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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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サキュバスの夜 強襲

私とリーザが眠るセミダブルベット。

何時もの様に、リーザは私の左で横になる。

でも今夜は私を真ん中に、右側ではエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーが横になる。

何故に女王様も私達のベットに入られる?

セミダブルベットとは言え、流石に三人だと、狭い。

“サキュバス”と想像しちゃう相手からのアプローチを監視をして下さるとの事であったが、、、女王様、寝た?寝てるよなぁ。

リーザに振り向くと、口に指を一本当て、『シー』のポーズをした。

「トキヒコさん、ご安心を。ユーカナーサリーの結界が張り巡らされております」

女王様を起こさない様に、小声で話し掛けて来る。顔が近い!

私は頷く。

「何者かが来るならば、それが夢の中であろうと、ユーカナーサリーに届きますので」

顔が近い、変に興奮しちゃう。

再び頷く。

リーザの説明を受けると安心する。

女王様が隣にいるので(寝ちゃってる?が)小さいながらも沸き上がる興奮を抑えつつ、私はリーザと手を繋ぎ、なんとかそのまま眠る事にした。

女王様、やっぱ寝ちゃってるよなぁ。


朝が来た。朝、嫌い。

リーザと女王ユーカナーサリーは既にベットには居なかった。

私は一人、ベットから出るとキッチンへと向かった。

「おはようございます」

「おうトキヒコ殿、昨夜はどうじゃった?良く眠れたか」

ああ確かに、良く眠れた。何か久しく感じた事の無い、スッキリとした朝だ。

「お父さん、おはようございます」

「うん、おはよう」

さくらも朝食を食べ出している。

私は平日は朝食を採らないので、インスタントコーヒーを入れる。

インスタントだけど粉は多めで濃く、でも砂糖もミルクも多めなんだけどね。

昨夜は結局変な(エッチな)夢は見なかったし、どうやら何者からの干渉も無ければ実体を現す事も無かったそうだ。

相手にとっては私は獲物なんだけど、エサとなっている私に食い付いてくる獲物が現れなかったって事。

寝ずの番をしてくれたリーザと(多分寝てた)女王様のお陰で、久し振りにぐっすりと眠れた感じだ。

女王ユーカナーサリーは初のわがアパートでのお泊りだったが、そのまま寝ただけだったような気がしないでもないが(色々な結界を駆使して下さった様だが)。

「トキヒコ殿、夜釣りの釣果はボウズじゃ」

あー、良くぞそんな言い回し、ご存知ですね。


私は何時もの様に出勤して、何時もの時間を過ごす。

昨夜をゆっくりと寝られたお陰か、女王ユーカナーサリーの結界のお陰なのか、日中も突然の睡魔に襲われる事無く過ごせた。

不眠症だとか、過呼吸が原因の浅い眠りの繰り返しとかでも無さそうだ。

やはりここ最近のうとうとの原因は、いつの間にか何処の誰かに付けられた、魔術的な『糸』のせいなんだろう。

切ったる!と思っても、私見えない。結ばれてるのは、どこら辺なんだ?


その日も何とか無事に(無事の範囲の比較対象が怪しいが)業務を終え、帰宅の徒に着く。

駅に着き、何時もの様に駅前商店街を徒歩で抜けて行くが、既にほぼ全てと言える店店のシャッターは降りている。

何時もの事だ。

でも私が歩く先には、何時もと違う景色が在る。

何か居る。“サキュバス”と感じさせる者、直接現れたようだ。


誰が見ても、見た目は人間。東洋系の美人だ。

この暗がりの中、街灯だけで判断が出来る程に。

でも、エルフの里国に出入りしたり、少数であるがそれ以外の者達と出会って来た私なら分かる。

私を待つ様に立っている者は、この世界の人間では無い。

私の中で警鈴が鳴る。多分ユーカナーサリーが掛けて下さった結界の効力だろう。


「やっと会えたな、スルガ トキヒコ」

え~、やっぱ、いつも通りオレか。

「あ~、初めまして」

挨拶必要だったかな?でも、時間を稼げば、リーザとユーカナーサリーが来てくれる気がする。

「え~と、どちら様でしたっけ?日本語、お上手ですね。日本人でしたら、失礼しました」

自分で言っておきながら、何か間抜けだ。

「初めましてだ。私はイインジュ・ブュヤ・ギュオワン。ヘイイアンデユンズィギュオ国から来た」

え?ユーカナサリーに聞いた、淫なる者が集まる国の王様じゃんか!一番エロいのか!?

