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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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トキヒコ、エルフの里国を行く 黒きトゥクルトッドドゥー

「さてと、ではお前ら病気や怪我をせずに元気でな」

 ここのトゥクルトッドドゥーの怪我もコレで良いだろう。


 エルフでないとあのトゲは抜けなかっただろう。あのトゲのツルも。

 こいつらは助けを求めていたんだな。丁度、都合良く我々が現れたって事だ。良かった良かった。

 さあ、私達も王宮に戻ろう。

 私はヅリューズに向かった。黒きトゥクルトッドドゥーに背を向けた途端!

「パクッ」

 と咥えられると、体が浮いた。

 黒きトゥクルトッドドゥーに咥え上げられてしまった。


「あわわわわ、よせよ!」

 黒きトゥクルトッドドゥーは私を咥え上げたまま、首をクルッと回すと、ドスンとその黒き背に乗せられた。

 うわぁ高い!落ちたらえらい事だ。

 仕方なく私は黒き首を両手を回して腕で抱え、足を回し正にしがみ付いた。太い柱を抱えるが如く!

 ヅリュースが焼きもちでも焼いているように近付いて来たが、黒きトゥクルトッドドゥーは意に介しない。

 そしてユラリと歩き出した。

「おいおい、何処に連れて行くんだ?」


 しばらく道なき森を分け進むように、トゥクルトッドドウー達の行進は進んだ。

 リーザとサーシャイン、ヅリュースはこの黒きトゥクルトッドドゥーの横に並んだ。

 黒きトゥクルトッドドゥーの背から見下ろすリーザはサーシャインの馬上から心配そうな顔で黒きトゥクルトッドドゥーの首にしがみ付いている私を見る。


「何処に連れられるのかな?」

「トキヒコさん、落ちると危険です。しばらく辛抱しましょう」

 別段、手足は自由なのにどうする事も出来ない。ただただこのまま、黒きトゥクルトッドドゥーが止まるまで、この首にしがみ付いているしか無さそうだ。

 黒きトゥクルトッドドゥーは歩く速度を上げるでもなく、優雅にどっしりと歩を進めた。

 そんな感じで、しばらく森の道なき道を進んだが、再び黒きトゥクルトッドドゥーに咥えられ、優しく地上に降ろされた。


 黒きトゥクルトッドドウーは首を伸ばし、クチバシを器用に使うと、木々の高い位置に生っている黄色い実を取った。そして首を回すと、私に差し出して来た。

 頭上高くを見る。この木の上の方に黄色い果物の実が生っている。

 この黒きトゥクルトッドドゥーでないと届かない、取れない高さだ。

「へぇ~オレにこの実をくれるのか。手当したお礼かな」

 トゥクルトッドドゥーの恩返し?

 つやつやと黄色く輝く実。キュウイよりも大きいな。リンゴを丸噛りするみたいに皮を袖でキュッキュッと磨きガブリと噛みついた。

「美味い!」

 なんだコレ?甘くてスッキリ、でもジューシー。何か体が温まって、パワーがみなぎる感じ!

「ザザーガンの実が、こんなにも多く実っています!」

 この黄色の実の生る上空を見上げ、リーザは驚いている。確かザザーガンは希少だと言っていたなぁ。


 私は足元に置かれた、黄色い実、ザザーガンの実を二つ拾い上げると、ズボンで擦って少し磨き、ヅリュースとサーシャインにも食べさせた。

 二頭のトゥクルトッドドゥーは私の手から黄色いザザーガンの実をパクッと咥えた。

「いいかあ、種は食べちゃダメだぞ。大変な目に合うからな」

 リーザにも袖で磨いたザザーガンの実を渡した。

「はい、リーザもどうぞ」


 黒きトゥクルトッドドウーは幾つものザザーガンの実を取って寄越して来た。

「もうそんなに食べれ無いよ」

 私は手を振って、ザザーガンの実を取る事を止めさせた。

「トキヒコさん、ザザーガンの実が生っている所は殆ど見られません。私も初めて見ました」

 リーザ、何か言葉が無いというか、少し放心状態?

 へっ、まあ希少果実って言ってたもんなぁ

「ザザーガンはツル植物です。その実を着けるのは、地上よりとても高い位置になると言われてます」

 リーザ、上を向いたままだ。

 うん、確かにここは高い木が生い茂り、実際に高い場所に実が生ってる。普通じゃ余り気付きそうも無く、見付けたとしても実際届かないな。高所作業車とかを持ってくれば割と楽に取れそうだけど。

「私達エルフの植物の育成技術や術を用いても、栽培に成功した事は有りません」

 希少果実所以か。


「でも、さっき頂いた魚料理に使われていたよね?」

 種を種を齧って、えらい目に合った。

「実際にツルに生っている状態でザザーガンを採取した事は余り聞きません。無いかも知れません。どこに生育しているのか、自生地も不明です。道すがら、鳥などが食べ残した物を拾い持ち帰り、その種を利用する事が殆どです。ですから滅多に見つからないザザーガンの種は見付けた者に幸運が訪れる『幸運の種』として呼ばれ、見付けた者は讃えられます」

 『幸運の種』!あの料理人、大変なもてなしをしてくれたんだ。なんせ女王様に出される料理と同じ扱いだもんなぁ。今度行ったら改めてお礼を言おう。

 しかし『幸運の種』かぁ。すると何?大発見?!


