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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフの里国での麺作り

エルフの里国で『お蕎麦』はちょっと難しいらしい。

それは、材料となるソバが無いから。

それと、醤油も。


醤油の原料は大豆、小麦、塩。大豆は蒸して、小麦は炒って、そして微生物が醸しておいしさが生まれまる。

その微生物でもある『麹菌』。こいつがカビの一種で、日本をはじめ湿度の高い東アジアや東南アジアにしか生息してないが、その中でも「コウジカビ」と言う『麹菌』は、日本にのみ生息している。

こいつの役割が日本の食文化である、醤油に味噌、みりん、米酢、日本酒、漬け物、焼酎なんかも。日本食の主な発酵調味料や発酵食品の多くで活躍している。誉れである。

エルフの里国では、残念ながら生息していない。

だから、お醤油から作る“麺ツユ”の相当品か代替品が見付からないと、エルフの里国でのソバ、うどん作りは保留としたい。

魚介類や肉からダシを取ったモノに塩味を効かしたツユも有りかも知れないが、やっぱりソバとうどんは醤油ベースのツユが必須!

偏見です、偏った嗜好です。


そもそもは、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの司令だ!

エルフの里国で食する麺の探求は続く(大袈裟か)。

麺作りはいずれにせよ、小麦粉が主材料になると思う。

まあ、次の麺を模索しましょう。


「リーザ、エルフの里国で小麦粉みたいな食用の粉末を作れる穀物類は収穫あるの?」

何種類か有るのかなぁ~。

我々の社会でも、小麦粉に限らず、昨今だと米粉とか、中南米だとトウモロコシの粉をベースに作る料理のトルティーヤ(薄焼きパン。タコスの皮)も有るけど。あ、飼料としてのトウモロコシ粉は無しね。

「はい、あちら(エルフの里国)ですとパンに見立てたズイッチャの原材料となりますモオーカですね。ズイッチャは我らの里国の主食でもあります」

うん、食べた事有る。

パンよりちょっと堅い。味も特に『美味しい!』とも思わなかった。それは、バターとかクリームとか何も混ぜ込まれてないから。だけど、肉や魚、野菜を挟んで、何故か沢山食べれる不思議な食べ物。

私達が食べる様々なパンが、色々と混ぜ過ぎ?でも、菓子パンとか、好き。


「プセニツッア(小麦)からモオーカ(小麦粉)を作ります。その手法は、こちらと変わりません。」

小麦がプニセニッツアで、小麦粉がモーカーオね。ちゃんと覚えられるかなぁ。

「リーザ、向こうで小麦の代用が効く作物が有るのなら、小麦が材料の割合を多く占める『麺』を探ると、やっぱうどんに行きた所だけど、パスタかな」


女王様の想い描く『麺』はそもそも何を想っての事なんだろう。

「そもそも、女王様がリーザに求めた“麺”って、何を示していたんだろう?」

“麺”だけだと漠然過ぎる。

「我らエルフの里国には、元々麺類が無き事ですので、あの細く長く加工された形状であれば、第一段階としては良い、と思われます」

「え?第二段階、第三段階にも進む?」

「はい。それはやはり食した時の味覚に始まり、その後の作り易さへ続きますので」

まあそうだ。


次はパスタ。主な材料は小麦粉と水。うどんと一緒で、材料としてはシンプルだ。

本場イタリアならば、南と北で軟質小麦粉と硬質小麦粉と2種類の小麦粉を使ったりもするが、ここではそこまで考えて無い。

先ずは形なり流れ、実際の“麺”としての再現をしなくちゃね。

パスタとすれば、味付けに醤油を用いなくても問題無かろう。

食のバリエーションも、私の知る喫茶店のメニューとか、イタリア料理のレシピを見れば、行けそうだ。

エルフの里国にも、トマトのような食材も有るから、トマトソース(風)は出来る。

その他の味付けやパスタソースに関しても、色々と考えられそう。


麺の製作にはズイッチャの生地を伸ばして、切って茹でれば、それなりの形にはなるだろう。

でも『焼く』と『茹でる』の違いが有るから、水っ気や生地の固さは、試行錯誤かな。


私達はエルフの里国の王宮内に有る、厨房に向かった。

広い!

カマドが幾つ並ぶ!?その上に乗る鍋、デカッ!

エルフ達が採る、食の量は多い。

エルフは皆、人類と比べると大柄だ。それこそスポーツの競技者や格闘家を思い起こされる者がほとんどだ。

それに加え『術』を使い体内のエネルギーを消費する。

だから、エルフの誰しも大食いに見えちゃう。

リーザと暮らし出した当初は、リーザめっちゃ食う!と驚き思ったが、エルフとしては普通であることを後で知った。


それと、エルフ達は金属を余り使用しない。

忌み嫌うとまでは行かないが、鉄鉱石を分解し、鉄の要素を取り出し、高熱で鉄の塊を造り出し、硬く熱で形が変えられる便利な素材だと思うのだが、やはり武器に繋がるからなのかなぁ~

でもこの厨房には、女王ユーカナーサリーの許しを得て、リーザによって勧められた金属製の調理器具が並ぶ。

大きな寸胴鍋、中華鍋、肉焼き用の鉄板。

それ以外は従来から使用されている陶器製の調理器具、鍋。木製の大きなボールも多く並ぶ。


ではでは、ズイッチャからパスタ麺へと変身してもらいましょう。

「リーザ、麺の生地はズイッチャのモノと同じでいいのかな」

「いえトキヒコさん、ズイッチャの生地には、パンのイースト菌の如く、ヅロッツェが入っております」

おお、エルフの里国でも、菌類を使ってるのね。

「こちらをご覧ください」

この厨房の冷暗所(冷蔵庫とまでは行かない)にズイッチャの生地が多く寝かされている。

すげー量!

