夢魔7 リーザの起床
リーザは起きた。
ただ目に入る景色が違うので少し戸惑ったが、直ぐにザーララの山岳城のフロアである事を理解した。
(トキヒコが不在ですので、ココからはエルフの言語による会話になります。イメージです。)
(それと、ザーララは念話が苦手『開けない』ですので、会話となります。イメージです。)
「何故、私がここに?」
ユーカナーサリーが微笑みながら、リーザの眠るベットの端に座っていた。
「リーザよ、目覚めたか。トキヒコ殿がやりおった様じゃの」
「えっ?トキヒコさんが」
ザーララの姿も見える。
「トキヒコは本当に一般的な普通の人間なのかしら?」
か弱き人間、、、ザーララの持つ人間のイメージが想像と違う?と少し考えた。
「トキヒコ殿は未知の世界へ立ち向かい、事を成した。なぜかのう」
か弱き人間のはず。
ユーカナーサリーも人間に対する認識を考え直す時か?と思う程、トキヒコの存在や行動力を未知数に感じた。
戸惑いながら起きたリーザに女王ユーカナーサリーがその身に起こった事、夢魔の世界へ向かったトキヒコの概要を説明した。
「リーザが起きたという事は、トキヒコ殿が上手くやった表れじゃな」
「トキヒコさんは?」
「まだ戻っておらん。まあロウも一緒な故、時期に戻るじゃろうて」
リーザは感激に浸っていた。
自分の為にトキヒコが危険を顧みず、未知の世界へ飛び込んで行ってくれた!
「ところでリーザよ、そなたが以前夢を見るようになったと言っていたが、その内容じゃが少しだけなら聞いても良いじゃろか」
ユーカナーサリーは、どこかで気になっていた。
「『夢を見るエルフ』珍しいわあ」
ザーララも興味を示した。
「姉様も夢は見んか」
「わたしは余り長くは眠らないから」
姉妹も互いに確認し合う会話となった。
「ああ、我が王よ、、、」
リーザは恥ずかしがった。
ただ、今回の夢魔に住まわれる事態になった原因と解決方法に繋り、今後誰かの役に立つので有ればと、決意した。
「実はですね、我が王よ、、、」
「トキヒコさんに、、、抱かれる、、、抱き合う、夢、、、なんです」
「頻繁にでは無いですよ!夢を見る事は多くありませんし、その中でもごくごくたまにです!」
リーザは照れ隠しから早口で変に強調し、まくし立てた。
「恥ずかしいのですが、今後の夢魔への対策になるのであれば、、、」
ユーカナーサリーはキョトンとしている。
「いや、そのような事は一切考えておらなんだ。ただの我の興味本意じゃ」
リーザは耳まで赤くなった。
「エルフは性的な欲求がなかなか出ん。リーザは特別じゃの、恥じる事はあるまい」
「ええ、リーザリーは他のエルフとは精神の置き場所が違うの。トキヒコのせいかもね」
リーザのモジモジ、恥ずかしさは変わらない。
「し、しかし我が王よ、ザーララよ。この事は何卒トキヒコさんと、エルフの民達にも内密にして下さい」
リーザ、モジモジ。
「何か〜、、、羨ましい!」
ザーララが口を開いた。
「こうしてトキヒコとリーザリーと付き合う事になって、新たな気付きがあって新鮮だわぁ。わたしも人間を飼おうかしら?」
「ダメじゃ姉様!」
ユーカナーサリーの猛反対。
「姉様の思考が人間のそれに汚染されたら、この世の終わりじゃ」
ザーララは別の思案をした。
「では、トキヒコを借りようかしら」
「そ、それは成りません!」
今度はリーザ。
「なんか二人共、わたしに意地悪してる?」
ザーララは永きに渡り親兄弟やエルフ達と接触が無く、たった一人で過ごしていた時から一転して、山岳城の限られた空間の中とはいえ、今は生を楽しみ出したようだ。
程無くして。
「戻りました」
トキヒコを背負ったロウが山岳城のフロアの中央に現れた。
