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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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ダークエルフの出現

「トキヒコさん、大変です」

リーザはこんな事は滅多に言わない。凄く緊張した顔である。

「どうしたの?」

それに反して、私は呑気である。

(また女王様が何か変わった事でもやり出したのかな?)

「王宮から召集が掛かりました。この様な事は初めてです」

え!女王様からの呼び出し?

「リーザ何かやらかした?」

いや、オレか?

「いえ、ダークエルフが出現したとの事です」

ダークエルフ、、、この間、ザーララさんから聞かされたばかりだよ。なんつうタイミングだ。でも、、、。

「リーザ、ダークエルフが出たって事は、エルフの誰かが殺された、エルフを殺したヤツが居るって事?」

リーザはエルフ『殺し』と聞くとブルッと震えた。

我々の社会だと『人殺し』が必ずニュースのトップ記事となるとは限らない程、日常化してしまっている異常な世界だ。

でもエルフの永き時間の中で、エルフによるエルフ殺しは今まで2回あったって、、、たったの2回。

リーザにとって『エルフ殺し』なんて言葉、聞いた事も無ければ考えた事も無かったのかも知れない。

「ごめんリーザ、変な刺激をさせちゃったね」

「いえ、大丈夫です。でもトキヒコさん、良くご存知ですね」

全くタイミング良過ぎだろ。ザーララさん何か感じていたのかな?

「うん、先日ロウの所へ行った時に過去に出たダークエルフについて、大まかに聞かされた。でもタイミングが良過ぎて気持ち悪い。リーザは王宮に出向いてどうするの?」

「はい、ダークエルフなる者を探し出す事以外は詳しく聞いておりません。この後王宮に赴きユーカナーサリーからの指示により行動となると思われます」

ダークエルフ、、、どんな姿なんだろう?

「オレも行くよ」

「成りません!危険が伴うやも知れませんし」

え~リーザだって何か危ないかも知れないじゃん。

まあ実質“力業”の場面では足手まといだけど。

「あーでも気になるし、リーザが心配だなぁ。女王様に私も呼んでくれるよう頼んでみてよ」

「私は余り賛成しかねますが、ユーカナーサリーには申し上げておきます。でも一応ですよ」

リーザはエルフの里国に『越えて』行った。


あー何か落ち着かない。

リーザやエルフの里国の皆が心配だし、ダークエルフが気になる。

ダークエルフがどんな容姿に、どんな色に変色しているのか見てみたい!と言う興味本意であることは否めないが、やっぱ何だかんだで心配だし、今現在のエルフの里国の状況が知りたい。

でもニュースが流れなきゃあ、情報を知るツールも無いし、、、そうだ!

「さくらぁ~」

二階の自室に居る、さくらを呼んだ。

「お父さん、何よ~」

トントントンとさくらは階段を降りて来た。

「リーザが向こう(エルフの里国)に女王様の呼び出しが有って出掛けた。しばらく帰ってこれないかも知れない。で、ザーララさんに連絡してロウをこちらに来させてもらえないか頼んで欲しいんだけど」

さくらはザーララと連絡が取れる指環を貰ってる。

「1,000円」

「へっ?」

「1回1,000円だよ」

「何で~?」

「だって私、お父さんの連絡係じゃないもん」

「えー」

困った。1,000円が惜しいのでは無く(惜しい)、何か教育上良ろしくない。でも、さくらはもうハタチとなった成人だし、、、

「嘘よ。いつものお父さんのパターンで対抗してみた」

うわっ、オレって嫌なヤツ。自分がやられるとムカつくわ。


『ズガーン』

と来た。

直接殴られては無いのに、その衝撃の感覚だけを受けた感じ。うわぁ~何か嫌。

「トキヒコ殿、参りました」

あーこれ、ロウがこっちに来ると私が受ける感覚か。嫌だ。

「悪いなロウ、突然に呼んじゃって」

もうロウはこっちに呼べんな。

「いえ構いません。それよりも如何いたしました?」

「うん、ここで立ち話もなんだ、入って」

ロウは玄関で履き物を脱ぎ私に続いて狭いわが家の狭い廊下を進む。

ロウはわが家には初めての来訪なんだけど、こちらに(人間社会に)住んでいた、生活していた、、、との感覚はちょっと別かも知れないけど(実際にどう暮らし過ごしたのかは知りません)、人間社会に居た事がある。

