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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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夢魔3 夢魔の世界 超大木

 リーザや女王ユーカナーサリーによって、エルフの里国に『越え渡る』時よりも少しだけ長く感じ、目眩と言うか若干の気持ち悪さもあったが、それでもまばたきを繰り返す程度で着いた。

 夢魔の居るトコロ、夢魔の世界に到着だ。


「ここが」

 普通に呼吸は出来るし、変な匂いも無い。

 と言うか、そもそもこの場所に人間が無事に行ける状態の環境か否かを考えて無かった、、、怖っわぁ〜

 まあ良し。とするしかないが。


 見上げる空には紫色、ピンク系、青色の雲が入り乱れ混ざり合う膜となっていて、怪しさを増している。その雲は手を伸ばせば届いてしまうかのように低く感じ、空と言うよりは高い天井と思わせる。

 人工的に造られた建造物は見当たらなく、太い木々が歪んで立ち並び、周囲の草や木も独特な色合いである。

 もろに、ファンタジーや異世界の森に迷い込んだ状態。


「ありがとう、ロウ」

 私はロウの背中から降ろしてもらうと、その地に立った。

「!?」

 ロウの背中から降り立った地面は、その足元が何か柔らかく、スポンジを踏むようにフワフワする。ヒザ辺りまで沈みそう。

 蓄積された草木のせいなのだろうか?とにかく足元がおぼつかない。


「さてトキヒコ殿、如何いたしましょう。」

 ロウ、礼儀正しいなぁ。そんなロウも体が傾きがちだ。

 足元はフワフワし、まともに歩くには困難なぐらいに歩きずらい。

「ロウ、とりあえず進みましょう。何か目印とか手掛かりが無いのは困ったなぁ」

 ザーララさんの口振りだと、この世界の広さとしては左程広くは無さそうだが。

 彼女のスケールが分からないから、なんとも、、、。


「ロウがこの世界に到着した場所、今この位置がこの世界のどの辺りになるのか分かります?」

「端あたりとしか、、、東西南北的な位置関係は不明と成りまする。」

 取りあえず、ここを拠点とするしか無いな。

 ザーララが辿った紫色の光の帯を延長線として、真っ直ぐ進もう。

「ここに到着した、、、この木を拠点として、ザーララさんが辿ったラインを延長する形で真っ直ぐ進もう。他に手立ても無いしね」

「進みましょう。」

 ロウも同意してくれた。

「トキヒコ殿、こちらです。」

 あ、私いきなり逆向きで進み出しちゃったみたい。


 開けた草原とも言える場所を進み、歪んだ木々の間を抜け、背丈程の高さの有る草木をくぐり、背の低い草木を踏みつけながら、、、ある意味当てもなく、歩を進めた。

 ちょっと不気味な色合いに感じる大きな木と生い茂る草木。

 見た目は私の世界とは違うが、林や森の中であると感じられる。しかし今のところ、生物の存在は感じられない。

 なんだか、ノドが渇く。

 フワフワで歩きにくい地面から来る疲労のせいもあるが、空気感が凄く乾燥している。

 陽射しが強い分けでは無く、空は相変わらず怪しい色相の曇り空。


「ロウ、何か飲み物あるかな?のどが渇いた」

「コレを」

 ロウが腰に付けていた木製の水筒を差し出してくれた。わぁ~助かる~。

 中身は水だ。

 ゴクゴクと勢い良く飲んじゃった。今まで飲んだ事の有る飲み水の中で一番美味く感じたかも知れない!

「わぁ〜助かった、ありがとう。しかし手ぶらで良くこんな所に来ちゃったな」

「はい、未知の世界であるにも関わらず、備えが無さ過ぎです。反省点と成りましょう事。」

「まあザーララさんは、そんな暇を与えてくれなかったからなぁ。私も無策過ぎた」

 本人が聞いたら怒るかもな?


「それよりロウ、今回は私の為にわざわざありがとう」

 隣に座るロウが頭を振る。

「いいえ間接的であっても此度の事は、エルフの里国の王の命を帯びます。」

 エルフの王は民の為に動く、民達もそれに準ずる事か。

「ですが此度の事とは別に、私はトキヒコ殿の何か力になれる事が無いか考えておりました。」

「なんで?」

「私はあなたに救われました。いわばあなたは私にとっての『神』に値します。」

 はあぁ~!?

