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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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トキヒコ、エルフの里国を行く

今私は、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに与えられているリーザの家に居る。

そしてリーザは、こちらで活動的に振る舞う衣服に着替えた。

ロングパンツの出で立ちだが、ズボンは左右の足の部分はゆったりと太く、股下が長く、足先に向かい絞り込まれている(見た目は少し建築現場の職人が履く、ニッカーポッカーのロング版みたいだ)。


上着もゆったりとした被り物で、胸に白い胸当て(プロテクター)が付いている。

上下共、生地は一種の麻のようだ。白い胸当ては大型の鹿種の肩甲骨から削り出した物だそうだ。

武器を携帯している分けでは無いが“戦士”って感じ。

履物は私の世界で買ったシューズと靴下をそのまま履いている。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーには先に挨拶を済ませていたので、王宮の裏手に有る庭へと向かった。


「トキヒコさん、トゥクルトッドドゥーに乗りましょう」

「トクル?トッツク?ルトッドオー?」

「はい、トキヒコさんの世界だと馬に相当する生き物、動物ですね」

「馬、乗馬した事無いけど、大丈夫かなぁ」

「トゥクルトッドドゥーは馬に比べ少し大きいですが、大変大人しく、従順です」

、、、トゥクルトッドドウー、あ、言えた。まあ、やってみますかね。


王宮の裏手にトゥクルトッドドゥーの厩舎が有り、その奥先はまるで牧場のように緑が広がっている。

リーザが牧場の向こう先を指差す。

「トキヒコさん、あちらに固まって行動しているのがトゥクルトッドドゥー達です」

輪郭というか影は見えるが遠く距離もあり、実体が確認出来ない感じ。

『パァァァン』

リーザは柵に近付くと、かしわ手をひとつ打った。

それを合図に遠方のトゥクルトッドドゥーが駆け寄って来る。

トゥクルトッドドゥー達は一丸となって黒い塊が、黒い塊が、、、ん?、、、えー!!!

まるで、正にトゥクルトッドドゥーによる黒い塊の雪崩れだった。黒い塊の雪崩れがトキヒコとリーザに迫る!

「わわわ、」

迫り来る迫力から、悲鳴に似た声が出てしまった。隣に立つリーザは慌てる事無く、涼しい顔でスンッと立っている。

トゥクルトッドドゥーは砂埃と共に柵の手前で整然と止まった。


デカイ!とにかくでかい!!

リーザは馬より少し大きいとは言っていたが、優に倍近くは大きそうだ!

3m程上に長い首の先に鳥のようなクチバシを持つトゥクルトッドドゥーの頭が有り、その目に見下ろされた。なんだか2階から見られたようだ。身体の前後はゆうに4m以上ありそうだ。まるで小型のシャベルカーだ。

全身は美しい毛並みを持ち、トゥクルトッドドゥー毎に鮮やかで様々な色をしている。

「サーシャイン!ヅリュース!」

リーザがトゥクルトッドドゥーの群れに呼び掛けると、集まった群れの中から二頭のトゥクルトッドドゥーが進み出て来た。

リーザは何事か(エルフの言葉で)二頭のトゥクルトッドドゥーに話し掛けると、集まった群れから離れて歩き出した。


リーザは白いトゥクルトッドドゥーを指し、

「トキヒコさん、こちらはサーシャイン。月明かりと言う意味を持ちます」

キラキラと光る毛並みは真っ白だ。

「こちらはヅリュース、緩やかな川と言う名を持ちます」

こちらのトゥクルトッドドゥーは、大きな赤と青の斑点模様の毛並みを持ち、こちらも美しい。

二頭のトゥクルトッドドゥーはリーザに紹介されると、挨拶をする様にそれぞれ『クゥエ』『クグー』と声を出すと頭を傾げた。

「オレはトキヒコ。今日はよろしくね」

私も自然と挨拶をした。

「トキヒコさん、トゥクルトッドドゥーは私達の言葉を理解する賢き生き物です。でも、喉や口内の構造的にエルフの言語は発せられません。もしも、発声構造が私達と同じであったならば、会話も出来るのではないかと思っております」

