幻獣の森 幻獣に名前を付ける
「あー!何~?火事よ!、、、だ、、、あ?ぁ、ぁ、、、ぁ?」
さくらが寝室に飛び込んで来た!
「お父さん、何か居るよ!火が着いてるみたいなヤツが!」
あ~さくら、自分の目で見てから、目に入った事に対する情報判断が遅いなぁ、起きたばかりだからか。
「さくら、昨日話した『幻獣』だよ。昨日の夜にさくらが、この部屋から抱っこして連れて行ったぞ」
「えー!?」
さくら、寝ぼけていたんか。
『幻獣』、、、さくらの後をトコトコと着いて歩いて来た。
仔犬の様な大きさで、小鹿の様な可愛らしい顔。でも全身は炎の様に揺らめく赤とオレンジの長い体毛に覆われている。
「トキヒコさん、昨夜ですか?いつになります?」
「う~ん、寝出して直ぐだと思うんだけど」
昨夜リーザは気付いていなかった。実際に『幻獣』が現出していたのとは違ってたみたいだったし、、、あれっ?
「さくら、さくらは昨夜、オレの夢世界か精神世界に、現れたって事?」
いや、でも朝起きたさくらの元に『幻獣』が居たみたいだし、、、あれ?あれれ?
ただ『幻獣』、何やら“力”を持っていて、エルフの伝説で謳われる赤い目を持つ。
結局、何者なのか何も分かって無い。
見た目と違い、実は大きな危険を孕んだ存在かも知れない。
今、不安は感じないけど、リーザとさくらを危険な目に合わす訳には行かない。でももう既に危険の中なのかも。
私はベットに腰掛けたまま、さくらを手招きした。
『幻獣』もさくらに合わせて、一緒にに近付いて来る。
あー、『幻獣』は呼んで無いんだが。
「さくら、何か感じるか?」
さくらの瞳は、何時もの黒い瞳に戻っている。だけどさくらは何か“危険感知能力”を持っている。
さくらに内服されている、エルフの持つ“力”の一部か、“何やらの力”の一部がエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに掛けて頂いている『枷』からすり抜けているかの様に。
「お父さん、特に何も感じないわ」
まあ『幻獣』が危険性を持っていたとして、“どんだけ危険!”何て測れないしなぁ。
『幻獣』はピョンとベットに腰掛ける私の元に乗って来た。可愛い。
思わず首をワシャワシャして、頭を撫ぜ撫ぜして、ぎゅ~っと抱きしめた。
現実として、こうやって触れられる。幻世界の見えざる者としてのイメージが無いなぁ。
「『幻獣』、お前名前は有るのか?」
『幻獣』に話し掛ける。昨日は何やら伝わって来たからなぁ~それも日本語(私が理解出来た)で。
(「、、、ルー、トキ、ヒコ。ルー、ルラー、ルー、、、」)
「オレはトキヒコだ。こっちは我妻のリーザ、そして娘のさくらだ。改めてよろしくな」
(「ルー、トキヒコ、リーザ、サクラ、、、ルー、、、」)
「そうだ。それで、お前は?」
(「、、、ルー、、、」)
「お前の名前は『ルー』なのか?」
唸り声だと思ってた。
(「、、、ルー、ルー、ルールー、ルー、、、」)
「違うのか、、、」
名前は持って無いのか。
「う~ん、さくら、何かいい名前思い着かない?」
こいつの呼ぶのに、語弊力の弱い私から導き出された“炎之助”だと、可愛く無いもんなぁ。
「そうねぇ~“fuoco”でどう?」
「フオコォ?」
「うん。イタリア語で“火事”よ」
何故に突然イタリアン?だったらパスタとか、フェラーリとか、カルチョ、とかでも?
だけど、火事って、、、事故や事件になっちゃうよ。でも、さくらが受けた第一印象なのか?
「よし、ではお前は『フオコォ』でどうだ。さくらが名付け親だ」
(「、、、ルー、フオコォ、ルー、ルー、、、ルールールー)」
『幻獣』は全身を激しく揺らし出した。その姿、やっぱ火事で正解かな。
「リーザ、ここに女王様をお呼び出来ないかなぁ。『幻獣』がココに居るって伝えて欲しい」
リーザは念話を行い、女王ユーカナーサリーと繋ぐ。
ハイエルフでもある、リーザの『術』であり、力だ。
「トキヒコさん、少し窮します」
え?こんなに近いのに?あっ。
「おい、フオコォ、火事、邪魔すんなよ」
(『ルー、トキヒコ、ルールー、ルー』)
「大人しくしてろよ。別にお前をどうこうする分けではないから。オレはお前を傷付け無い。それに女王様はお前を救ってくれた恩人、、、恩エルフだぞ」
そっと『幻獣』火事〜フオコォを抱き上げる。可愛い。




