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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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さくら日記 中学2年生の春 流行歌2

「、、、スルガさん?、、、。」

誰だろう?知らない人だ。

誰?誰?と友達も少しザワ付いた。

「突然にごめんなさい。そのブルゾンを見たのでつい声を掛けてしまいました」

お父さんの知り合い?かなぁ

「お父さんのお知り合いの方ですか?」

さくらは名乗らず、探りを入れた。

「スルガ トキヒコさん、お元気かしら」

どうやらお父さんの知り合いみたいだ。

「はい、父は元気です。私は娘のスルガ さくらです」

さくらは警戒を、、、一応解いた。

「スルガさんにこんなにも大きく、可愛らしいお嬢さんが居たなんて」

少し驚かれたようだ。

「少しお話しがしたいわ、お時間いい?」

私も昔の、若い頃のお父さんの事が聞けるかも知れないと思うと、興味が湧いた。でも、、、

「すみません、今から友達とパフェを食べに行くので」

何か少し残念。

「それだったら、私が皆んなの分を出すわ。奢りよ!」

あー、知らない人について行っちゃいけないんだが。

「ちょっとお待ち下さい」

さくらはこの女性から少し距離を取り、友達4人で円陣を組み、作戦会議を開いた。

「どうしよう?」

パフェを奢って貰えると言う誘惑は強い。

「さくらの知ってる人?」

「ううん、お父さんの知り合いみたい」

「何か警報を感じる?」

さくらの友達はさくらが危険感知能力を持っていると信じている。

さくらといっしょに居る事で、実際に危ない目を回避出来た経験もあった。

「特に感じない」

でも、ママに相談した方がいいのかな

「いいんじゃない、さくらが良ければ。それに皆んなも一緒だし」

結局『パフェを奢る』に見事に釣られた格好となった。


喫茶店に入った4人の中学生女子は落ち着かなかった。

いつも友達と入るお店はフードコートやハンバーガーショップ、チェーン店の喫茶店ぐらい。見知らぬ女性に連れられて来たココは、入った事の無い高級感が漂う店だった。

しかし、目の前に大きなフルーツパフェが並べ置かれると変な不安は吹っ飛んだ。

女子中学生4人の前にフルーツパフェが並んだタイミングで

「さくらさん、いいかしら」

さくらとその女性は友達3人を残して、隣の席へ移動した。

自分の分のパフェをしっかり持って。

「突然にごめんなさいね。私は朝倉 京子といいます。あなたのお父さん、スルガ トキヒコさんの学生時代の、大学の後輩です」

あ、名前すら聞いていなかったのに、ついて来ちゃった。ママが知ったら怒られそう〜

お父さんの学生時代って大学生の頃?15年ぐらい前なのかなぁ

「さくらです。初めまして。あれ、ちょっと変でした?」

挨拶のタイミング、変だったかな?

「しっかりと挨拶の出来る、良い事よ」

わ、褒められた。

「実はねさくらさん、あなたの椿へのファンレター、読まさせて貰いました」

え?椿さんに出したファンレターが何で?椿さんちゃんと読んでくれたんだ。でも、何で?

「本当にごめんなさいね、椿がどうしても私に読めってきかなかったのよ。許してね」

京子さんは椿さんの関係者?

「混乱させてごめんなさい。あら謝ってばかりで変ね」

そう言って京子は微笑んだ。

そんな京子を見たさくらは肩の力が抜け、リラックス出来た。

「私は椿の従姉弟になるの。時々曲作りに協力していて、椿の出したCDに共作で私の名前がクレジットされているモノもあるわ」

でも、今の曲は作詞も作曲も椿さんの名前しか載ってなかったと思う。

「そのブルゾン、青いジャンバーの出てくる歌ね。私の意見が少し入っているけど、少しだけ。だから共作としての名前の連名は辞退したの」

そのブルゾンって、、、

「そうよ、あなたが、さくらさんが今着ているジャンバーが今の歌のジャンバーよ」

ええー!そんなー、何でー!

コレ、お父さんのボロいジャンバーだよ。

「何でなんです?」

さくらは、自然と出た疑問を思わず口にしてしまったが、何か聞いてはいけない事を聞いてしまったようで不思議な罪悪感を感じた。

「そうねー、スルガさんは憧れの先輩だったの」

京子は昔を懐かしむように、目を潤ました。

「いつもそのジャンバーを着てたわ。仲間同士でふざけ合ってる時も、オートバイに乗ってる時も。いつしかその背中を目で追っている私がいたの」

さくらは何と言って返事をしたら良いのか、分からなかった。

「スルガ先輩、カッコ良かったのよ〜、今もそうでしょう?」

さくらは首を左右に振り掛け、止めた。

「う〜ん、まあまあですかね」

「あら、さくらさん辛口ね」

自分の父親をカッコいいと言う人は居ないでしょ。

「でもね、この事はナイショ、秘密にして欲しいなぁ」

「はい」

「私の想い出なの。だから本当は外に出してはいけない感情、気持ちかも。さくらさんも大人になったら解るかもね」

「そう、ですか、、、」

大人って、、、何か素敵だけど大変そう、とさくらは思った。


「実はね、今回のサイン会が決まって、この場所なら、あなたの出したお手紙に書かれていた住所が近かったので、もしかしたらあなたが来てくれないかなと期待してたの。それで今日は朝からずうぅとあなたを、そのジャンバーを探していたの」