トキヒコがロウの背から降りると、リーザが飛び付くように抱きついた。
「☆〆〆$--£^_^^_^^_^」
「わ、リーザ分かんない」
リーザが起きてる!無事なんだ、良かった。
ユーカナーサリーは腕を組んで『フンッ』と鼻息ひとつして切り替えた。
ザーララは右のこめかみを指でトントンとして切り替えた。
「トキヒコ殿、良くやった、よく帰られた」
ユーカナーサリーの労い。
「トキヒコ無事でなによりよ」
ザーララもトキヒコを労った。
リーザは、、、言葉が切り替えられてなかった。
でも喜んでいるのが良く分かる。
「ロウ、ありがとう。お陰で無事に帰って来れた」
「トキヒコ殿に比べたら、私の働きは無きに等しいです」
取りあえず、人目も気にせずにリーザを抱きしめた。
良かった。
トキヒコとロウ、二人は今回の顛末〜夢魔の世界に到着し、ロウの背中から降りた所から〜夢魔の特徴〜その後の闘い(?)〜ザーララへの遮断、脱出を拒んだおそらくの原因を報告した。
「夢魔が毛むくじゃらで水に弱いって、この世の誰が知っているのかしら?」
「うむ。もしかすると、大きな発見、大きな手柄であるぞ!」
未知の相手、今後のエルフの手助けに、、、ならないか。エルフは滅多に夢を見ないからなぁ。
「エルフは夢を見ませんので、どうでしょう」
大きな手柄には懐疑的なトキヒコであった。
「わたしが知らなかった事を教えられたわ。ユーカナーサリーにしても同じ」
「まったくじゃ」
おや、いい反応!
「私も今回トキヒコ殿とご一緒させて頂き、その判断と決断を行う速度、対応力、行動力、勇敢さ。感服いたしました」
「いや、ロウそれ買い被り過ぎ!だって、もうちょっとで迷子に、、、」
あっ、ザーララさんに謝まらなくちゃ。
「あー、ザーララさん、腕輪無くしちゃいました。夢魔の世界で落としちゃったようで、すみません」
ザーララは別に何事でもないかのように
「いいのよ。まあ今後、夢魔と何かあった時の印にしましょう。トキヒコが置いて来たブレスレットを辿って、こちらから先に攻め込む事も可能よ」
攻めるって
「あのぉ〜、もう一度作ってもらえません?あの腕輪を」
「いいけれど、どうして?」
「今回一緒に冒険した、ロウとの友情の証にしたいんです」
これを聞いたロウが感激している。
「トキヒコ殿、友情って、、、」
「ロウが言っていた、永きに親睦を深める、温める第一歩さ」
これを聞いたザーララ。
「気に入らない。わたしはトキヒコと親睦を深めても温めても無い。それなのに愚弟が先とな」
パリッ、バリバリバリッと上半身から青い電気が放電される。
うわぁ!何かヤバイ!
ユーカナーサリーがザーララに近寄った。
「姉様、トキヒコ殿との『契約』『契り』は、どう行ったのじゃ。我とリーザの知らぬ所でトキヒコ殿と会ってるようだが」
ユーカナーサリーが小声でザーララに囁いた。
ザーララの放電が収まった。
「あー、うん。トキヒコとはこれからゆっくりと親睦を深めて行ってもいいのかもね。オホホホ」
ユーカナーサリーがザーララの怒りを鎮めた。何を言ったのだろう。
「しかしトキヒコ殿、我らの言葉をまだ覚えぬか」
あー、厳しい問い。試験の点数が悪かった時のイメージだ。
「私は人間で頭も良い方では無いですし、エルフ達って、観察と心話で済ましちゃうので、会話をされてる所を殆ど見た事が有りませんから」
と反論までも行かぬ、単なる言い訳。もう20年は経ってるんだよなぁ
覚える気が無いと言われても返す言葉が無い。
「いいんです。私がトキヒコさんの通訳をします」
リーザが守ってくれた。
「ではリーザリー、トキヒコも交え先程の夢の話しの続きを行うとするか」
リーザは再び、耳まで赤くなった。