「ロウ、ロウ。もう『神様』は止めた方がいいんじゃない」

「ええ、神の『存在』に関しての追求はいたしません。ですが人間、人々が持つ神成る存在に対する概念、、、思い・信仰心・団結・希望等に関しては美しく素晴らしい点も多くございます。『神』自体では無くそこに秘められる、表される良き点、人々が想い抱いた感情のみをエルフの社会にも取り入れたいと考えておりまする。」

 まあまた暴走する事があっても、女王様とザーララが居るからな。

「だけどロウ、オレが神って、、、それは止めよう。友達?になれるかな?」

「友達ですか、、、では私達は永きに渡り親睦を深めらるんですね。」

「まぁ、申し訳無いけど、オレが先に死ぬけどね。それまで」

「はい、是非!」

 私はロウの背中や肩をポンポンと叩いた。ココへ出掛ける前に行った時と違い、ロウが嬉しそうな顔をしている気がした。

「さてと、行ってみますか」


「トキヒコ殿」

 ロウが小声で話しかけてきて、指を差す。

 指し示した方向を見ると、、、なんじゃありぁ?!大きな姿の者がゆっくりと歩いていた。

「あれが、、、夢魔、、、かな?」

 身長は2m近くあるロウを頭一つ以上越えている。体もドラム缶のように太い。

 全身は黄色い毛むくじゃらで青色の横縞の縞模様が入っている。

 そして短い手足。

 まるでどこかの国のマンガのキャラクターみたいだ。

 その顔も大きく、口と鼻が有るのか無いのか毛に覆われていて確認出来ない。

 毛に覆われた大きな耳が頭の左右より出ていて、大きな目は体毛から守るように長いまつ毛に囲まれている。

 頭の毛をお団子のように、三つに結わえているように見える。


 少し近付き様子を見ながら、この生物(?)を観察しながら追う事にした。

 この生物はフワフワの地面を物ともせず、ゆっくりではあるもののスムーズに移動している。のろいけどね。

『重さが無い?』いや、あの外観からは、しっかり重そうに見える。

 その生物(?)は突然止まると、こちらを見た。

 しっかりと私とロウ、見つかってしまった。

 その生物は音も無く、声を発する事も無く私達にスーと近付いた。


 そして見下ろされた。

 こちらに攻撃の意思は無いが、身構える前に例の三つの頭のお団子結びから紫色の光が放たれた。

 ザーララがリーザの頭から出した光。この世界へと通じる、道しるべとした光の帯と同じもの。


 その光を見て確信した。こいつが『夢魔』だな。

 その三本の光はうねるように伸び(光なのに!)、動きが止まった瞬間にその内の2本が私とロウに向って来た。

 光のスピード、、、避ける間も無く、その2本の光は私とロウ、それぞれの額を貫いた!


 が、何も起きない。

 しばらく夢魔と私達の間は紫色の光で繋がっていたが、光が消えると夢魔はプィと興味が無くなったように向こうへ行ってしまった。

 何だったの?

「今のは何だったのでしょうか?」

 ロウの顔は引きつっていた。

「たぶん、あれだ。ああやって眠る者の頭と繋ぎ、相手が睡眠中だったらそこに『住まう』のかな」

 光の速度で、時空や世界も越えて対象者を探すのかな?

「私達を生物や生命体と判断したのだろうけど、私達は眠っていなかった」

「だからセーフ。たぶんね」


 夢魔の実態は解っていない。他に危険があるかも知れないが、今の私達は先程の夢魔の後を追う事しかなかった。

 もう少し、距離を取って。

 って言うか、地面がフワフワで歩きにくくて距離を離された感じ。


 

 しばらく進むと、異様な雰囲気になった。

 大木が、いや超大木が現れた。

 低い位置に有る雲を当然のごとく突き抜いていて、もうその先がどこまで伸びているのか検討もつかない。

 根本の幅も100m近く有るのではないのか!

