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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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リーザの家

 エルフの里国、その王宮の敷地内となり、王宮建物からほど近くに位置するリーザの家屋に着いた。

 振り返れば、石造りの頑強なエルフの王宮がそびえ立つ。


 リーザが初挑戦となった、二人同時での『繋いで・越え・移動』も無事に成功したようだ。

 初めての経験となったが(女王様へ謁見で初めて『越え渡った』時は女王様のお力であった)あっという間で、何かを感じる事さえ出来なかった。

「わー!」「きゃー!」とか言うまでも無く、『便利~』というより、何だった?が率直な感想。


 とりあえず、私は五体満足で立っていると思う。

 とにかくここがリーザの家だ。


 リーザが女王ユーカナーサリーより与えられているという住居。ぐるり一周の外壁は白色の土壁となっており、すごく明るくてキレイ。木戸を開いて中に入れば、同じく白い木製の机と椅子が備えられ、迎えてくれる。

 大変清潔である。

 、、、それだけだ。


 他に何も無い。シンプルってモノを通り過ぎてる。

 失礼を承知の上で、質素と言うよりは、、、、単に簡素。

 人間で言う『生活感』が感じられない。


「寝室を見て下さい」

 リーザに手を引かれた。

 住居の奥へと進むと、ここは寝室兼、衣装部屋みたい。

 リーザはウキウキと楽しそうだ。

 リーザと揃って寝室に入る。なんか、女性の一人暮らしの寝室に侵入したみたいで、変にドキドキしちゃうんだが。


 大きなベットには、柔らかな色合いのシーツが掛けられていて、マットの弾力感も申し分無く、良い眠りに引き込まれそうだ。

 おっと、このままここで、リーザを押し倒しそうになった。


「こちらをどうぞ」

 リーザが指し示したのは壁の全面が扉となっているクローゼット。

 『パカっ』っと把手を引き開くと、ギッシリと洋服の類が収まっている。

「ふえぇ〜、リーザ衣装持ちなのね」

「はい、私の自慢すべき物です。ほとんど全て、我が王より賜った物になります!」


 うわぁ、何か鎧に見える物が半分近く占めてるよ、ドレスみたいなのも多い。

 リーザと出会ってから彼女からは想像もつかない色取り取りの服が並ぶ。それらと並び多くの鎧(甲冑)も見える。


 リーザって実は戦士とか武者、武芸者?


「リーザ、このドレスとか着ないの?」

「はい、ちょっと動きずらいんですよね。王のお側で控える時には咄嗟の動作を要求される場面が有るかも知れませんし」

 リーザ、S P か何か?

 ああ、リーザがエルフの里国において、どんな職業というか役割も知らないや。

 これは失礼だぞ。



 他の二部屋、屋上を見て回った。(リーザの住居は平屋の上に1部屋だけが乗ってる感じの間取り。)

 感想、、、コレと言うのが難しい。

 部屋数は多々有る。言い表すなら、6DKで2階はロフトスペースかなぁ。でも別段、特に”コレッ“とするモノが何も無い。

 キッチン無い。

 お風呂無い。

 娯楽や趣味に繋がる物も無い。

 『私物』と思われる物が先程のクローゼットの中身しか無い。

 そう、生活感や生活臭が感じられない。

 テレビやパソコン、家電製品や照明器具すら無いからか?いや、もっと何か、何かが足りなく感じる。


 リーザが(唯一?)自慢のクローゼット前に戻った。

「リーザ、食事はどうしていたの?」

「はい、王宮で準備して頂いてました。時には我が王の私室で食事を共に頂いたり、出先では訪問先の族長に出して頂いてました。」


「この家での身の回りの事も、王宮からの者が色々と世話を焼いて下さってます。」

 家事能力ゼロから、よくぞ今やってくれてるなぁ〜、感激!


「じゃあさ今、私と暮らして食事の準備とか家事類、凄く大変でしょ?」

「ええ、凄く大変です」

 やっぱり。


「慣れぬ事の連続です、場合によれば未知成る行い、戸惑いを覚える事も多々ございます。」

 あー、やっぱり。

「何に付けても凄く大変で、ですが毎日何かの発見が有り、凄く楽しいです!充実と言いますか喜びが見つかる感じです!我らエルフとしては経験無き事、経験からでは叶わぬ喜びを得るに至りまする。」

 あー、感激、感激、感激!こっちが感激だよ!涙が出て来たよ。


「それに我が王以外の一個人の為、トキヒコさんの為にと思うと、嬉しいんです」

 何で、私なんかに、そこまで、、、。


「あれ、何か変でした?わたし」

 リーザを突然抱きしめた。強く強く。


 抱きしめずにはいられなかった。

 私は誰かにこんなに思われた事は無い。

 あ、母さんはノーカウント。


「リーザ、、、いつもありがとう。これからもよろしく」

「はい」


 私はリーザに唇を重ね、勢いのままベットに倒れこんだ。


「よう!トキヒコ殿久しく。来られたか!」

 リーザの住居の入口辺りで、女王様の声がした。

 女王様が邪魔しに来た。


 ちっ。





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