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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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リーザと雪、リーザのお仕事

「トキヒコさんすごいです、雪が積もってます!」


擦り窓越しの外が明るい。寒いなぁと思ったが、雪が積もったのか。

15cm程積もっていた。


心なしか、リーザがはしゃいでいるように思う。


「降雪は特定の決まった地域にだけ降り積もる現象だと思ってました」

日本は四季があるし、多い少ないは有っても比較的、全国的に降るからな。


私達が住むこの地域でも、年に数回の積雪がある。

雪が積もると交通網はダメダメになっちゃうけど。


「もしかしてリーザ、雪初めて?」

「はい。私の里国でも雪は降りますが、特定の地域に限られていて、私は近づき直接雪に触れた事はありませんでした」

そうなんだ。


「外に出てもいいですか」

どーぞ、どーぞ。


「リーザ、外はそれなりに寒いよ。それと直ぐに溶けて消えたりしないから、着替えて、それなりの防寒対策もね!」

「はい」

朝食を採っている間もリーザのソワソワ感が伝わって来て、微笑ましい。




今年の初冠雪かな?

リーザは外に出るなり雪面を駆けて行ってしまった。犬みたい?

「滑るから気を付けて~」

あー、行っちゃた。聞こえてないな。


積もった雪は水分を含んでいて、手袋に染み込んで来そう。


リーザ、帰ってきた。

「うふふふ」

リーザ嬉しそう。


「リーザ、雪を集めて、こうしてこう丸めて、相手に投げます」

私はリーザに雪玉を優しく投げた。


が、リーザは素早くかわす。動きが違う。

再び今度はシュッと投げた、、、軽々と避けられる。

「リーザ、リーザ、1回当たって」

これじゃあ変な哀願だな。

リーザの左肩から腕に掛けて雪玉が当たり、バラバラに弾けた。


「これは雪合戦。雪玉を投げ合う昔からの雪遊びのひとつ」

「合戦ですか。では負けられませんね」

いや『遊び』の部分が、、、いやな予感が少しするが。


「今度はリーザの番だ」

「はい、頑張ります!」

あ~お手柔らかにね。

いや、大きいし

速い!

「ブヘッ」

リーザの攻撃は強い!この女、何でもマジだから。

その後、小さいながらも土を巻き込んだ雪ダルマも作った。




一通り雪遊びを楽しんで、部屋へ退散した。

リーザがボアのロングジャンバーを脱ぐと、下はグレーのニットのワンピース姿だった。

それ、ダメ。反則。


「トキヒコさん、どうされました?」

リーザが右、左と私の左右の手の位置を指差し訊ねた。


私は悩殺ニットワンピースのリーザにフラフラと近付き、左手はリーザの右胸の前、右手は腰に手を回す風に伸びていた。無意識のまま。


「あ〜妄想が現実世界で暴走してます」

と、照れながら言った。

リーザは私の手の位置に自分の体が収まるように、二人の距離を詰めて来た。

もう、止まれなかった。



エルフの里国で『雪の積もる地域』があると、なのにリーザは雪に触れた事が無いと聞き、エルフの里国の地域について聞いた。


それはリーザのお仕事(任務)について聞く事になった。

リーザのお仕事は、エルフの里国を王宮を中心とし、放射状に25分割した1区域の担当をしていて(人間時間で)月に2~3日程掛けて王の代わりに巡回を行っている。


ちなみに、北の山岳地帯となる地域は王自らが赴き、そこだけは担当者が変わる事が無い。

北の山岳地帯は非常に険しく、自然が作り出した城塞とも言えるそうだ。

それゆえに、北の山岳地帯を越えてエルフの里国に入れる者は皆無だとも。


リーザの現在の担当地区は湖の有る地域。以前訪問した湖の族長の居る所だ。


国境までの巡回はトゥクルトッドドゥー(馬みたいな動物)や徒歩で行くのだが、国境はヒトの術者がいた時代から結界と保護の術が壁を作り、外部からの侵入者を拒んでいる。


エルフの里国に外部より入るには、3ヶ所設けられている門をくぐる事となる。

それぞれの門には門番が複数人在中しており、リーザの王宮での初仕事はこの門番がスタートであったと聞いた。


基本的に里国外へ出て行くエルフは皆無だが、時々外からの来訪者が来るとの事。


各地域への訪問目的は結界や術の壁の状態の目視や保全であり、それなりの術者でないと務まらない。


全体の監視は女王ユーカナーサリーの魔力による結界が届くが(私は見えません)、細かい所は現地での実判断の必要が生じる。


あとは定期的な巡回であり、エルフの民達のお困り事を聞いたり、何かの異変を感じられないかの巡回となっている。

リーザは里国を護る重要な任務であり、他のエルフ達からも誉れで有ると言われていると微笑んだ。




今日は土曜日のクリスマス・イブ。会社は明日も休みだ。

「リーザ、クリスマス知ってる?」


私の横で体を起こしながらリーザが答える。

「はい、キリスト教カトリックの催事、祝祭の日ですね。イエス・キリストが降誕した日とされその経典に記されています。多くのキリスト教信者が宗教的に行うお祝いの日ですね」


リーザは地球上の事にはインターネットや書籍から多くを(短時間で)学習済みである。

理解力のスピードや記憶力には舌を巻く。やはりエルフは聡明であり、言動と行動は明晰である。


花の王ユーカナーサリーは少し外れる所もあるようだが。


「日本ではね『恋人の日』といった形態もあるよ。恋人と過ごす日。それと家族や友達とクリスマスプレゼントを交換する日」


「日本ではクリスチャンが少ないので、キリスト教以外の人が文化的に、どちらかというと企業の便乗商売みたいになってる。でもみんなクリスマスを楽しんでいるし、私も乗る」

いいのよ、何事も楽しんだ者の勝ち。


「それで、はいリーザ、私からのクリスマス・プレゼント」

小さな小箱を渡した。


箱の中は、マルシェでアクセサリーを販売していた人に頼んだ、特注(?)のブローチ。

スズランのブローチを作ってもらった。


「スズランの季節では無いのだけれど、私が好きな花のひとつ。可愛い花、リーザに似合うと思って」

リーザ、気に入ってもらえるといいんだが。


「本物の花は春からの花だから、少し暖かくなったらお花屋さんに行こう」

リーザは感激の余り泣き出した。


「ありがとうございます、、、嬉しいです、、、」

リーザは小箱を胸の前で抱えた。

あらら、リーザ感激屋さん。喜んでもらえたようで私は嬉しい。


感情表現を余り表さないエルフ達において、リーザはその中でも、多くの感情表現を行う方だと思う。

喜怒哀楽を表す事は、私は凄く良い事だと思うけど、人間性に汚染された?それだとちょっとだけ、良し悪し。

だってリーザには、変わらぬエルフのままであって欲しいトコも有る。


「でもトキヒコさん、私からのプレゼントがありません」

私は首を左右に振った。


「リーザがいつも側にいてくれる事が私にとって何よりものプレゼント。プレゼントは物質が全てでは無いよ。あのさぁリーザ、このまま側にずっと居て下さい」

「はい」


リーザに抱きつかれられた。

このまま、リターンマッチを、、、と思ったら


「トキヒコさん、スズランは毒を持ってますよ。私も持ってますよ、うふふふ」

と耳元で囁かれた。


あ〜何か意味深だが、リーザが毒を持っているのなら、私はすっかり、、、いや初めて会った日からその毒に侵されてますよ。


リターンマッチは、夜に取っておこう。明日も休みだ。


「リーザ、クリスマスケーキを買いに行こう」





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