「トキヒコさん!大発見です!」

 あ、そうなんだ。ここをエルフの皆に教えたら喜ぶぞ~

 もしかして、一獲千金!エルフの里国で大金持ちに!あ、エルフお金持って無いや。

「トキヒコさん、我が王に報告しましょう!」

「うん、早く戻ろう、、、」

 いや、、、何か違う。何かが引っ掛かる。こういった行為は一方に取っては有益だが、他方にしてみれば迷惑だ。

 人間が地球上で繰り返し行った来た事と一緒では無いのか。

 ここはエルフの里国だ。何が良くて何がいけない事なのか、私は理解していない。だけど、今ここで起こった、思った事は違うと感じる。

「、、、ダメだリーザ」

 私は黒きトゥクルトッドドゥーを見た。彼も私を見ている。


「リーザ、すまない。ここをエルフの皆、女王様には教えられない」

 リーザは反論するでも無く、私の言い分を聞いていてくれる。

「ここは、こいつら、この黒きトゥクルトッドドゥー達の縄張りだ。エルフが大挙してここに来たら何が起こる?」

 そう、たとえエルフが大挙して来なくても、エルフ達の出入りが多くなれば、彼らの生活が脅かされるかも知れない。エルフとの間で軋轢が出来、エルフ、トゥクルトッドドゥー誰かが傷付くかも知れない。

「誰かが自然とこの場所にたどり着き、このザザーガンの自生地を発見する事は仕方がないと思う。でも私がそのきっかけには成りたく無い」

 リーザはコクりと同意してくれた。

「私はトキヒコさんに同意します」

「ありがとうリーザ」

 女王様には意識の面で伝わってしまうかもな。

「ですがトキヒコさん」

「はい」

 何か?

「ザザーガンは別名『旅する果実』とも呼ばれています。別の日に改めてこちらに来ても、ザザーガンは見つからないかも知れませんよ。私も余りの事で少し慌ててしまいました」

 リーザは微笑んだ。

 この場所に張り付いても、一獲千金とはならないのか。あ、エルフお金持って無い(再び)。


 黒きトゥクルトッドドゥーが取ってくれたザザーガンの実をあちこちのポケットに10個程詰め込んだ。

 どうやって手に入れたのかを誰かに聞かれたら、野生のトゥクルトッドドゥーに貰ったと言おう。嘘じゃ無いしな。

「さっ、では今度こそ、お前らケガせずに元気でな。またいつか会おう」

 黒きトゥクルトッドドゥーはゆっくりと寄って来た。別れが名残り惜しいのか。

「そうだなぁ〜こんなに立派なトゥクルトッドドゥーに『お前』じゃあ失礼だな。う〜ん、何か呼び名を。大きくて、美しく、立派で、ここら辺のボス・トゥクルトッドドゥーだろう」

 何かカッコいい呼び名があれば、次に会った時にニックネームであっても、名で呼べるからな。

「、、、キングブラック!リーザ、どうでしょう?」

「黒き王ですか。トゥクルトッドドウーに対し『王』と呼ぶには抵抗がございます。」

 そっか。ではでは、、、

「ブラック、、、ボス」

 あー、ダサいか。語弊力が、、、。

「良いのではないでしょうか」

 そ、そお?

「実際にこの黒きトゥクルトッドドゥーはこの周辺のリーダーでしょう。ボスは的を射てると思います。」

 良し!

「お前はブラック・ボスだ。またいつの日か会おう!」

 黒きトゥクルトッドドゥー、ブラック・ボスは私に首を預けて来た。

 私はその首をワシャワシャとし、毛並みを整えるように撫ぜ直した(でも、とにかくデカイ!電柱を抱えて擦ってるみたい。腕が疲れる)。


 私は改めて、ヅリュースに乗せてもらった。

 何かヅリュースが私を乗せると『私が乗せるのだ』と、ブラック・ボスに対して主張している感じがして、笑えた。

「じゃあ、また会おう」

 私達は黒きトゥクルトッドドゥー、ブラック・ボスに手を振りながら王宮への帰路に着いた。

 ブラック・ボスを先頭にトゥクルトッドドゥー達はその場を動かず、私達を見送っていた。


「トキヒコさん!危険だったかも知れません!無茶は控えて下さい!」

 珍しく声を荒げ、リーザに怒られた。

「はぁ〜ぃ、、、」

 ちょっと、シュンとする。

「でもさ、リーザが一緒だから不安なんて無く、リーザが居てくれたから自分の思った行動が取れた。心配させた事は謝ります。でもさ、もしも彼らが襲って来るようだったら、私が戦わなくっちゃね」

 実際にそうだったら、足手まといだけど。

「私もトキヒコさんをお守りします。私の命を掛けましょう事と同意と成りまする。」

 わーそんな事、サラッと言わないでよ。私が言いたいセリフだったのに。

 トゥクルトッドドゥーの背の上なのでリーザに抱きつけ無いし、手も繋げ無い。


「トキヒコさん」

 リーザが手を伸ばして来た。

 二頭のトゥクルトッドドゥーはリーザの仕草を察して、二頭の体はピタリとくっ付き並んだ。

 リーザの伸ばした手が届く、私はリーザの手を取った。

 二頭のトゥクルトッドドゥーは体をくっ付けたまま、私とリーザは手を繋いで森の道をゆっくりと進んだ。




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