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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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ロウとの対決の果て〜褒美

「あなたが『さくら』ね」

 ザーララがさくらに声を掛けた。

「さくら、こちらへ」

「はい」

 さくらは物怖じもせず、元気よくザーララへと歩み寄る。


「、、、いや、さくら待て。」

 ん、さくらに『待て』って何だろ?

 なんか準備するご褒美が、選びきれてなかったりして?


(「ユーカナーサリー、」)(「姉様、何ぞ?」)

 エルフの里国の王家の姉妹の会話が始まる。

 だがそれは、この二者のみにて交わされる、深層意識での会話であった。

 他の何者にも届かぬ、聞くことも出来ぬ意識での会話。



(「この者がスルガトキヒコの児となる、スルガさくら」)(「如何にも。」)


(「何が或る、何を秘め様事。」)(「魔力成る。」)


(「だが、この者が持つ魔力、お前の結にて縛られておろう。」)(「如何にも。」)


(「何故だ。」)(「其はトキヒコ殿の決めし事。さくらは人間社会にて成長さすと、彼の場にて育成されし存在。」)


(「其がお前の結と何故に関わろう。」)(「トキヒコ殿の決めし事。人間は魔力を持たぬ。人間が形成する社会に魔力は存在せぬ。」)


(「人間社会成れ、其はわたしも知る、だが、」)(「無き場にて現すのであらば不要なモノ、其は育成の枷と成ろうのか。故に不要なモノとしたのはトキヒコ殿の判断と成る。」)


 ザーララが持つその力を抑えているのか、私も含め、リーザもさくらも彼女の影響は受けていないようだ。


(「魔力を抑えるなどと、」)(「うむ姉様、我らでは思いも着かぬ事。」)


(「魔力を抑える、、、それだけでは無かろう事。」)(「分かるのか、姉様、」)


(「たぎる、、、この者の奥底に秘めし“モノ“は何ぞ?」)「(我では測れぬ、、、故に知る由も無き。)」


 さくらは“力“を秘めていた。

 それはエルフ達が秘める魔力とは異なる性質のモノ。


(「成れど、お前の結にて繋がれてよう成らば、危惧する事も無き、、、いや届かぬ、測れぬ。何故にだ?」)(「姉様、」)


 さくらが秘めているとされる“力“は、膨大な力を持つとされるエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーにせよ、その実姉であり、ユーカナーサリーでさえも軽く凌駕してしまうザーララの“力“で以ってしても、判明とはならず、尚も理解の一片にも届かなかった。


(「何故に、何故!」)(「姉様、、、」)


(「ユーカナーサリー、お前の結が外され様刻は成るのか。」)(「其はトキヒコ殿が決めし事。だがその刻は、必ず来る。」)


(「スルガさくら、、、ユーカナーサリーが掛けたる連なる結界であり、『枷』とするか。其を外し刻、何が起ころう。わたしが届く次元にて収められようのか、、、。」)



(「姉様、この流れ、気付かぬか?」)(「何ぞだ。」)


(「ルイラーである。」)(「ルイラー、、、」)


(「確かにこの場にルイラーは留まろう、、、留まる?ルイラー成れはこの場に有ろう、だが、留まるなど?!」)「(トキヒコ殿と成る。)」


(「スルガトキヒコ、、、ルイラー、何ぞだ?」)(「トキヒコ殿はルイラーを集めるよう事。」)


(「ユーカナーサリー、何だ?何故に?人間スルガトキヒコも、何ぞの“力“を秘めると申すのか?!」)(「姉様、トキヒコ殿は何も持たず。別成る世界に居よう生有る者、人間と表す他は無き。」)


(「ユーカナーサリーが申す、スルガトキヒコからは何も測れず。一生命体の鼓動の他に観測されよう事など無き。だがルイラー、事実わたしの今成る状態に示そう成らば、、、何故にこの者が?」)


 エルフが相手を侮る事など無い。

 だがザーララが初見となり、実際に対峙となった人間から伝わり来る鼓動も流れも別段に何かを現せているモノは無かった。

(「スルガさくら、その結が解かれよう刻。そしてスルガトキヒコ、、、面白い。」)


 ん?何かお二人でお話しでもされていたのかな。

 トキヒコは少しの間を感じていた。


「わたしはザーララ」

「はじめましてザーララさん。私はスルガ さくらと申します」

 さくらは臆する事なく挨拶をした。

「ねぇさくら、私の初見はどう?遠慮はいらないわ」

 ん?何か聞き覚えのあるパターンだぞ。

「はい、そうですね~」

 さくらっ!滅多な事言うなよ、消し飛ばされるぞ!