朝からだなんて、、、

「良かったわ〜、本当に来てくれて、こうして会えるなんて、ありがとうね」

やっぱりお父さんのジャンバーを着て来て正解だった。友達にもボロいって笑われなかったし、こんな出会いが出来たし。

何か私も嬉しい。

「姉さん」

京子は呼ばれ、パーカーのフードをしっかりと被った人物が横に立った。

パーカーのフードをめくると、京子の隣に座った。マスクとサングラスも掛けている。

「あら、椿」

え?椿さん?

目の前、向かいの席に憧れのオーロラ 椿が座っている?

「驚かしてごめんなさい。椿がそのジャンバーをどうしても見たいって」

「椿です。初めまして」

マスクとサングラスを外すと、CDジャケットや雑誌で見た顔が目の前に有る。

えーえーえー!

あーあーあー!どーしよーどーしよー!

待て待て待て、騒いじゃいけないな。椿さんに迷惑をかけちゃう。

落ち着けー!無理!無理ー!

隣の友達が人が増えたのに気付き、目線を向けて来た。

「シー〜ーーーーー」

さくらは席を立つと、それぞれが座るテーブルの間に立ち塞がった。

「声出しちゃダメ」

と小声で友達に伝える。

友達もオーロラ 椿を認識し、生唾を飲み、目を剥いている。

さくらが伝えたい意味を察したのか、三人共、口を手で覆い耐えている。

何とか友達も我慢出来たみたいだ。

ふぅ〜、流石我が友。

「休憩時間を頂いたので、サイン会から飛んで来ました。姉さん水ちょうだい」

オーロラ 椿はコップの水をグイグイと飲み干した。

一息付いたか。

「すみません、そのジャンバーを見せて下さい。お願いします」

憧れの歌手からのお願いに断る理由は無い。

さくらはジャンバーを脱ごうとした。

「いや、着たままで。ゆっくりと背中を見せて下さい」

さくらはその場に立ちゆっくりと半回転し、オーロラ 椿にジャンバーの背中を見せた。

でも残念ながら、オーロラ 椿がどんな顔で背中の二つの星を見ているのか、さくらは背中からでは分からなかった。

「ありがとう」

感謝が伝わる真摯な言葉だとさくらは感じた。

「ゴメン、やっぱもう一つお願い。実際に触ってみたい」

さくらはジャンバーを脱ぎ、オーロラ 椿に渡した。

「お父さんのジャンバーなの。ボロくてごめんなさい」

オーロラ 椿はジャンバーを手に取ると、前、後ろと見て、再び後ろ、背中を見た。そして二つの星のパッチをそおっと撫ぜた。大切なモノに触れるように優しく手を当てた。

そのまましばらく目をつぶり、何かを思ったようだ。

「ありがとう」

さくらは変な気分だった。何も感謝されるような事はしてないし、逆にここまで来てくれて会えて嬉しい。京子さんと椿さんにお礼を言いたいのは私の方だ。

オーロラ 椿は口を開いた。

「本当にありがとう。このジャンバーは姉さんが見た記憶を私が歌っているので、正直実感が無かった。でも今日、今から私はこの歌の本物、歌の本質を理解した上で歌える事が出来ると思う。本当にありがとう」

オーロラ 椿は深々と頭を下げた。

「バタバタしてごめん、サイン会に戻らなくっちゃ」

そう言って席を立つオーロラ 椿を京子が留めた。

「待ちなさい。この4人のお嬢さん達もあなたのサイン会に並んでいたのよ。不幸にも整理券が届かなかったわ。4人にサインをしてあげる時間ぐらい作りなさい」

あ、京子さん、何となくだけど強い口調の時、ママに似た雰囲気が有る。

オーロラ 椿は着席し直すと気持ちを落ち着かせた。

(「これは、何かのヒントだ」)

オーロラ 椿の頭脳にインスピレーションが走る。

(「『物』を介して時間を越えて、再会では無く、新たな出会い、、、」)

そう思考しつつもさくらと友達、4人分を順番にサインをした。

一人1人に丁寧に、初めてサインを書く気持ちに戻って。

オーロラ 椿は笑顔だった。

4人一人ひとりにサインをした物を手渡し、握手もした。

「ありがとう。今日ここで皆さんにお会いした事で何か凄く感じた物が有ります。次の曲に向けての創作意欲が湧きました。ありがとう」




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