トキヒコ、両親に結婚報告に行く・トキヒコとリーザ 2
「ただいまぁ~」
両親は買い物から帰ってきていた。
「あらあらあら」
母はリーザの靴の汚れと白いワンピースに付いた緑色の汚れ(草や木で擦った)を目ざとく見付けた。
「もう、こんなに汚しちゃって。直ぐに洗濯するから脱いで、脱いで」
と。
リーザは実家に置いてあった、私のジャージ姿になった。
体のラインが強調され、、、エロい。
「あらぁ~何を着ても可愛いわ」
知ってる。
しかし、私の着ていた服は、ワンピースとは一緒に洗えないと拒まれた。
夕飯が出来た。
リーザは母から『あなたは今日はお客さん』と言われたが、母の料理に興味があるらしく、結局いっしょに台所に立った。
母の作ってくれた料理を口にするのは、久振りだ。
「リーザさんと一緒に、腕によりを掛けたつもりよ」
懐かしい、母の田舎料理が並んだ。
食べる。
紛れもなく『おふくろの味』だ、うまい。
「あー、何かいいなぁ」
「美味しいです」
食事をする時のリーザの顔は一段と可愛い。
「良かったわぁ~」
母は喜んでくれている。
少し母からレシピを教わったそうだ。
「『男心を掴むなら、胃袋を掴め』ってね。私はお父さんをそれで捕まえたとこも有るかも知れないけど、リーザさんには必要無いわねぇ」
無い。
「デザートはね、桃よ」
わぁ嬉しいな。
リーザは桃を初めて食べる。
目を丸くした。
「甘くて美味しいです」
「良かったわぁ~、お父さんが選んだのよ」
オヤジがドヤ顔だ。
「ありがとうございます、とっても美味しいです」
リーザに言われオヤジは破顔した。
ただ、リーザの両手とアゴが桃の汁だらけだ。
私がお風呂から出ると、リーザと母が床に座り、何やら広げている。
私のアルバムだ。
「トキヒコさん、小さくてカワイイです」
母の昔話しに花が咲く。こうなると、この人止まらない。
リーザは興味深く母の話しを聞きながら、付き合ってくれた。
「私は写真、有りません」
そうなんだ。エルフの社会では写真が無いのか。
写真技術はそれなりの文明技術だからな。でもエルフの科学技術や社会文化ってどのぐらいあるのだろう。
知能は超超超高度だと分かる。
が、まったく知らないなぁ。
そこら辺はまだ接する機会もないな。
「リーザ、戻ったら私たちの記念写真を撮ろう。母さん達にも送るよ」
「必ず送ってね。期待して待ってるわよ」
母の私の思い出話しは続いた。
翌朝、私たちは帰る事となった。
新幹線の座席指定を取っていたので、時間が決まっていた。
母は涙ぐみ、リーザとギュっと抱き合い別れを惜しんだ。
「リーザ、悪いけどオヤジの手も握ってくれるかな」
オヤジは戸惑いながらも感激していた。
「オヤジ、リーザに触れたくて何かスネてるみたいだったよ」
「な、何をバカの事を言う。そんな事を言うヤツの親の顔を見たいわ!」
あんただよ。
何とか新幹線までたどり着き、指定席に並んで座った。
わざわざ指定席を取ったのは、2時間近く乗る事と、自由席の座席を求めうろうろする事により、リーザが人目に付く事をなるべく避けたかった。
私の自意識過剰な点も有るが、やはり特徴的な容姿から在らぬ噂というかSNS時代の悪しき傾向に巻き込まれたく無い為の用心だ。
「リーザ、私の両親どうだった。どう思う?」
「はい、ステキでした。それにトキヒコさんはお二人にすごく愛されて育てられたと感じました」
エルフは愛想笑いや社交辞令の類は余り言わないとしても、気を遣い過ぎ、誉め過ぎじゃないの~。
「ホントに?」
「はい」
親の愛情か。
確かに我が家は決して裕福では無かったが、ひもじい思いをした事は無い。
大学にも行かしてもらったし、離れて一人暮らしを始めても文句のひとつも言われた事が無い。
『甘やかされて育った』が正解だな。
「私たちもトキヒコさんのご両親のように、永くいっしょにいたいです」
私もそうしたい。一日、一分一秒でもリーザと共にいたい。
こう見えて私って、結構図太く、もがきます。簡単には死にませんよ。
、、、たとえ私が先に逝くのが決まっていても、そうありたい。
本音である。




