボキャブラリーが足りない。それとタイミング。ネタを出す間合いが掴めていない」

「何の話し?」

「だから、オレから遺伝された数少なき良い事!」

そう、数少ない事。

「さくらも少し気付いた事が有るかも知れないが、オレ達は見た物を判断するのが他の誰かよりも早いんだ」

「先日会社で職能なんちゃら意識のうんちゃら向上とか言う講義と面談があったんだけど、どうやらオレは目から入った情報を判断するのが早いらしい」

「その講義、大丈夫なの?『うんちゃら』とか『なんちゃら』とか」

「あー、講義の正式名覚えて無い」


「多分人と比べたら、その早さはちょっとだけだと思うけど、その面談の講師が驚いていたよ」

具体的に『何秒早いっ!』とは言われて無いけどね。

それと昔だけど、女王ユーカナーサリーに反応と判断が早いと言われた事もあったし。

「面談の講師にそう聞かされて思い当たる節は有る。周辺状況を見て感じ人より一歩目が早いとか、バイクで突っ込んだ時、避ける方向を早めに見付け大事にならなかったりな。死にそうになる事はあったかも知れないがほぼ回避したから今も生きてる」

「なんかお父さん若い頃、無茶してた?」

「そうでも無いよ。少しかな」

「少しでも、死にそうになった事に直面した人って少ないと思う」

「う、うん」

「だからママが怒ってる時の反応が早いんだ」

「そ、それは、そうかも知れないし、違うかも知れない」

どっちだ?

「で、さくらを見てて、そう思った。『判断力と動きが早い』とな。自分でも何か感じる所は有るだろう」

「私が思い当たる節、、、そうかも知れないかなぁ?」

「これは見た物が何かを早く判断するだけじゃ無い」

「例えば突然目の前に何かが飛んで来た。ボールなのか卵なのかコップなのか」

「ボールだ!と早く判断出来る人は多いと思うよ。でもここからなんだ、何か来た!ボールだ!それを受けるのか避けるのか打ち返すのか、迷い選び判断を下す。そして打つ!

見て判断する事に合わせて、実際に行動に移す事が連動出来る早さが、さくらは早いんだ。反射神経がいい!」

「お父さん、反射神経って存在しないよ」

「えっ、そうなの?」

「反射神経が神経と別に有る事になっちゃうよ」

「うん、まあ反射神経は置いといて、コレのメリットは意識しておける事。常にとは言わないが『私は目から入った情報は早く理解し判断出来る』と知り、そういった意識をどこかで持っていたら、そのスピードは上げられる。最近のオレが実践者だからな」

さくらの懐疑的な目。

「何でこんな話しをしたかと言うと、オレは知る、気付くのが遅かった。もっと早く、若い頃に知っていたら何かに生かせたのかなぁとの後悔から。でも実際に何に生かせるのかは分かん無いけどね」

スポーツ選手とかかなぁ

「面白い、なんか得した気分。ちょっと取り入れて、意識してみるね」

「そう、知っているのと気付いて無いのは大違いだと思う。人とはちょっとの差かも知れないが、その差がさくらに良い方向を与えるかも知れないからな」

「だから危険が迫ったり、周りがパニックになってて、さくらも体が慌てて行動しても、頭の中は常に冷静で早い判断力を使え。お前はそれが出来る」

「うん」

「それとな、リーザから肉体的な能力もどれだけかわ分からんけど、確実に受け継いでいる点は有る。だからな、オレから受け継いだ早い判断能力とリーザから受け継いだエルフの肉体的な能力を生かせば、エルフすら凌駕する行動が出来る!かも」

今、もしもダークエルフと向かい合う事になってしまったら、生かして欲しい。逃げ道を誰よりも早く見付けて欲しい。


「トキヒコ殿!」

ダークエルフが、、、出た!え?ウソ?そこに居る。

これがダークエルフ。肌が黒い。黒と言うか黒っぽい肌の色が全身にマダラに巻き付いている感じ。

表情は、、、無い。無表情で目線も確認出来ない。

見た感じが不気味。少し猫背気味だが、しっかりと立っている。だが、何か恐怖を感じさせる不気味さを纏っている。

どうやらリーザや女王様よりも先に見付けてしまった。(持ってる?オレ)

「トキヒコ殿、私の背後うしろに退がって下さい」

ロウの声が緊張している。

「ロウ、ダークエルフによる被害や傷付けられたエルフが出って連絡はまだ無いんだよな」

「ええ、その様な報告はザーララからもユーカナーサリーからも届いておりません。しかし、あの者からは危険を感じます」

以前出現したダークエルフも、その姿になってからエルフに危害を加えた話しは無かったけど。

さくらは、ロウの背後で私と並んでいる。

「お父さん、あいつ危なそうよ」

さくらも何か感じているのか。でもちょっとワクワクしてる?

ダークエルフ、、、こちらに気付いているな。でもどうする?

「ロウ、女王様にこちらの場所を伝えてくれ、こちらに来るように。でも、それまでどうする?」

「お父さん、捕まえる?」

「いや待てさくら。相手の程度が解らない」

お前のその気は抑えてくれっ!

ロウは理性を失ったエルフだから力も抑えられないだろうと。エルフの力、腕力は人間の比では無いから。

ロウが表現した『狂気の獣』。正にそこにいるダークエルフとなったエルフがそうかも知れない。

「取り敢えず、女王様が来るまで、見失わないように、、、あっ!」

動いた!速い!

「ムゥ、トキヒコ殿ご無事かっ!」

ロウがこちらに突っ込んで来たダークエルフの両腕を取り、留めた。見えなかった、、、でも、オレに向かって来た?

ダークエルフが襲って来た!でも何で?

「さくらっ!」

「大丈夫よ、お父さん。さっきの遺伝の話し、満更でも無いかもよ」

なんだその余裕は!?嬉しそうな顔すんな!

でも何で突然襲って来た?ダークエルフ化が進んだからか?

オレが人間だから、エルフ以外の他の生物と一緒にされた?ザーララさんから聞いた昔話だと、ダークエルフに鳥や動物が殺されたって、、、。オレ、小動物か。

ダークエルフと目線が合う。

ダークエルフは両腕をロウの拘束から振り払い、後ずさりして行った。

「ロウ、こいつ、ダークエルフ、、、オレ知ってる、、、彼を、このエルフを知ってる!」

なんてこった!




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