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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフの王、花の王の目的

「トキヒコ殿よ、そもそもなリーザが何故お主の世界に行ったか知っておるか?」

そう言えば、そうだ。何故?


「ロウ、じゃよ」

ロウ、女王様、、、ユーカナーサリーのお兄さん。


「我はな、ロウをちょいちょい探しておった」


「我の部屋に鏡があるじゃろ」

女王様の私室にはリーザとの挨拶に行った時を初めとし、数度伺った事がある。

大きな楕円の鏡で奇麗な装飾がされた額に収まっているのが、確かにあった。


「我はな、あれにじゃな、時折ロウを探しつつ、人間世界を永きに渡り映し出し見ておった」

女王が続ける。


「その中での、人間達の技術革新も時を追い見てきた」


「それは素晴らしい物が多く、誰でも憧れを描く。それは我もエルフも同じじゃ」


「じゃがの、素晴らしい技術の裏側、もしくはその果てじゃの、悪さも同時に見えてしまう」


「我の思いは我が開く事により、全エルフに伝わる」


「素晴らしい事と同時にその悪さ、愚かさもな」


「我の性質、性格も有るやも知れんが、悪さ愚かさがの、より強調され伝わってしまう」


「またな、我らエルフは発展して文明による悪しき副産物との闘いの記憶が遺伝的に持つ」


「エルフは文明の発展を望まない。いや、言い換えるならば望め無いのじゃ」


「だがな、それで良いのじゃ」


どこか悲しく聞こえてしまうのは、人間のエゴか。


今の私たちは豊かで便利な世の中を築き上げた。

しかし同時に、その恩恵を受けられない人達も生み出している。

格差や差別。

それらを豊かさや便利さと引き換えにして良い事だろうか。

エルフの社会には無い。

しかし私に何が出来る?

そういう悲しみの立場にされた人達への影響を及ぼさない配慮を、、、。

心掛ける、心掛けるが、社会の歯車の中、出来る事はしたい、見つけたいが。




「それでの、お主の国でロウを見た。まあ、景色というかイメージじゃがの」

思い耽っていた自分を戻す。


「そこでリーザに行かした訳じゃ」

リーザに?なんで?


「おいそれとは行けぬ。我以外では『越える者』の呼称を持つリーザだけじゃ、お主の世界へ渡れるのは」

リーザの『繋ぎ・渡り・移動』か。


「リーザに対してはの、本当に我の我儘で酷い思いをさせてしまったじゃがの」


「あの落雷、カミナリで幸か不幸かお主に出会った。本来であれば人知れず、お主の国を少し周らせたかったんじゃがの」

女王様、幸福です。


「だがの、お主も分かるじゃろ、リーザが受けたダメージも相当のモノであった」

確かに、何時も元気で明るく(他のエルフと比べると)口数も多い。とにかくその動き、動作に制約が掛かっているリーザがあの時以外で想像出来ない。


「しかしな、我が民を危険に晒してまで、これ以上ロウを探索する気は無かったのでな」

「リーザには後にも先にも、ロウの探索の為に人間界に行かす事はさせておらん」

そうだったんだ。


「しかし、これは困った」

エルフが“困る”を口にするなんて。こっちが聞いてる以上に、困っているのだろう。


「最近ロウの動き、気配すら鏡の中に映らなくなってしまっておる」


女王は思案している。


「ザーララに会わねばならんな」

女王様、ユーカナーサリーのお姉さん、、、。


「ザーララの力を持ってすれば、ロウの居場所は分かるやも知れん」


「それにじゃな、元々ロウに人間界の存在を知らせたのは姉様であるザーララだしの」

え?ザーララは人間界を知っていた。

でも何でロウは人間界に行ったの?


「ザーララはな『渦』なんかより強烈ぞ」

え?渦の規模と言うか、影響力が把握出来て無いのですが、、、見た事無いし、、、でも、それを越える存在?


「お主に厳重に護りの術を掛ける。三重、いや五重にな」

五重の守りの結界って、、、何?


「ザーララに向き合った途端に、人間ごとき砕け散るやも知れんでな」

リーザの顔が蒼白だ。


「王よ、私も同行する事をお許し下さい」

リーザは女王に逆らう気は無い。

だが、最愛の者となったトキヒコを少しでも危険な目に合わす事は許し難い。


しかし、女王の今回の話しの内容、流れから、今の状況を理解している。

トキヒコを危険な目に合わせるかも知れない葛藤の中、リーザは揺れ動いていた。


「うむ、本来ならばトキヒコ殿、リーザ共にザーララに会わす危険を避けたいところじゃが」

それ、避けましょう!


「事は緊急を要するでな。エルフの里国建国以来の緊急事態やも知れぬかもな」

ザーララ、、、女王様のお姉さんとの事だが、どれだけ恐ろしい存在なんだ!


「あ〜女王様、私パスします」

「聞けんな。お主も当事者ぞ」

やっぱり、、、。




「これで事足るかは分からんが」

女王はトキヒコに、自身の持つ結界の術を五重に掛けた。

物理的に、何かから身を守るモノでは無く、魔術社会における、魔力から身を護るモノ。

私は見えないので分からない。

何かをまとったと言う感覚も無い。


その上から、リーザも守りの結界を被せてくれた。

でも、リーザがこんなにも不安がる表情を見せるだなんて。


「術とはの、波長の違うモノ同士が組み合わさると強固になるんじゃ」


「術の波長はの、個々の持つモノがそれぞれ違っており、同じモノはほぼ無いに等しい」


「我とリーザの波長も違うでな、少しは役立つじゃろうて」

女王様の言葉を聞いても、不思議といつもの安心感が感じられなかった。


女王はリーザにも同様の術を掛け、ザーララの元に、北山の山岳城へと出向く準備は整った。


何かスゴク不安しか無いのですが。

パス、、、無しか。




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