表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/296

さくら日記 中学2年生の春 流行歌

『♫〜あなたの青いジャンバー

背中で踊る二つの星

あれが私と…あなた〜だったら良かったのに〜♫』

シンガーソングライター、オーロラ 椿の曲が流行った。


自身の最大ヒット曲となり、その曲は彗星のごとく飛び回り、多くのチャートで1位を取る歌となった。

さくらも同級生も皆、口ずさみ歌った。




「そう言えば、お父さんも青いジャンバー持ってたね。ボロいの」

さくらに突然聞かれた。


「まあボロいけど、少しだけオレの青春が染み付いた美しいモノだ。バイクに乗ってた時に着てたんだ」

「何処にあるの?」

「タンスの下の段、左の方に掛かってると思うよ」

さくらはリビングから離れ、私のジャンバーを取りに行ったようだ。


「あっ!」

さくらの驚きの声。


続いてバタバタとリビングへと戻って来る足音がする。

「お父さん!どうして背中に星が二つ有るの!?」

さくらは私のジャンバーを引っ張り出して来ていた。


「どうしてって言われても〜オレの趣味?」

何だ、何だ。


「今流行ってる曲の歌詞とおんなじじゃんか!」

じゃんか、って言われてもなぁ


「コレ、どうしたの?」


アメリカ空軍のMA-1タイプをモデルにした紺色のジャンバー。

それの腕や胸の位置に米軍払い下げのワッペンを縫い付け、背中の二つの星のパッチは自家製で合成皮革で作った私のオリジナル。片方は糸がほつれて取れかかってるなぁ。


「自分で作って付けた」

何かさくら、納得していない。


「だって、歌詞と一緒だもん。今コレ着て外を歩いたら注目されるし、非難もされそう」


「その曲知らないけど、オレが先じゃん。多分オレがその歌のモデルなんだろう。うんうん」


最近はテレビを観ても、ニュース番組かスポーツ中継しか観てないや。映画を流す番組減っちゃったしなぁ

流行っている曲と聞いても、スマン知らんわ。


「で、その曲に出てくる背中の星はオレの背中と同じ配置なの?」

「ううん、そこまでは歌われて無いの」

じゃあ偶然だな。


「たまたまだよ、星とか月とか。バイク乗りのマークで星って良く使われてるから。ラッキースターとかスターうんちゃらとか」


「そうか、偶然か。そうだよね」

さくら少し残念そう。


「その歌手に手紙でも出したら。ジャンバーの背中の星ってどんなのですか?って」

う〜ん、と唸りながら

「そうしてみる!何かスッキリしないし、もう誰かが聞いてるかもね」

そう言って退散して行くさくらに


「さくら〜タンスの元あった場所に仕舞っておいてよ〜」

バイクに乗りたくなっちゃうじゃ無いか。



週末にショッピングセンターに行ってビックリした。


背中に二つの星が描かれた青いジャンバーが複数ある衣料品テナントの店頭に並んで、マネキンとショーウインドを占領していた。


星の色や形や大きさは様々だが、必ず二つの星が描かれていた。


さくらがこの間話ししていた事が何かブームになっている?

