エルフの麺 エルフパスタ試食会
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーによる、リーザに出された指令(間接的に私に対してかも)、エルフの里国で麺料理を所望し、食する事。
無事に完成だ。
『エルフパスタ、王様スペシャル(スープパスタ)』と『トキヒコ(殆んどリーザ作)スペシャル、スパゲッティー』の二品もだ。
1階と半地下の厨房より、今回急遽『集まりの場』という大広間が試食会の為に『王の食堂』へと飾られ、今回作られた食事が配膳された。
大試食会として、女王ユーカナーサリーが音頭を取った。
王の食事に同席する機会など皆は無い為、その点ぐらいは私のお陰と、後で王宮に住まうエルフ達から礼を言われた。
「トキヒコ殿、越える者よ、食して良かろうか」
「ええ、もちろん。女王様、麺の種類としてはパスタと申します」
リーザがエルフの里国で揃えられる材料から作り出した力作だ。
でも、主婦業が板に付いたリーザにとっては、容易かった?
そして、フォークも準備されている。
エルフの里国での食事用の道具、大きいヘラと小さいヘラの組み合わせ。それを加工して、フォーク状になってる。
流石リーザ、抜かり無い!
女王様の目の前には『エルフパスタ、王様スペシャル』が置かれる。
女王ユーカナーサリー、目が輝く。観察も始める。
深皿に盛られた各種の具材がスープの下から顔を出し、更にその下となるパスタ麺が見えない。
女王様、特製フォークを手に取り、具材を突つき、ひっくり返し、下にあるパスタ麺を確認した!
そして私に嬉しそうな顔を向けて来た。
「女王様、パスタはこのフォーク(相当)に巻き付けて食します」
そうそう、少しづつ巻く様に。
そして、パクっと。
モグモグ
そして今度はもっと多くの量を巻き取り、パクっと。
「う~む、良いの!良い良い!」
「やはりこの麺成る形状は興味深い。生地が均等成る故、茹で加工時の短縮、味への伝わりも増す。なお食する一度の分量調整も容易為る。麺、、、良いのぉ」
「もっと早くに我らの里国にて存在しても良きモノであったな。越える者よ、我らにてこのモノを民達とて、所望する事は可と成るで良いのか?」
おっ、女王様の判定か?
「ええ、我が王よ。王がそう申すのであらば、この厨房の者達にて伝え行きましょう」
パスタ麺の材料自体は、エルフの里国で調達した小麦粉に相当するオモーカ、それと水。
エルフの里国は水が美味しいので、食べ物が美味しい一番の理由かも。
「そうか、ならばそう取り行のう。皆の者達よ、この場で食を続けるが良し」
この大試食に参加となった、エルフの王宮に住まう者、厨房に居た者達の歓声が(控え目に)上がり、皆で食事にタイムだ。
皆さん女王ユーカナーサリーに習って、パスタの麺をクルクルと。
上手くフォークが使えた者、ちょっと戸惑う者、従来の大小ヘラを使う者。
それぞれが楽しんで食事を採っている事が伝わって来る。私でさえも、それを感じる事が出来る。
それにメニューも『王様スペシャル』だもんな。
「では次成るが赤い物。トキヒコ殿じゃな。向こうの世界成るトマトソース、イタリアンスパゲッティ、ナポリタン、、、何れを模して下さったか」
『喫茶店風』とは行きませんでしたが。せめて、ウインナーの輪切りが欲しかった。
またまたフォークでくるくるっと。女王様、もうサマになってる!流石!
「ん?濃いの、、、濃いが、良い、良きモノぞ!」
あちゃー、やっぱ『ソース掛け過ぎ』だ。
「トキヒコ殿、良いの!」
「ありがとうございます」
ふぅ~、ちょっと急遽(リーザの手順頼りでほぼリーザ作)で作ったけど、なんとか及第点は取れたかな。
でも、笑顔で振り向いて下さる女王様、隣に着席させて頂いているさくらと揃って、口の回りが赤いです。
この後、エルフの里国での麺文化が開花した。
色々な穀物の粉の配合による新たな麺も登場し、私がエルフの里国にはソバが無いから、醤油が無いからなどと言っていた事はすっ飛んだ。
エルフ達には、イメージを伝えたり、見本を示せばそれで充分だ。
後は自分達で理解し、判断し、場合によっては発展させる。
バスタマシンも乾燥パスタも、私が何も言わない間に出来上がっている。
パスタの類は無限のバリエーションに。
スープパスタはラーメンやうどん相当の汁に浸かった物となり、つけ麺的な仕様も有る。
その工夫と変化と発展、恐ろしい位に頼もしい。
恐ろしい発展、、、でもそれは、エルフ達自身の持つ善に裏付けされ、女王様の統制の元で行われる。
悪意や敵意、利益追求、見返りを求めない、それらを大きな共同体で生活を続けている。
そんな存在が有っていいのだろうか。
ここにはそれが有る。
何よりそれが、私がこの世界を愛すべき最大の理由である。




