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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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女王への報酬

リーザの妊娠が発覚してから、毎日エルフの里国の王、ユーカナーサリーがわがアパートに訪問頂いている。

目的は、リーザのお腹の中の赤ちゃんである。

リーザは世界初(?)人間とエルフとの間に子を身籠った。

人間とエルフとの生物学的、生命体としての肉体的な差異や遺伝子・細胞原子の同位についての調査や確認は行っていない。

だけどリーザは妊娠した。私とリーザの赤ちゃんである。

そこには人間もエルフも関係無く、ただただ新たな生命が、安全に育って欲しい願いだけである。


エルフの女王ユーカナーサリーは膨らみ出したリーザのお腹にそっと手をかざす。

リーザは妊娠6ヶ月を過ぎ、お腹の膨らみははっきりとしている。

全体にふっくらした印象になり、女神様みたい。あっ、元々私の女神でした。

「うむ、良いぞ。我は子を育てた事は無いがの、リーザの中に悪しき流れも、その予兆も感じん。順調に新たな命の形が育まれておる」

女王ユーカナーサリーに太鼓判を頂くと安心感が染み渡る。ありがたい。

リーザも女王ユーカナーサリーの言葉を聞き、豊かで明るい表情をしている。

女王ユーカナーサリーは魔力を行使しお腹の子の育成状態の監視に加え、人間とエルフとの違いの影響から、何か不具合が起こらないかの観察と調整も行って頂いてる。

「ユーカナーサリー、いつもありがとうございます」

感謝仕切れない思いだ。

「良い、良い。これは我の責務じゃぞ。感謝はされども礼には及ばん」

ありがとうございます。

「しかしユーカナーサリー、何か私で出来る事は無いのでしょうか。今のままですと私の気が済みません」

本当にお忙しいだろう合間を縫って来て頂き、その上無償だ。

「おう、日本人の礼節の一環と考えて良いのか。うむ、ほうじゃなぁ~、何か我に貢げ。但し食品に限るな。物品を貰ろうてもの、里国には持ち帰れぬやもしれぬし、価値観がお主と我らでは違ごうぞ」

今、礼には及ばんって言ってなかった?

えー食べ物って、、、?何?

エルフの里国にて、王との地位に就いてられるので、美味しい物、珍味や旬の物などはいとま無く食されておられるのであろう。

「あー、ユーカナーサリー、何かご希望されるモノはございますか?リーザ、何がいいと思う?」

あっち(エルフの里国)とこっちの食べ物を知るのはリーザだけだろう。

「そうですねぇ~、味覚に関して私達はさほどに違いは無いと思われます。こちらの世界での物となりますと、余り合成調味料や化学調味料の使われていない物が良いでしょう。ですが別段に珍しい物では無くて良いと思われます。実はユーカナーサリーは甘味、甘い物がお好きな傾向がございます」

スィーツか。でもリーザ、女王様の秘密を暴くような言い方をした。

「これ、リーザよ。我の趣向嗜好を漏らすでない」

へぇ~女王様、甘党かな。

「お酒を嗜まれると伺ってますが」

「酒、蒸溜酒じゃな。特別な日にしか飲まんし、余り好きではないのぅ」

女王様の特別な日って、どういう日だろう。

「ユーカナーサリー、今の私が暮らしております現代社会において、何か気に入ったモノはございましたか?」

そう言えば、何度かご来訪頂いているが、料理にしろお菓子にしろ余りお出ししてなかったなぁ。

「特にコレといったモノは食べておらんからのぅ」

やっぱり、すみません。

「じゃが、気になるモノ等は多々有る」

女王様が気になるモノ?

「何でしょうか?」

「うむ、それじゃがな、麺類じゃな。アレは興味深い。先ずはあの形態、細く長く柔らかい。そしてバリエーション。うどん、ソバ、パスタ、小麦に等しき粉を用い使いながらも地方が変われば国が変われば、ああも形態を変えるモノかと。食文化の広さ深さかと少し関心しておる」

麺類はみんな好きだ。でも、エルフの里国にラーメンは無いのか。

「トキヒコ殿、テレビジョンで良く流れておる、あの小さき器の物。カップ麺か、一度食したく思うぞ」

カップラーメンでいいの?

「それとな、・・・・・、、、じゃ」

ん?何、小声?

「申し訳ございません。聞き取れませんでしたので、もう一度お願いします」

「・・・、アイスじゃ、アイスクリームと申したのじゃ!」

へぇ~、でも何が女王様を躊躇させたのだろう。リーザが言っていた、甘党がバレるのが恥ずかしかった?

「あれはな、テレビジョンの宣伝放映を見る度に、何かこう~我に響く。如何なる物か一度試さなくては王としての立場が廃る」

なぜにそこまで大袈裟に?照れ隠し?

