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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフ王家の異変 行き着く場とは

『ドンッ!』

と尻もちを着いた。

「あー、さくら、もっと優しく扱ってくれよ〜」

あの奇妙で安堵感のある場所から、さくらによって、半ば強制的に『翔び』帰って来た。

どこら辺りの森だったのだろう?改めて行けるのかな。

尻もちを着き到着した先は、ザーララの山岳城のホールである。ホールの四方は私がザーララの胸の真ん中(谷間)に触れて、光に包まれ消える前と同じ様相で、ボロボロだ。

だけど、あの青い雫で濡れ広がったホールの床は、乾いている。

そして、エルフの里国の王家の3人、長子のザーララ、その弟ロウ、三男坊、、、あ、可愛い末っ子のユーカナーサリーが揃っている。

王家の三人は、それぞれしっかりと自分達の足で立ち、女王ユーカナーサリーも血を吐いた様な病の気は消えている。

リーザも揃ってこの場に居る。

「トキヒコ殿、よくぞ戻られたの」

あー、さくらに連れ戻されただけなんですが。

女王ユーカナーサリー、何時もの姿を取り戻すしている様だ。

ザーララさんも、服を身に付けているが、表情は少し暗いか?

ロウは、もう血まみれではなく、何時もの逞しい佇まいだ。


ザーララさんが指を弾くと、机と人数分のイスが現れた。

わぁ、神の行い!

「さてトキヒコ、話して欲しい。我ら血族に繋がる事を見聞きして来たな」

ザーララは浮かぬ顔をしている。何時もの無敵で明るい姿では無い。

「はい。たぶん、初代王、ファウスに会った事になるのでしょうか?」

私はそう口を開き、真ん中の席に着く。私の左右にリーザとさくら、エルフ王家の三人は、机を挟み向い合う形で、皆がそれぞれの席に着いた。

「でも、あれは何処だったんでしょう。さくらが理解しているな。さくら、教えてくれ」

さくらが頷く。

「あの場所は、、、」


私が引き寄せられた場所は、初代王ファウスの世界。

ファウスとその妻、邪竜の生まれ変わりでも有るズゥイラーと二人で作り出した空間。

過去に初代王はその責務から、ダークエルフとなった者の首を切り落とした。

エルフを殺した者はその嫌悪感と罪悪心からダークエルフと成る。

しかし、ファウスはダークエルフとは成らなかった。

それが『調整に失敗した者』であったが為かは、分からない。

結果として、ダークエルフの発生は留まる事となり、その後にダークエルフの発現の連鎖は起きなかった。

だが、ファウスはダークエルフとは成らなかったが、エルフの里国に留まる事も出来なかった。

ここでは無い、、、エルフの里国では無い、何処かへ。

そして、行き場所の無いファウスとその妻ズゥイラー、二人が導き出したのは、エルフの『術』と邪竜の力を使って別の世界を作り出し、そこへ旅立つ事だった。

誰にも告げる事無く、二人は消える様に突然旅立った。

永い年月を二人はあそこで過ごしたのだろう。


「あそこは、実体の無い世界」

あの場所は、エルフの里国の森の中では無かったんだ、、、では、ファウスなりズゥイラーの持つイメージから創られたのか、、、エルフは森へと還るのかな。

実体が無い世界って、、、あれ?石のベットの草木は掻き分けたけどなぁ。

「だけど、あの世界の崩壊の時が近付いたのだと思うの」

さくらはあの場に行き、何かを感じたのだろう。

「でも、二人はあの世界を維持したかったのね。何も無い世界、、、ううん、あそこは二人だけの世界。二人が行き着いた場所。それが続く事を望んだ」

ファウスは『行き着く場』と言っていたが、私はそれを“死”と連想し“死後の世界”と勝手に解釈してしまったが。

「“永遠”なんてモノは存在しない。だけど今暫く維持する事が可能だと考えた。それには力が、エネルギーが必要だから、何処からか取り入れなくてはならなくなったの。だから、別の世界から辿る事が出来そうな自分達の“血”の流れを辿ったのね」