あ、日本語で話し掛けちゃったけど、通じたのかなぁ


しかし、どちらも横に並ぶと、その大きさに圧倒される。

「では、厩舎に行き鞍を付けましょう」

リーザは二頭のトゥクルトッドドゥーに挟まれるように厩舎に向かい歩き出した。

私もその後ろ姿を追うように歩き出した。

リーザを挟んで一緒に歩むトゥクルトッドドゥーは、その頭をリーザの肩の横にスリスリしながら歩みを進めている。確かにその姿を見る限りは従順で大人しそうだ。

でも私が得た第一印象は獰猛さを感じた。

それは迫って走り寄って来た、トゥクルトッドドゥーの集団の迫力に負けてしまったからかも知れないが。

「トキヒコさん、この子と少し待っていて下さい」

リーザは二頭のトゥクルトッドドゥーの内、白い馬体(?)のサーシャインを連れ、厩舎に入って行った。

私はその場にヅリュースと残された。


恐る恐る、残ったトゥクルトッドドゥーのヅリュースに近づいた。

ヅリュースの身体の毛並みは赤と青の大きな斑点模様になっていて、赤と青がまるで鱗のように重なり合い、見事な色調となっている。

私は恐る恐るながら、もう一歩トゥクルトッドドゥーに近付き、手を伸ばした。

そして体と首の付け根辺りを撫ぜた。

「お前の体は見事な色合いで綺麗だ」

近付き、手を触れたら、その美しさを一層感じた。

不思議と日本語でだが、話し掛けながらその体毛を撫ぜ続けた。

「今日はお前の背中にオレを乗せてくれよ。でないとリーザ、、、ここでは『越える者』か、に置いてけぼりを食らっちゃうからな」

トゥクルトッドドゥーは頭を下げ、首を預けて来た。

私はトゥクルトッドドゥーのその首を両手で抱え、ワシャワシャワシャと撫ぜ、改めて毛並みを整えるように撫ぜ直した。

「お前はいい子だな。キレイでそれに強そうだ」

従順な姿を見せるトゥクルトッドドゥーがすごく可愛い。獰猛に感じた恐ろしさが、この美しい毛並みを見てると、すっかり薄れてしまった。

そうしてる間に、鞍を付けた白いトゥクルトッドドゥーのサーシャインをリーザが引いて来た。


リーザはサーシャインに一言二言何か言うと、入れ違う形でヅリュースを厩舎に連れて行った。

今度はサーシャインを観察した。

サーシャインの体毛は真っ白でキラキラと輝いている。まるでパール塗装でもしているかのように輝いている。

「お前も美しい。凄く美しい」

惚れ惚れとしてしまう輝く毛並みにそっと手を伸ばし、触れてみた。

ツヤツヤで輝く毛並みは撫ぜた手が滑ってしまうようだ。その美しい身体に私が触れる事を嫌がらずにしている態度が嬉しかった。

「お前は本当に綺麗だなぁ〜それに速そうだ」

別段トゥクルトッドドゥーのサーシャインに語り掛ける分けでも無く、独り言のように呟きながら、その背の近くや首元を撫ぜた。

(余りにも大きく、背も高いので、手が届かない。)

その内に、サーシャインもヅリュースの様に首を預けて来た。

私はヅリュースに行ったように、首を抱えワシャワシャと撫ぜた後、その毛並みを整えるように撫ぜ続けた。

この子は頭の後ろに立て髪が有り、頭の付け根に孔雀の様な鳥の大きな羽の毛が付いている感じだ。今は閉じられているが、顔を覆う様に立ちそうだ。

リーザが鞍を付けられたヅリュースを連れて来た。


「トキヒコさん、驚きです。もうこの子達とそんなに仲良くなるなんて!」

「そう?」

リーザが言ってたように、トゥクルトッドドゥーは従順で大人しいが。

「トゥクルトッドドゥーの急所は首でも有ります。それを初対面の相手に晒す、預ける所を初めて見ました」

確かに見た目は怖かったけど、大人しいし、何より綺麗だ。

「リーザが言い聞かせていたからじゃない?」

「それも有るかも知れませんが。先程、トゥクルトッドドゥーは従順で大人しいと説明をしましたが、それは我が王の庇護の下にいる子達であって、基本は野生に生きるモノ達です。トキヒコさんとトゥクルトッドドゥーだけを一緒に居させる事は、実はちょっとだけ心配も有ったのですが」

え〜リーザ、恐い事言うなぁ

「でも安心しました。トキヒコさん、流石です」

って言われても、ちょっと危なかったのかなぁ。でもトゥクルトッドドゥーは凄く綺麗で好きになった。

よしよしと、私はサーシャインとヅリュース、二頭のトゥクルトッドドゥーの首をナゼナゼした。


「ハッ!」

リーザはしゃがむサーシャインの鞍に手を掛けると軽々と飛び上がり優雅に飛び乗った。

サーシャインはリーザをその背に乗ると、ゆっくりと立ち上がった。

私は唖然とした。

リーザがトゥクルトッドドゥーに飛び乗る姿に見惚れた。カッコ良過ぎる!

「リーザ、カッコイイ!!」

「いやですは、トキヒコさん。それよりトキヒコさんもヅリュースに乗ってあげて下さい」

ヅリュースは先程のサーシャインと同じく四つ脚を折り、しゃがんで私が乗るのを待っていてくれている。

でも、、、しゃがんでくれているんがだが、鞍の高さが目の前に有る。高い、飛び乗るにはちょっと難しそう。

とりあえず鞍に手を掛け、飛び上がる。

「うりゃ!」

ダメだ。足を鞍の上に回せない。

よし、一度ヅリュースから離れ、少し助走を付け

「おりゃ!」

鞍に足が掛かったが、ぶら下がった状態。誰か下から押し上げてくれ〜

「おっ?」

体が浮く、持ち上げられた。

どうやらヅリュースが咥え上げてくれたみたいだ。

「ふぅ〜」

私はヅリュースに跨ぎ乗ると一息吐き、ヅリュースの首を撫ぜなぜした。

「ありがとうな」


ヅリュースは立ち上がった。

高い!

トゥクルトッドドゥーの背(体高、跨ぎ乗っている位置)は地上高2m以上は有るか。今までに経験した事の無い目線だ!

何か気分が高揚して来た。

「ではトキヒコさん、行きましょう」

「リーザ、私は初乗馬、初トゥクルトッドドゥーなので、ゆっくりでお手柔らかにお願いします」

私の横でトゥクルトッドドゥーに乗り微笑むリーザ、凛々しくカッコいい。そして何よりも可愛い。

ゆっくりと二頭のトゥクルトッドドゥーは歩みを始めた。







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