 コレ程の大きさの物。複数の色付きの雲が低い空の下で入り乱れていたせいか、遠くまで見渡せずにこの超大木の存在に気付きもしなかった。

 東京タワー、、、いや東京スカイツリーぐらい有るか!とにかく大きい!


 さっきの夢魔はどうやらあの超大木に向かっているようだ。

 フワフワの地面を見た目スイスイと歩き進んでいる。

 そして超大木に近付くと、近くの別の木に成る何か木の実のような物を枝からむしり取ると、口当たりに突っ込みムシャムシャと食べたようだ。

 口、あるんだ。


 そのまま、その超大木に徒歩のまま登り始めた。まるで螺旋階段を上るように。

 超大木、しかし大きい。

 まるでこの『夢魔』の世界の中心に位置するのか、、、と想像してしまうぐらいに。

 私達もなんとかそこまでたどり着きあの夢魔が登った超大木を見上げた。


 超大木の先は、やはり天井かと思える雲の中に消えていてどこまで伸びているのか、どれぐらいの高さがあるのか、、、全体像が掴めない。

 見上げた先には、数え切れないぐらいに感じる多くの枝を持ち、枝の先あたりにチラチラと黄色い毛むくじゃらが見える。

「枝の先にいますね。」

 確かに居るな。でも、、、。

「ロウこの枝、あの枝、それぞれに黄色いの見えるぞ」

 たぶんココは夢魔の集合住宅ってとこか。

 そして、、、感じた。リーザと繋がっている夢魔はココに居る。

「ロウ、先程拠点とした木から〜ザーララさんの辿ったラインの延長線上〜はこの超大木になる?」

「トキヒコ殿、その通りです。」

 ここに、この超大木にリーザの夢の中に入り込んでる『夢魔』が居るのか。

「ロウ、感じたよ。私達も登ろう」


 でもその前に少し休憩。フワフワの地面を歩いて来て、すっかり疲れた。

「ロウ申し訳ないが、さっきの水筒の水、残ってる?」

 この乾燥した世界では、ノドの渇きが追いかけて来る。

「お待ち下さい」

ロウは腰に付けた水筒を両手に持つと、なにやらブツブツと言った。

『術』を掛けたのか?

「どうぞ」

 ロウが水筒を渡してくれた。

 さっきもらった時と水筒の重さが変わらない。

「ロウもしかして、術で水の量を増やしたの?」

「はい、ザーララのように無(目に見えていない範囲)から何かを作り出す事は出来ませんが、ここにある 物の量を増やす事や大きさを少し変える事は可能です。」

 ふえぇ~便利だなぁ。

 では1枚の1,000円札を二枚にするとか、、、ちょっと違うか。

 残りの量を気にせず、ゴクゴクと飲んだ。

「ありがとうロウ、助かった」

 続けてロウも自身の給水を行った。


 超大木に近付くと、確かに階段のようにヘコミが有る。

 しかし、東京スカイツリーを徒歩で登る、、、あ~大変。また、無数に見える枝枝にいるであろう夢魔達を訪ねて(リーザに繋がっているヤツ)探して回るとなると、気が遠くなる。

 が、一刻も早くリーザを起こさなくっちゃ。幸いに相手までたどり着く目途が早々に立ったし。

 そう考えると気合が入る!

 でもこの階段、中年男には相当にキツイな。

 エスカレーターかエレベーターは、、、無いよな。



ザーララの山岳城

「で姉様、トキヒコ殿との契り〜契約とは何ぞ?」

「気になる?」

「ん、まあ、まぁな」

「トキヒコがね、この間の褒美としてリーザリーとさくらを守れって、わたしの力で」

「そうか、、、」

「それはね、トキヒコが死んでも続けろって。」

「、、、」

「まるで呪いでしょ」

「確かに、望みと言うよりは呪いじゃな」

「でもね、そんなトキヒコから、母様から受けた物と同じモノを感じたわ、、、」

「、、、だからユーカナーサリー、あなたもトキヒコに惹かれるんじゃなくて?」

「母様と同じ想いか、、、かも知れんな」

「人間って、変ね。」


一方でこの姉妹は、トキヒコと関わる事により二人が顔を会わす機会を得るようになり、お互いの距離感が以前の幼き頃のように戻りつつある事を薄々実感していた。





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