だから辿られた結果、王家の姉弟妹達に異変が起ったのか。

ファウス達の思惑は成功した。自分達の血は絶えていなかったから。

しかし、ザーララさんをも抑える力とは、、、邪竜の真の力とは、、、よくぞ大昔のエルフ達は邪竜を倒したなぁ~。


「だけとファウスとズゥイラー、二人の想いは届かなかった。お父さんが、父トキヒコがエルフ王家の“血の力”の代わりに、向こうへ行っちゃったから」

あれ?余計な事しちゃった?

「幸成るか。我らが引き寄せられなんだのは、トキヒコ殿のお陰か」

「あのまま、ファウスとズゥイラーが皆さんの力を引き寄せられたのかは、今となっては解りません。ですが結果として、父であるトキヒコの介入は彼らの行いを止める事となりました」

オレってファインプレー!?

「何が最良であったのか、この結果が良かったのかは、分かりません」

あれ?珍プレーなの?

「それは、皆さん次第でしょう」

彼らにとって、見たことも無いご先祖様。

あのまま皆と会えたのならば、もっと別の展開があったのかも知れない。


「さくら、それであの場所、あの空間は、、、」

「お父さん、、、だんだんと狭く、小さくなって、、、消えるわ」

エルフ王家の三人は、おじいさんとおばあさんに会えないのか。

「皆さん、私は余計な事をしてしまったのかも知れません。皆さんの祖先、ご尊父やご祖母様とお会い出来る機会を奪ってしまった、、、」

そうだ、私は居てはならなかったのかも知れない。

ただの出しゃばりなオッサンだ。

「トキヒコ、それは大切で重要な事か?」

「いえ、人それぞれが思い持つ感情でしょうから」

あ、“エルフそれぞれ”な。

「わたしは、、、」

ザーララが神妙に言葉を繋ぐ。

「わたしは、、、向こうへ引かれたのならば、消えていただろう、、、」


「わたしは、、、そして私は、わたしの力を超える者に出会ってしまった、、、」

確かにザーララさんは、身体が引き千切られるかの様に、邪竜へと変化しそうになった。

でもオリジナルの邪竜の生まれ変わりと、その邪竜を倒したエルフとのツープラトン攻撃だったからなぁ。

「邪竜の力を凌駕する者、、、さくらよ。わたしを導いてくれ」

え、ええー!ザーララさんの力を超える者って、さくらなの?!

「ザーララさん、導くも何も、私はあなたに学ばなくてはなりません。あなたこそ、私を導いて下さい」

さくら、ザーララさんに弟子入りするのか。

「さくらはどうして、エルフの森で無くて、あの空間に『翔んで』来れたの?」

「私も血を辿ったのよ」


「ん!!!」

私の正面側に座る、エルフ王家の三人が固まった。正に凍り付いた様に、一瞬となるが、動きが止まった。

それと同時に私は凄い視線を感じた!そして初めて感じた、これが『圧』なのか。

振り返ったその先、エルフだ、女エルフが上階からの階段を降りてくる。

私が登った事の無い階段。

今ここにいる、エルフ王家の三人以外は立ち入らない場所。石と成った彼らの母が居るとされる場所。

私の視線を飛び越す様に、エルフ王家の三人が階段下に正しく飛んで行った!

「母様!」

声を上げたのは、女王ユーカナーサリー。その声は上ずり、狂気さえも感じる程に。

エルフ王家の三人は震えながらも立ちすくみ、母様と呼ばれた女エルフが階段を降りて来るのを見上げ、待っている。


リーザが私の横で、震えながら両の膝を着き、両手を前に組み祈る様に畏まっている。

「あああ、、、あの方です。私の命を救い繋ぎ頂いた者、、、感じます、分かります。ああ〜、何と言う事でしょう、、、あぁぁぁ」

私とさくらは席を立ったまま、この場の状況を理解しようと、、、いや、二人揃って混乱していた。



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