「んーとですねぇ、すっげーキレイでクール!憧れます!」

「クールとは?」

 あああああ、、、。

「『カッコイイ』って事です」

「あはははは」

 ザーララの高らかで明るい笑い声がこの部屋中に響き渡った。

「さすが、親子というべきか!あはははは」

 ヘヘヘっとさくらは笑っている。

 リーザは困惑している。

 寿命が縮むわ。


「此度の事、一番の功労者はあなた、さくらよ」

 さくらはキョトンとしている。

「わたしから褒美を与えたい、受けてくれるな」

 さくらが私達に振り向いた。

 私はさくらに黙って頷いた。

 ザーララに向き直ったさくらに

「さくら、手を出せ」

 そう言ったザーララの手には、あの時私に渡した物と同じ指輪があった。


 ザーララはさくらの右手を取ると私が着けたのと同じ指、さくらの右手の中指に指輪をはめた。

「ありがとうございます」

 さくらは右手を差し上げ、指環のキラメキを見た。

「綺麗」

 思わず声が出たようだ。

「さくら、その指環は特別製よ。わたしとあなたを繋ぐ物。あなたが何か困ったら、、、そうね~ご両親から何かしら叱られてピンチの時とか~その指環に向かってこう言いなさい」

 何だ?

「『ザーララ来い』と」

 私は全力で首をブンブンと振った。

「ザーララを呼んだ途端にこの世の終わりが来る!」

「トキヒコ~、それは言い過ぎでは?」

 ザーララの反論、でもその顔は穏やかで美しい。

 カッカッカッカッと今まで静観していた女王ユーカナーサリーが笑う。

「正にな、正に有り得るぞ」


 ザーララからさくらに渡された指環。

 これはザーララの意識の一部であり、スルガさくらを観察し、護りに繋ぐ物。

(「スルガさくらの持ちし“力“。わたしは護らねば成らぬ。其はユーカナーサリーの結が外されよう刻に立ち合うに続く。」)

 ザーララは、さくらが持つ未知なる力に不安を持った。

 それは今まで起こした事の無い感情。

 だが同時に、さくらを護り続ける事は、力を持つ者としての義務感を生じさせていた。

 それも初めての意識であり、感情であった。


 あ、それより!

「『渦』はどうなったんですか?」

『渦』があのまま、富士山の内部にあったなら、やがて私の世界は惨劇が始まってしまう!


「ここに」

 ザーララは右手を広げた。

 その手の平には確かにあの時見た『渦』がまるで生き物のように、ゆっくりと回転しながら乗っている。

「いや、ちょっと待って下さい!それ、危険なんでしょ!」

 何故ザーララの手の平の上に『渦』が有るのか解らないが

 いや、何でココに?

「ユーカナーサリーが危ない、危ないってうるさいから、回収しておいたわ」

 回収って、、、。

「ユーカナーサリーの夢の中に、わたし出て来なかったでしょ。『渦』はね、わたしの所まで来れなかったか、わたしに回収される運命だったのよ」

 そう言うとザーララは手の平の上に乗る『渦』を握り潰した。

『渦』は消えた。


 えーえーえー!?私が見た時は今にも災いや災害を引き起す事が出来るってロウが言っていたのに、それ!

「どうじゃ、『渦』なるモノは消えたわ。まあ正確にはわたしが喰ったのだけど、オホホホホ」

 ってお上品に笑うけど、どんだけ強力なの、ザーララさん!

「流石にこの『渦』為れ、ロウの手を離れるば、未明成る事象が組み込まれるやも知れん。」


「しかしな、ロウが永き刻を掛け、溢れん魔力を創り上げたとせよ、それが幾ら測れぬ程の魔力で在ろう共、ロウとわたしを並べ見よ。ロウはわたしを越えられぬ。」

 なんか、言い切られましたが。

「お互いを概念として置き換えれば大も小も誤魔化せられぬ。」

 いえ、分かりません。


 ただ、女王ユーカナーサリーもこのザーララの力には呆れ返るみたいだ。

「うむ、姉様は無敵じゃな。その力、我は要らんが。エルフの里国を守護する必要が出た時は使ってほしいものじゃ。」

 ザーララは超強力な力を持つが、決してその力を外に向けて使わないようだ。

「その時、気が向いたら考えてもいいわよ」

 まったく他人事な口振りな返事、ザーララが凄くいい!力の使い何処を心得ているのだろう。逆に安心感や信頼感が伝わって来た。

「ザーララさん、素敵です」

あ、ヤバい。

思わず自然に出た感想なんだけど、リーザの前で異性を褒めちゃった。聞かれた。

それと女王様、ユーカナーサリーも。

寄りにもよって、さくらも居る。

ピンチ

ピンチ

ピンチ

、、、そうだ!


「あー、ザーララさん。私へのご褒美の件なんですが」

「お、何か決まったの?この世の支配とか!」

 いやぁ~ワクワクした目で見られてもなぁ

「ええ、今の今、ザーララさんにした私の賛辞なんですが、そこの三人の記憶を消して下さい」



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