リーザの懐妊
リーザ、何か体調が、なんかイマイチなのか?
何時も私より早起きのリーザが、最近睡眠時間が少し長いように感じてる。眉間に皺を寄せ、機嫌が悪そうな顔を少しだけする時も見られる。かな。
「リーザ、調子悪いの?」
少し心配。
「いえ、トキヒコさん。別段悪くは有りません。ですが、調子が上がらないと言うか、少しですが力の回復に時間が掛かる、遅い気がしますね」
なんだろう。
「こちら(人間社会)で何か悪影響をリーザに及ぼしちゃってる事があるのかな?いや有るだろうなぁ。でも何だろう」
「う〜ん、特に別段、、、悪くは有りません」
人間社会というか、エルフの里国に比べて(ここは田舎街なんだけど)近代的な環境が~アスファルト、コンクリートの地面、電気の光、消毒薬、何より空気~悪影響を及ぼしてるんだろうな。
「リーザ、来週の週末は森林浴にでも行きますか」
自然のパワーを吸収すると良いかもな。
「トキヒコさん次の週末ですよ、連れて行って下さい!」
うんうん、リーザはその笑顔が一番だよ。
夕飯の買い出しに行くけど、久しく駅前商店街に私行ってない。
「リーザ、商店街に買い物に出掛けようか」
「はい、是非。今夜は何を頂きましょう」
「う~ん、最近お肉ばかりだから、魚屋さんに行こうか?」
「はい、そうしましょう」
駅前商店街には歩いて行く事とした。
天気もいいし、自転車の方が楽だろうけど、並走出来ず前後に並ぶから会話はしずらい、叫ぶようになっちゃうだろうし。今の気分とちょっと違う。
「魚屋さんは、店頭に行かないと何が並んでいるか分からないからなぁ」
「はい、その日の水揚げ量や釣果に左右されますし、お店の方の好みやお客さんの傾向等で仕入れ具合も変化は有りますね。でも何と言っても“旬の魚”が存在しますからね。楽しみです」
あ〜細かな魚屋の状況解説をありがとう。リーザの知識、真剣さが微笑ましい。
歩いて10分。程なくして駅前商店街に着いた。
私達は大股気味で歩くので、一般的に少しだけ速いかも。
「リーザさん!」
早々パン屋の女将に捕まった。
半強制的に店内に入る。
実際パンが焼けるいい匂いに誘い込まれたけどね。
一般的な大手のパン会社の菓子パンと比べると少しお値段は張るが、ココで作られた物。フワッと柔らかく温かい。パン会社の人には申し訳無いが、作った人の顔が見れるのは何か安心感を与えてくれる。
それでやっぱ美味しいしな。
食欲をそそられる、キラキラしたパンが多く並ぶ。
クリームパンやアンパンと言った定番品から、このお店独自の調理パン。そんな美味しそうなパンを眺めつつ
「あ、食パンのミミ有ります?」
昔揚げパンにして食べた記憶が呼び起こされた。貧乏学生時代に学生寮で友人達と空腹を紛らす為にパンのミミをどうやったら美味しく食べられるのか、色々とアレンジを楽しんだ記憶も合わせて出てきた。
袋いっぱいのパンのミミ。10円。
「えへへ」
何か嬉しい。
「トキヒコさん、パンのミミをどうされるのですか」
うんうん、リーザ。
「コレはね、揚げパンにしたり、ケーキのスポンジ代わりにしたり、乾燥させてパン粉にしたり色々と使えるんだ。学生の頃にパンのミミでオヤツや友人達と新たなチャレンジ料理の食材として色々と作ったりもしたんだ」
「おやあんた、苦学生だったのかい?」
う~ん、苦学生と言うほどではないけど、苦学生に怒られるわ。
パンのミミ=貧乏学生のイメージは確かに有るが。
「いえ、ほら、仕送りはちゃんと貰ってましたが、お金は色々と使っちゃうじゃないですか」
仕送りの多くはバイクに消えていた。
店主のオヤジが新たなトレーを持って店頭に現れた。
トレーに載せられているのはカレーパンだ。
出来立てのカレーパン、揚げたてで凄く美味しそう。匂いにも惹かれる。
「リーザ、カレーパン食べる?私はもう今、頂くよ!」
パン屋の外に出て、カレーパンをガブリ、旨い!美味しいなぁ~。
リーザもガブリ。
「美味しいですね!」
「うん、何でも出来立てが一番だよ」
食べ歩くのは少しお行儀が悪いけど、許して~。カレーパンが美味しそうだったので家まで待てなかったのよ。
そして本日の一応目的地、魚屋さんに着く。
「こんにちわ~」
「ああ、いらっしゃい。スルガさん久しぶりだね。もっとウチに来てくれないとダメだよ」
「はぁ」
曖昧に答える。だってオレ、お肉派なんだもん。
「特にコレって決めてないのですが、旨くて多くて安いお勧めを」
私が良く言っちゃうパターン。
「そんなに都合のいい物は無いよ。でも待てよ」
こうやって対応、考えてくれる人、好き。
「おや、リーザさんいらっしゃい。それとそのダンナ」
魚屋の女将さん出てきた。
何時もの事だが『そのダンナ』。
この女将さんは、リーザの魚料理の先生でも有る。色々と強引だが、良くして頂いている。
「女将さん、こんにちは。今日はお魚を頂きますが、先日のノリのようにご飯の乗せて美味しく食べられます物は有りますか?」
この間の岩海苔は、ここで買ったのか。
「女将さん、こちらのは何でしょう」
「イカ塩辛だよ、味見してみるかい」
「はい、是非」
「こちらは?」
「酢ダコ」
リーザ、モグモグと嬉しそうに摘んでる摘んでる。
「トキヒコさん、イカの塩辛と酢ダコ両方買って下さい。あと今夜はアジの揚げ物にしましょう。レモンをたくさん搾りたいので、八百屋さんにも行きましょう」
何だ?リーザの購買欲!
「あんた」
「はい」
「お嫁さん、お目出ただよ」
「はい?」
え?
ええー?!!




