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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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女王への贈り物 花の王拗ねる

「トキヒコさん、大変です」

何事!?リーザがこんな事を言うことはほとんど無い。

これはよっぽどの事、一大事を予感させる。

リーザは慌てた様子は見せないが、顔色が何かよろしくない。

私は身構え、リーザに聞いた。

「何があったの、何が起こったの?」

リーザの顔色は冴えない。

「ユーカナーサリーが、、、」

女王様に何が!

「先日、花の間に上がり、我が王に謁見したのですが、、、」

『花の間』は、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの玉座のある部屋だ。

「王がですね、、、」

ゴクリと生唾を飲んでしまった。リーザの話しの先に耳を傾ける。

「トキヒコさんに頂いたブローチを見て」

見て?

「拗ねました」

正にガクッとなった。変に身構えて損した気分。

「それはそれは、落ち着いて頂く、なだめるのが大変でした」

リーザは当時の状況を思い出したのか、『ふぅ』とため息とも取れる息を吹き出した。

「で、今は何とか落ち着いて下ださってるの?」

リーザの表情は暗いままだ。

「はい、一時のようなワガママとも取れる態度は見られませんが、、、暗いです。雲が多く出ておりまして、まるでユーカナーサリーの持たれたお気持ちが里国全体に影響を及ぼしてしまっているのではないかと勘ぐってしまうほどです」

何なのそれ!まあ女王様の持つ膨大な力の影響なのか!?ただリーザの話しからは単に端迷惑な話し。でも本当にそれの影響が里国全体にって、大き過ぎなんじゃない?

「エルフってさ、ねたんだり、うらんだり、余りしないんでしょ?」

多少はあったとしても、ある程度と言うか自然と感情を抑えているんじゃ無かったっけ。

「ユーカナーサリーは特別です。それに我々エルフも憧れは持ちます」

憧れかぁ

「リーザ、ごめんね。少し聞き知った事を先入観にしちゃってたみたい。私のエルフ達に対する理解が足りなかった。ごめん」

リーザ(と女王ユーカナーサリー)は、相手の思いを読み取れない人間の私に接する為にエルフには似合わない言動、態度を取ってもらっている。取らさせてしまっている。

もしかすると、無意識の内に取る仕草さや理性までも人間寄りにさせているのかも知れない。

そう思うと胸かチクッとする。ありのままの姿を抑え、どこかで無理をさせてしまっているのではなかろうか。

人と人の付き合いって、お互いにある程度の遠慮や気遣いは必要だけど、自分の気持ちや行動を無理して抑えて付き合わなくてはならない相手はプライベートでは遠慮したい。

『腹を割って話せる相手』はなかなか出会えないかも知れないけど、お互いがお互いの良い悪いを理解出来る相手と付き合いたい。そんな相手だと自然と遠慮や気遣いも出来るし。

それは相手がエルフであっても同じだ。

でも、リーザと女王ユーカナーサリー、この二人に関してはコレが本来持つ『素』の姿じゃないの!と思わさせられる事も度々だが。

「いーえ、トキヒコさんはその様な事を一切考え無いで下さい。私が窮屈になってしまいます」

エルフ、、、リーザは聡明で優しいな。でも、何か私に出来る事は有るのかなぁ?

リーザと同様に女王ユーカナーサリーにもブローチをプレゼントすればいいのかなぁ

でも、理由も無く何かを贈っても、当の本人はどう受け取るだろうか。

機嫌を治してもらう為の姑息な手段として、逆に怒りを買うかも、、、解放された膨大な魔力による攻撃!ってどんなのか分からないが、無事では済みそうに無い。私は塵となるだろう。

「リーザ、どうすれば、何か私に出来る事は有る?」

まあ女王様から目を掛けて頂いている人間として、リーザが関係上主従している位置の者に対して、他人事では済まされない。

「ええ、何か妙案が無いモノか、トキヒコさんに相談です」

う〜ん、何も思い浮かばん。

「女王様のお誕生日パーティーとか、即位何年記念とかは近々無いのかなぁ?それとエルフ達ってプレゼント、何か物を贈り合ったりする事な無いの?定期的にとか、お祝い事とか」

お誕生日に始まり、日本であったらお中元やお歳暮、進級や昇格時、労いや感謝の意味も込めて等、それこそクリスマス!何かしら色々な『贈り物』が行われる習慣があるが。

「我々エルフには決まった時期や行事に関し、個々に贈り物を行う習慣は有りませんし、民達による社会としても贈り物を行う慣習も特に有りません」

ふぅ~ん

「私は我が王より、住居や衣服等の多くの物を頂いておりますが、特例的な事だと認識しております」

エルフは何かを他の誰かにプレゼント、物を贈る事を習慣としては行わないのかな。だから女王様、ユーカナーサリーは我が家に来て下さった時、スルメとかお菓子とかをお出しするとあんなに喜んで下さるのかな?

「リーザ、女王様にもブローチをプレゼントしよう。でも何か特別な理由でも無いと、逆に不審がられてしまうかな?」

元々記念日や贈り物のやり取りの無い社会の中で唐突にプレゼントを渡されても、変な勘ぐりをされちゃいそうだし。

「そうですね、ブローチは喜んで下さると思います。私は凄く、大変嬉しかったですし、今も嬉しいです。トキヒコさんありがとうございます」

感激屋さんのリーザ好き。

「でもですねトキヒコさんが仰る通り、意味もなくプレゼントされたらユーカナーサリーは何と思われるのか解りませんね」

「まあ、意味は有るけどね。いつも何かとお世話になっているイメージが有るし、実際に私がエルフの里国に行った時はお世話になりっぱなしだし」

まあ、事実だ。

「日頃の感謝を込めて、、、でもいいのかも知れないけど、タイミングがね、リーザのブローチを見て拗ねたって、、、『我が欲しがったからかー!』とか言い出しそうだからなぁ」

「少し、困りましたね」


取りあえずプレゼントするブローチを準備しよう。

プレゼントなのだから、値段では無い(あくまでも私の持論)。

でも一般的な市販品だったら、いくら高価な物であっても貨幣文化が無く、物質的な価値観の違うエルフにとっては人間社会におけるその物が持つ価値がどう伝わるのか。『姑息』に準備したと思われたら準備したこっちが残念だし。

ユーカナーサリー、目ざとい。私が選んで購入した物で良いとは思うのだが、リーザにプレゼントしたモノは個人製作だとしても特注品だ。それと比較されちゃうと、モノが持つニュアンスに何かを感じるだろうし、市販品だったら我が家に来た時にネットで調べるかもなぁ


私は電話を入れた。

「あ、突然ゴメン。大至急でブローチを作って欲しいんだけど」

電話の相手は、リーザにプレゼントしたスズランのブローチを作ってくれた者だ。

「うん、うん、、、特急料金?!

払うよ、払います。

うん、1週間では無理?、、、半月以上3週間~クオリティ、、、ああ、そうだね

え、今から!はい、、、

お金は?、、、ああ、完成後でいいのね。

行きます、一時間ぐらい、、、そう

、、、じゃあ」

なんとか作ってもらえそうだ。

「リーザ、ブローチ作りの職人のとこへ行きます。一緒に行こう」

「はい」

車で『ブローチ職人』の家へ向かった。




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