「エルフと交わりを持つ者。異と成る者と交るなれば、私もご相伴に預かっても良いだろ」

あ~『エルフと交わった者』って、前も聞いたなぁ~。あっちの世界の定番の挨拶文なのか?


「スルガトキヒコよ、エルフは来ぬぞ」

「えっ!?」

「今私がここを結界で囲った。合わせて『隠し』の術も掛けた。いくらエルフの里国の王と言えど、間近くに存在せねば、その効力も鈍かろうぞ」

そこら辺はお見通しか、ちょっとピンチ!


「それで、わざわざこんなイチ人間に対して、どうされたんですか?」

効力が鈍いって事は、ゼロでは無いって事だな。

「先程も申したであろう。ご相伴に預かるとな」

「いえ、すみません私、既婚者なんで」

やっぱ“サキュバス”。性的な要求をして来るのか。

そうなると、リーザに対して浮気者になっちゃうもんね。

「知らぬか。エルフは一夫多妻ぞ」

「ウソ!?」

エルフは一夫多妻制、、、そんな国は実際有るけど、何かそんな立場を聞いちゃうと、ワクワクしてしまう自分がいやらしい。

もしかして?だからエルフの女王ユーカナーサリーが「リーザの次の伴侶ぞ」と言う事に対して、仕える王の言とは別に、リーザは拒否や反論をしないのか?

「エルフはな、数が増えん。逆に減り行くのかも知れぬ。何が因としているか分らぬ。あれらの肉体、体躯、体質、精神、性、、、他の生命体と見劣らね。だがしかし、何かしらの因を持つのだろうぞ」

因、、、原因か。エルフはその前者となるヒトから『調整された者』。でも、調整って、恐怖を克服する為に感情を抑えられた者だって聞いた。

肉体の調整(改造か?)が行われたとは聞いて無いけど、、、大昔の事だそうだから、実際はどうなんだろう?

「そんなエルフは多妻でなくてはな。複数同時の時もあれば伴侶を変えて行く時も有る。雄たる者は多くの種を蒔かねば成るまい。種は蒔かねば芽は出ぬぞ」

でも、倫理観とかさぁ。

「人間的な他者や世間、体裁や倫理を重視した結果、種が絶えてしまったなどと言う、愚かな話しを聞いた試しが無いぞ」

う~ん、そこまで言われちゃうと、一理有る。

「よって、お前が私と何らかの関係を持とうが、咎められることわりは無い」

でもなぁ~。


「それにしても、この場、この世は欲望が溢れているな。標的とならざる者の数が多い事よ」

標的って。まあ、私があなたから皆さんを守る義務は在りませんが。

「では、標的チェンジして下さい」

「それは、出来ね」

「へっ?何で?」

「我らにも、使用が有る。」

使用って、、、何?

「対象を繋ぎ観察を行い、いざ標的とした者を逃すなど、我ら一族には許されぬ、汚名を受けるがのみ残される事ぞ」

そんなん、そっちの都合じゃんか。

「その汚名、私は関係無いんですけど」

「何を言う。私と繋がった段階で関係者だ」

「糸で?」

「そう、お前が糸と申すが、正式たる魔力経緯線である。歴とした申し入れ為る」

「いや、そう言われても見えませんし、その糸」

「見えぬと申すのか!」

「はい、それってどこら辺に繋がっているのです?」

ちょっと“サキュバス”顔色が曇る。


「ならば、ならばお前はここで私と出会った。これはどう説明を行おうぞ」

「いや、元々待ち伏せされてましたし。普通に街を歩いていても男女はすれ違いますし、電車に乗って座った隣が異性だったり、特別な出来事では無いので」

「そこまでの事態が発生する事など無かろうぞ!偶然では済まされぬ事だろう。印を付け辿り、アプローチも重要。互いの存在を徐々に知り得、互いに理解を深める。その後の出会い。このプロセス無き事は、それこそ運命以外に無らず事だ!」

はぁ、何だそれ。それってペンフレンド。文通から始める恋物語だよ。今時、いつの時代の話しだよ。

淫乱の“サキュバス”で無くて、変な所が積極的な、超超超夢見る乙女か?!

美女サキュバス王、顔が赤くなってないか?

「ええい!つべこべ言うな!スルガトキヒコ、手を広げろ!」

「あっ」

咄嗟に反応しちゃった。

美女サキュバス王のイインジュ・ブュヤ・ギュオワンは、私が広げた手に『恋人握り』の如く指を互いに入れ、手を握った。

「行くぞ!」

えっ?

「はわあぁぁぁ〜」

私は飛んだ。





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