だから別段キョロキョロしたりせず、何か慣れた印象と言うか違和感が無い。

「こちらがトキヒコ殿のお住まいの住居ですか。コンパクトであり機能的ですね。効率性を求められましたか」

ただ単に狭いって言ってよ。

「庭に関しては、リーザリーによる仕業ですか。食用と観賞用が交互に、豊かさと景観さを感じます」

「うん、庭はリーザの独壇場だよ」

さくらはリビングに居た。

「ロウさんこんにちは」

「さくらさん、久しいです、こんにちは。人は少しの時間で変化と言うか成長が著しいですね」

ロウ、対応がエルフでなく人間的で普通だなぁ。

ロウにリビングのソファーを勧め座ってもらった。体格が良いので、ソファーが小さく見える。

「ロウ、本当に突然呼びつけて申し訳ない。ダークエルフが出たって聞いて」

「はい、私もザーララを経由するにて知り得ました」

女王様からザーララさんに伝わったのかな。

「で、情報が欲しい。それとロウの役割は何か有るの?」

「トキヒコ殿がご存知の様、我らの里国にダークエルフが出ました。正確には見た者が複数居たとの事です。目に見える被害は出ていないとの事。また、死んだ、殺されたエルフは見付かっておりません」

エルフが誰も死んで無い。

「じゃあ何でダークエルフが出たの?」

「まだ調査中との事。我らも情報が足りません」

何でダークエルフは出たのだろう?まだ殺されたエルフの死体が発見されていないだけなのか?

「私の役割ですが、今はまだコレと言った事はございません。ザーララもしくはユーカナーサリーからの指示待ちですね」

ロウは捜索隊には参加してないのか。

「ねえお父さん、ダークエルフって何?悪いエルフの事?」

「あーさくらは知らないか。私達、こちらの世界でダークエルフって言ったら、ファンタジー系の物語やゲームキャラとして出てくる、そう悪いエルフだな。でも里国のダークエルフは違う。エルフを殺して、その罪の意識に苛まれ、理性を失った結果、体表が黒っぽく染まりダークエルフになる。そうだ」

「お父さん、会った事や見た事は無いのね」

「無い。だから興味本意でダークエルフが見たいって言うのも正直ある。でも、ダークエルフが暴れて、誰かが怪我をしたり傷付くのは嫌だ。だからダークエルフを止める手助けと言うか協力出来る事が有ればやる」

「強いの?」

「へっ?」

「だから、ダークエルフは強いのかって」

「いや、知らん。ロウどうなの?」

さくらの突然の問いだが、何考えているのか分からん。ロウに助けを求めた。

「さくらさん、ダークエルフなる者が現れたのは随分と昔の事。故に現在の我れらの中の誰として対峙した者は居ないでしょう。仮に対峙する場面となり、相手は理性を失いし者です。意識や意思、力の制御が効かずどうなるのか予測不可能かと思われます。『狂気の獣』ぐらいの認識を持って対応すべきと思われます」

『狂気の獣』って、ダークエルフなんかスッゲー危ないじゃん!

「でも、ロウさんはハイ・エルフと呼ばれる凄いエルフ。私達でダークエルフ退治に行こうよ!」

「さ、さくら!何を言い出すんだ!」

めちゃくちゃだな。誰の血だ。

「何か協力出来たらって、お父さん言ったじゃない」

「だからって、さくらがダークエルフ退治に出陣する事は無いだろう」

突然、何を言い出すんだ。

「私は、お父さんがダークエルフに興味を持ったのと同じ、私も興味がある」

「あーダメだ。オレもリーザにエルフの里国に行くのはダメって言われたし、女王様も別段来ていいとは言って無いぞ」

実際まだ、女王様へは私の行く気は伝わって無いだろうし。

「ちぇ〜、ケチ」

「ケチとか言うな。オレも向こうへ行けないの」

さくらは、ダークエルフによる危険が有りそうな今のエルフの里国には行かせられないな。

「トキヒコ殿、私であればお二人を一緒に『越える』事が可能ですが」

「ダメ」


「ザーララさんが来てもいいって」

あ、さくら、いつの間に!

さくらはザーララの指環で彼女と会話をしたみたいだ。

「あっ」

摘まれた。そして『ポトン』と、、、私はザーララの山岳城のホールに居る。

「よう、トキヒコ!」

あーもう、いつもこっちの都合はお構い無しだから。さくらもしっかりと連れて来られている。

「ザーララさん!こんにちは。お招きありがとうございます!」

「おう。さくら、ダークエルフ退治に行くのか」

「はい!」

ちょっと、ちょっと!

「さくら!危険かも知れないのに勝手を言うな!」

もう、怪我でもしたら、何かあったらどうすんだよ。リーザにオレが殺されるよ!

「トキヒコ〜、何を案ずる。さくらにはロウを従させるし、わたしが居るでしょ」

ザーララとは、リーザとさくらに命に関わる危険が迫った時に彼女の力で守ってもらう契約(?)をしている。

が、親としては子供を危険に晒す事(実際どうなるのか全く分からない状況だし)には承諾しかねる。





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