「ヅロッツェを含みましたズイッチャ用の生地をこうして寝かしまして、翌朝に石窯で焼き上げます。ヅロッツェの発酵によりズイッチャが焼き上げ時に弾力と膨らみを得ます。このまま、保存も効きますので、生地の作り置きでもあります」

一度に何個ぐらい、どれぐらい焼くんだろう。

あ、このエルフの里国の王宮で仕えるエルフ、働いているエルフって、何人ぐらい居るんだろう(何エルフか?)。


「ではパスタ(相当)の生地作り、トキヒコさんもご一緒しましょう」

「はい!」

よぉ〜し、やったるぞ!

リーザはこっちで作るパスタ相応の麺生地作りを検討と見込み済みだ。

後は実戦あるのみ。

「先ずは小麦粉の代用品であり、ズイッチャの元ともなります、モオーカです」

あれ?名前間違えて覚えた?オーモカーだと思ってた。

「オリーブオイルが欲しい所ですが、こちらには有りませんね」

エルフの里国だもん。

「そうですね、オリーブ油に見立てましたオリワ油を使いましょう。これも木に成る実より抽出されました食用油となります」

粉300gに対して水が150㎖(リーザ基準、リーザにて計量)、オリワ油を4、5滴と塩少々。

「混ぜます」

木のボールを抱えながら、大きめのスプーンの様な、これまた木製の木ベラで混ぜます。

混ぜます。まぜまぜ、グルグルと混ぜます。

「モオーカと水、オリワ油、塩を混ぜながら、捏ねて行きます」

大分、パサパサだ。コネコネ。

「混ざりましたら、生地と成る物を作業台へと取り出し、そして捏ねます。力強く捏ねます!」

コネコネとは行かない!力強く!コネー!コネー!ヒィ〜、これ、力要るぞ。

「リーザ、パサ付くので、水かオリワ油を少し足したいのだけど」

「ダメです。もう少し頑張って、捏ねて下さい。今水を足してしまいますと、麺が持つ“コシ”に影響が出ます。しばらく様子を見つつ、その後にオリワ油か水を足すべきか判断いたします」

ヒィ〜、重労働。

リーザの捏ねる生地は、水っ気が少ないながらも、表面が滑らかになっている。

オレは混ぜ、捏ねが足りないのか?!ヒィ〜、キツい。

「トキヒコさん、頑張りましょう!」

「ヒィ〜、頑張ってまーす」

何故だかリーザが厳しい!スパルタ気味だ。


なんとか私の分も大分、滑らかな表面となった生地となった。

相当に捏ねました!

「では、この絞りました濡れ布を被せまして、2時間程、寝かしましょう」


休憩時間だ。

リーザと揃って王宮の3階相当と成る、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーのおあす場所『花の間』へと向かい、その奥に続く廊下の先にある、女王の私室へと向かう。

さくらを女王様に預けている。(いいのかなぁ?)


女王の私室の扉むこうから、女児が二人、キャッキャと楽しそうな声が聞こえる。

ん、女児が二人?

リーザがノックと共に扉を開けると、紙風船を手で打ち合うさくらと女王ユーカナーサリーの姿があった。

「おうトキヒコ殿、さくらも中々にやりおるわい!」

あー女王様、さくらのお相手ありがとうございます。申し訳ございません。

「ユーカナーサリー、ありがとうございます」

しっかりと、お守りさせちゃった。王様なのに。

「さくらは良い。トキヒコ殿に麺の件を頼んだのは我じゃ。礼を申すのは我じゃ」

「あー女王様、ユーカナーサリー。お礼は麺を召し上がられてから、もらいましょう。もう少しでリーザの試作1号が出来ますでしょうから」

「はい、お任せを。所でユーカナーサリー、お味に於きまして、何か希望は有られますか?」

「それも任そうぞ。リーザに一任しておるでな」


そうか、休んでられない。

パスタソースを作らなくっちゃ。

「リーザ、厨房に戻らなくっちゃ。パスタソースを作らなくっちゃ」

「トキヒコさん、大丈夫ですよ。私にお任せあれ」

あれ、リーザ余裕?

「私も幾分かは、あちら(人間社会)で主婦業を学ばさせて頂きました。それは、まるで道を間違えてと、思う程です」

「リーザが道を間違えた?」

リーザがエルフの里国で、選んだ自分の進む道は、狩りの者から始まり、戦士となる事を目指した。

「トキヒコさん、主婦業は大変です、侮れません!でもですね、多くの発見と多くの学びを私に与えてもらってます。ありがたい事です」

主婦業に対して、謙虚さと有難みを感じる人、初めて見た!気が!

「いやリーザ、いつもありがとう」

掃除に洗濯、食事、、、大蔵大臣にも任命したから、各種の支払い、家計のやり繰り。こう思うと、主婦って忙しい。面白くも無い事をいっぱいやらなくてはならないんだなぁ~リーザに感謝。

「トキヒコ殿、ノロケは向こうにて行うが由」

あれ女王様が気にされた。妬いてる?


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