リーザは微笑んでいるが。

「カップ麺は今手元に有りませんので、ちょっと買って来ます。ですが、アイスはここに有りますので、先に召し上がられますか?」


私は冷蔵庫からバニラ味のカップアイスを取り出し、銀色のスプーンと共にユーカナーサリーへ差し出した。

「ユーカナーサリー、こちらでよろしいでしょうか、バニラ味のアイスクリームになります」

女王様の目が輝いているように見えるのは気のせいか?

「上の紙のフタをお取り下さい」

あ、もうフタ取っちゃった。お皿に明けた方が良かったかな?直渡ししちゃったよ、配慮が足らんなぁ~オレ。

そう考えていたら、ユーカナーサリーは早々に一口パクっと。

「こ、これは、、、何と!、、、旨い。旨いのおぉ〜口の中で、舌の上で溶けたわい。冷たいのじゃのぉ〜堪らん、たまらんぞ!」

おお~本当に目が輝いた!

「何故じゃ、何故今まで隠し持っておった。何故じゃ!」

いや別に隠し持ってただなんて、大袈裟な。

「リーザ、リーザよ!お主はアイスクリーム成るモノを食した事は有るのか?」

「はい。トキヒコさんより頂いております」

『バン、バン、バン!』

ユーカナーサリーがテーブルを叩いた?

「報告が上がっとらん!コレは良きモノぞ」

「ユーカナーサリー、申し訳ございません」

リーザは舌を出して、私を見た。

「ユーカナーサリー、失礼いたしました。アイスクリームは買い置きしている分けではございませんので、常に備えてはいませんので、、、」

「しかしなトキヒコ殿、我の立ち位置を鑑みられよ。玉座におりながら、あれが欲しいこれが欲しいなどと申せる分けが無かろうぞ。我は受ける立場じゃ、その者が求むる者となってどうする」

しっかりと、カップ麺とアイスを要求された気がしたのだけど?

う~ん、貢ぎ物は自身が選ぶ、指定する物では無いか。

「だかの、ここ、トキヒコ殿のアパアトに居る我はユーカナーサリー成るぞ。よってじゃな、かの物は常備せねば成らん。我への貢ぎ物として常備し、切らす事はまま成らん!」

都合のいい王様だなぁ

「ユーカナーサリー、そんな勝手を申されても困ります」

リーザの一言。

「まあまあリーザ。ユーカナーサリー、女王様から頂いております多くの暖かな行為に対して比較するなら、アイスクリームを常備する事など取るに足りません。是非そうさせて下さい」

(安っすぅ~、いいのかしら)

「では、カップ麺を準備しますね。リーザ、買い物に行って来るけど、欲しい物、必要そうな物ある?」

リーザの返事を飛び越して

「トキヒコ殿、カップ麺成るは本日は良い。それよりもアイスクリームをもう一つ手配してくれぬか」

もう食べちゃったの?

「ええ、構いません。では、味のお好みはございますか?今、召し上がられましたバニラ味とは別の物が」

「なんと!味を選べれるのか!」

いや、テレビのCM観てただろうし、ネット検索だってやってるはずなのに。

「それは、ちと困るのぉ。難題を我に振り掛け、貴殿は何を思うぞ?」

いやいや難題って、何?

「あーユーカナーサリー、大体ですが、バニラ味の他にチョコレート味とイチゴ味、抹茶味などが比較的入手可能です」

バニラ味以外の選択肢を三つにさせたから、迷わないでお選び頂けるかな。

「、、、無理じゃ、それを我に選ばす事は無理じゃ。何故トキヒコ殿は酷な事を言い、我を窮させる、何の恨みじゃ!」

いえいえいえいえ、恨みだなんて、滅相もございません。

「トキヒコさん、トキヒコさんがお一つ選んであげて下さい」

「リーザ、何を申す。我は今困難な選択を迫られておるのだぞ。王成る我が他人に選択を委ねてなんとする」

いや王様、そこまで悩まれなくても、

「トキヒコさん、埒が明きませんので、チョコレート味にして頂いてよろしいでしょうか」

「ま、待てリーザよ、早やるで無い!」

あー、こりゃダメだな。

「ユーカナーサリー、今後の参考にもバニラ味と別に三種類全部揃えますので、お許し下さい」

エルフの里国の王、ユーカナーサリーがビクンっとなった。

「トキヒコ殿、それは、、、」

「そうします。私がそうしたいんです」

余ればリーザが食べればいいんだし。

「おう、そうじゃの。我は王として此度の選択に関して、貴殿に命ずるとしょうぞ」

選択してないよ、全部だよ。



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