このブームとなっている流行歌、その歌手、シンガーソングライターの名前が『オーロラ 椿』。


その名を聞いてコメディアン?と思ってしまった私はどうすればいいのだろう。まあ、さくらには言えないな。




「さくら〜、知ってる?コレ見て」

クラスメートに見せられたスマホの画面には、例の歌手オーロラ 椿のサイン会が記されたいた。


今週の日曜日、二つ離れた市内の大型レコード店で開催されるようだ。


「ねえ、皆んなで行こうよ」

「男子は例の青いジャンバー着て行くのもいるみたいよ」

「私もCD持って行く」

皆が皆、浮かれている。

「私も行きたい、行く!」

そうだ、椿さんに出したファンレターにお父さんの青いジャンバーの事は書いたけど、実際に見てもらおう。

「決まりね、楽しみ〜」


サイン会も楽しみだけど、皆んなでお出掛けするのが楽しみだな。


日曜日

電車代にお小遣いも貰った。


クラスの友達と皆んなでお出掛けするのが楽しみだが、何を着て行くのか迷っていた。


可愛い格好もしたいのだけど、お父さんの例のジャンバーも着て行きたい。

でも、あの青いジャンバーを着たら可愛く無いしなぁ。ボロいから皆んなに笑われちゃうかも。


「さくら、どうしました?」

母リーザが、出掛ける支度を始めないさくらに聞いた。


「うんママ、今日のサイン会、可愛い服で出掛けたいけど、お父さんの青いジャンバーをオーロラ 椿に見てもらいたいし。でもジャンバーを着たら可愛く無いし、それに少しボロいから皆んなに笑われちゃうかも」


「トキヒコさんは古くなった衣類を処分せずにいつまでも着続けるのも問題かしら。でもさくら、お父さんにジャンバーを借りる事は言ってますか?」

「いいえ」


「ではジャンバーを着て行く事はやめましょう。サイズもさくらには大きいでしょ」

ジャンバーが『着れない』と思うと、逆に着たくなった。


「でもママ、あのジャンバーをあのアーティスト、オーロラ 椿に見てもらいたいの」

さくら、小さな決断の時だ。


「決めたわ、私ジャンバーを着て行く!」

「お友達に笑われましたら?」

「私の意志で着たジャンバーだから私が説明出来る。それに、、、」


「それに、あの歌のジャンバーがお父さんのジャンバーだったら凄くない?」




さくらは駅で待ち合わせをしていた。


「さくら、遅い〜」

さくらは待ち合わせた4人組の中で最後の到着であった。


「ごめん、ごめん。でも何とかセーフでしょ」

「さくら、そのジャンバー」

集まった他の3人に注目された。


「へへ、お父さんのジャンバー、勝手に着てきた」

と言って二つの星のパッチの付いた背中を見せた。


縫い糸が解れて一部がめくれ掛けていた星のパッチは、出掛けに母リーザに裁縫して修繕してもらった。


「どう?」

実はクラスメートの皆んながどう思うのか、反応が少し怖かった。

「、、、カッコいい」

「うん、カッコいい!」

「うん。いいよ、いいよ」

何か好評で嬉しかった。誰も笑わなかった。それも嬉しかった。


でも皆んな、お出掛け用の可愛い格好をしている。だからちょっと残念な気持ちもあった。




電車で5駅乗り継いだ。

『『オーロラ 椿 サイン会』列最後尾』

看板を持った人が立っている。


「うっひゃースゴイ人!」

サイン待ちの列は何人いるのだろう。余りに長くてどれだけ並んで待てばいいのか、いつになったら辿りつけるのか検討も付かない。


「参ったね、どうしよう」

そんな事を話しあって列に並んでいたら整理券が配られるとアナウンスされた。


余りにも人が集まり過ぎて、周りの店舗にも影響が出てしまった。苦情も入っているようだ。

店舗側は後手となり対応策として急遽、整理券の配布を開始した。


整理券はさくら達の相当前で締め切られ、スタッフが列の人達に詫びに回って来た。


残念ながらさくらはサイン会には届かなかった。


「あー残念、悔しいね」

中学生だと苦情も言わずに、素直に状況を受け入れられるようだ。


「でもさ、一眼でもアーティスト見たいじゃん」

それは皆一致した意見であった。


さくら達は列を離れると、サイン会が行われているレコード店の店舗に向かって歩き出した。


『ツアーレコード』

店舗の看板は見えるが、店の周囲も人だかりが多く近付けそうにない。


「皆んな考える事は一緒かぁ」

再びクラスメートの残念がる声を聞いてしまった。

それはさくらも同じ思いだ。

「パフェでも食べに行く」

切り替えの早い娘が言った。

「賛成〜」


残念ではあったが、気分転換!サイン会の行われているレコード店に背を向けた時、


「、、、スルガさん?、、、」


さくらは見知らぬ女性に声を掛けられた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