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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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女王の見た夢

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、ある日夢を見た。


 エルフは基本、睡眠時に夢を見ない。

 それは彼らの体質なのか、それとも、彼らの持つ思考と意識がそうさせないのか。


《『黒く赤く燃え上がる世界。渦となる炎の中に多くのエルフ、木々、建物、岩や川、そして人間が飲み込まれて行く』》


《『地面は裂け、誰かの悲鳴もどこにも届かず、ただ、ただ全ての者物が炎の渦に消えて行く』》


《『あがらう事も許されず、消滅されるのを待つ事だけが存在する、、、』》


《『人間世界は消え去り、エルフの世界も徐々に消えて行く、、、』》


《『炎の渦の中に何か影が、、、人影が見える。男のようだが、、、』》


 エルフは夢を見ないと云うが、少し言い換えれば、それは滅多に夢など見ない生き物と表せようか。

 意識や思考を持つ生物であれば、やはり多少なりとも夢は見るモノであろう。


 しかし、エルフの里国には、それにも増して睡眠中の夢を見ない者が居る。

 女王ユーカナーサリーは、レム睡眠もノンレム睡眠だろうと、睡眠の質に関係無く夢を見る機会が無い。


 女王ユーカナーサリーにしてみれば、睡眠とは魔力を正しく回す刻へと充てられる、貴重な機会。いつの日からか、その様に暮らして来た者にとり、睡眠中の夢とは、自身の営みに影響を与える行い以外の何物でもなくなってしまっていた。


 しかし、生有る者である以上、夢を見る事を疎遠とした女王が夢を見たならば、それは所謂正夢、もしくは神託と揶揄される性質を持つ。




  女王は目覚めた。


 今見た夢が現実なのか、“夢”なのか、、、

  信じられぬほどの発汗に戸惑い驚き、今見た夢に恐怖した。

「良からぬ事が必ず起こる」

  女王は身震いした。

 身も頭も重かった。



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