幻獣の森 幻獣『火事』
『フオコォ』実は何か言い難い。
リーザには、女王様との念話を中止してもらい、朝食の支度をさくらと揃ってしてもらう。
私は、フオコォに水を準備してやった。水飲むのか?そもそも『幻獣』って、何を食う?女王ユーカナーサリーは、この世界に生きる者と、差ほど変わりは無いとおっしゃられていたが。
フオコォ、水を飲んでる。犬や猫と見た目や動作も変わらないな。まあ、良し。
リーザの作る『ズイッチャ』は、エルフの里国の皆が作るのと少し違う。
私が食べやすい様に、甘味の有る干した果物を細かく刻んで練り込んでくれている。細かく刻んだ干したこの果物は、甘味に合わせて、バターを感じる油分も染みだし、少し固めのズイッチャに優しい柔らかさが加わる逸品となる。
普段私は朝食を採らない事が殆んど。でも、休日はこうして朝の食卓に着く。
さくらも大学の研究室に土日でも出掛ける事が多くなり、こうして朝から揃って休日の食卓に家族三人、揃うのは久し振りかも知れない。
あ、一匹加わっているが。
「フオコォ、何か食べる?」
フオコォに私用に準備してくれた、リーザの作ってくれた朝食を少し取り分ける。
四本足だからと言って、犬や猫の扱いをしてもいいのやら、どうか?
私はフオコォの為にイスを準備してやって、私達と同等の扱いをする。
「このイスに乗って、テーブルに手を着いてもいいけど、上には乗るなよ」
(『ルールラー、トキヒコ、ルー、ルー』)
『幻獣』フオコォも大人しくテーブルに着いた。
フオコォ、普通に食べてる。その姿は犬と変わらないけど、特に問題無し。
でも私の隣に居る姿を観察すると、昨日の傷痕は胸と腹部に痛々しく残り、炎の体毛の間からでも確認出来る。
「お前、何であんな所であんなに大怪我してたんだよ」
「、、、ルー、、、」
不思議と言葉が通じる。
それにしても、こちらの世界の住民は、皆、オレの意思が通じるなぁ~、日本語OKだし。エルフに限らず、皆天才か!
「二人の今日の予定は?」
「ちょっとこっちを散策かな?エルフの里国の生態系を少し観察中だし」
リーザもさくらのお伴をする予定。
さくらは大学で『生命の起源』についてを研究課題とした。
だけどエルフの里国の生物が、そのヒントを与えてくれるのか?
まあさくらも、我が娘ながら、私が想像の及ばない賢い者達の中にいるからなぁ。
「では、ドゥブリーザチョッドレウンの里に行こう」
「宜しいですが、トキヒコさん、どうされました」
「うん。フオコォと出会った場所、ドゥブリーザチョッドレウンの里の森まで行って、フオコォを帰そうと思う」
(『、、、ルー。』)
何か可愛いやつ。このまま一緒にいたら、離せられなくなっちゃいそうだよ。
でも、ペット扱いしてもいいものか?それにペットとしての範疇に収まるのか?そもそもペットは別れが悲しい。
あ、フオコォはこちらの世界、その上『幻獣』だ。私何かより断然長生きだったりして。
やっぱ一度、女王様をお呼びしよう。
「リーザ、お願い」
リーザの住居を出ると、女王ユーカナーサリーが向かって来るのが見える。誰も従えず、お一人で来る!
でも、歩いて無い。何かすーっと移動して来る。
何か、ズルい。
私は頭を下げ、女王様を迎い入れる。
「女王様申し訳ごさいません。昨日に引き続きお呼び立てしてしまいました」
「構わん。トキヒコ殿は我に気を遣うな」
いえいえ、王様に対して、度々と申し訳ございません。
「お?」
「ユーカナーサリー、どうされました?」
居室に入るなり、女王ユーカナーサリーの反応?
「うむ、珍しき事。トキヒコ殿、良いか」
「ええ、何でしょう」
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに私は右手を当てられる。
私を測っているのだろう。
「姉様の結界が崩れておる。昨日こやつとの衝突為れか」
昨日、ザーララさんの山岳城で掛けて下さった結界か。 ザーララの結界が崩れる?いや、結界ってまだ囲まれてたの?半永久的なやつなの?
「姉様も申しておったが、姉様とこやつ、魔力の波長が近しき者か。しかしながら、姉様の術を削りおったか」
魔力の衝突!?
「まあ、こやつが今の現出している状態で、力を出さなんだら、魔力による衝突為れ起きなかろうぞ」
現出状態で、、、とすると、やっぱ昨夜のさくらは、オレの夢の中か精神世界に登場したって事?!
『紅の瞳の者、幻想をも超える力を持つ』ってやつか。
『幻獣』フオコォ、大人しくしてろよ~でないと、オレがまた吹っ飛ぶ。
「しかしして名を持たしたか。ならばこの者の因は重きを増し、この場に定まるやも知れぬの」
“因”かぁ、良く分からん。それが重くなるって。
「トキヒコ殿、こやつを如何とする?」
さくらは、ペットとしてフオコォを飼いはしないだろう。
「元の森へと還そうと思います」
ここで一緒に過ごす事は出来ない。
今の私達の生活は、人間世界であって、ココでは無い。
「ドゥブリーザチョッドレウンの里まで行きまして、こいつがいた、森の中へと連れて行こうと思います」
あ、ついでに見れなかった、池だか泉まで行っちゃおう。




