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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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夢魔6 迷子のトキヒコ

 やっべぇ~ブレスレットが無い!落とした?無くした?

 あれが無いとロウと合流出来なくて、ずっとココにいる羽目に!

 どうやらトキヒコは、夢魔達との大立ち回り(?)の中で、ザーララから貰ったトキヒコの『迷子防止器』ともなるブレスレットを落としてしまった様だ。

 ザーララのブレスレットは、トキヒコとロウを繋ぐ物。もしも二人がはぐれた時に、ロウがトキヒコを見付け出す為の物。



 あー、やっべぇぞ!だけど今は落ち着いてブレスレットを探す状況では無い。

 夢魔達はまだこちらに迫りつつ、紫色の光による攻撃をトキヒコに続けている。

「何か目がチカチカするし、前が見づらい」

 腕輪探しは後回しだ。夢魔達を何とか退けなくちゃ!


「お前ら体が大きくても、ちっとも怖くないぞ!」

 『水に弱い?』という相手の弱点を掴んだトキヒコは強気だった。

 そもそもだが、夢魔の攻撃が無いに等しいので。

「オレ、パーンチ!」

「オレ、チョーップ!」

『ボヨン。ボヨン』

 トキヒコは絶好調。

「オレ、キーック!」

 空振り。

 あ、これはダメだったんだ。調子に乗り過ぎた。

 しかし、30体程いた夢魔はパンチが入るとびっくりするぐらいに飛んで行き、残りは10体を切っていた。

「ハアハア、ゼイゼイ」

 乾燥した空気、安定しない沈んで行く足元、体力切れの中年男。

 トキヒコの疲労感は増し、限界を越えていたのかも知れない。しかし、圧倒的に優位なので体が動く。

 一種のマンガの主人公になっていた(つもり)。


 ただ、やっぱり足元がおぼつかない。一歩踏み出す事に地面に吸い込まれるように窪んで、疲労感が蓄積される。

 顔や首の汗を拭い、その手で夢魔へ攻撃を続けた。

『ボヨン』

『ボヨン』

 と、トキヒコの攻撃が入る度、マンガのように夢魔は飛んで行った。

「お前が最後だ!」

 シャツをめくり、胸から腹に流れる汗を拭いた拳を夢魔に叩きつけた!

『ボヨヨ~ン!』

 最後となった夢魔も、マンガのようにぶっ飛んで行った。

「ハアハアハア、全部、、、やっつけたか」

 トキヒコは疲労からその場に倒れ込んだ。

 大の字になって、怪しい色が混ざり合う空を見上げた。

 歩行や走る事を困難にしていた、フワフワの地面がベットかソファーのように気持ち良かった。


「ハッ」

 しかし、トキヒコは安堵している間は無かった。

 ザーララから渡された、ロウとを繋ぐブレスレットを無くしてしまったのだ。

「やばい、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ」

 トキヒコは這いずる様にブレスレットを探す。

「リーザが以前に言っていたなぁ~『空間で迷子になる』と」

 うわぁ~やっべー、ピンチだ。

「まずいぞ、まずいぞ」

 取りあえず今いる足元から、草を掻き分けゴソゴソ、ゴソゴソ、、、。

 無いな。

 一面はそこそこ高さの有る、色取り取りの草木が生い茂っている。

 上空も曇り空のようで、足元は明るくない。


 どう移動して来た。最初に夢魔とやり合ったのは何処だ?

 そもそもロウとこの世界に到着しスタート地点と決めたのはどっちだ?

 あの超大木もここからでは見えないから、方向が掴めない。

 四つん這いになりながら、キラリと光るだろうブレスレットを探した。

 無い。

 まずいなぁ〜



「トキヒコ殿〜」

 ロウが私を探す声が聞こえた。

 トキヒコは地面から顔を上げた。

「あっ!ロウ!こっちこっち!」

 ロウはフワフワの地面と格闘しつつもトキヒコの元にたどり着いた。

「ロウ、どうやら夢魔とやり合っている内にブレスレットを落としちゃったみたいだ。いっしょに探して!」

「はい」

 二人揃って屈みこんでガサゴソ、ガサゴソと草を掻き分ける。

 探す、無い。

「ダメだ。何処で落としちゃったかの検討も付かない。やっべ〜なぁ。あれが無いと、、、!」

 あれ?

「ロウ」

「はい、トキヒコ殿。残念ながら見つかりません。」

「いや、あのさぁ〜」

 なんかバツが悪い。

「そもそもあのブレスレットって、オレとロウを繋ぐ物だから、、、」

「はい」

「だからぁ〜、二人してこうして揃ってたら、一緒にいたら必要無いか」

「ええ、そうなりまする。」

「はははは」

 私は笑った。ロウも笑顔に見える。


「ブレスレットを無くしたのはザーララさんに怒られるかも知れないけど、まあいいっか」

 ロウとその場に座り込んで、30体程いた夢魔を撃退した事を話した。

 木製の水筒から水も貰った。

 正に生き返った気分だ。

 たぶん夢魔をぶっ飛ばしたタイミングでブロックしていた壁が消えた事をロウが確認した。

「帰ろう」


 ロウの背中に乗せてもらい、ロウは『渡った』。

 ここで落ちたら、今度こそ本当に『迷子』になっちゃうかも知れないので、ロウに出発時より強く掴まった。

 でもそれも、一瞬だけ。

 瞬きを繰り返す程で、ザーララの山岳城のホールに私をおんぶするロウが立っていた。




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