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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフの女王の魔力講座

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、私がエルフ世界を教わる先生である。

 女王様は何時も御指南して下さる。

 私、全く向こうの世界を知らないから。

 まあ、女王様としては、出来の悪い生徒を持っちゃったと気の毒だけど。


「え~ユーカナーサリー先生、今更感がすごいんですが、そもそも『術』って何なのか、『魔力』との違いを教えて頂きたく思います。ついでに私も魔力なのか魔法、持てますでしょうか?」

 『魔力』はエルフ達が元々その身に持つ能力として、生活や行動の補助的なモノだとは聞かされているけど、実際はどんなモノなんだろう?

 エルフの里国を含めたあちらの世界は、その素となるべき魔力が充満しているらしいのだが。

 向こうの世界に充満する“魔力”はエルフ達の行使する『術』に繋がり、エルフ王家の者は実際に魔力を内に持つそうだ。

 “魔力”と『術』の線引きが分からないのだけど、どうやら“魔力”を行使して『術』を行う、、、“力”を込めてボールを『投げる』と、置き換えればいいみたいなんだけど、、、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに指南を受けたが、やっぱ良く分からん。


「まあトキヒコ殿、人間の皆達は“魔力”を持たぬな。こちらの世界での考え方としては、‟超能力”と表現されようか、効果や能力的な概念は近きモノとなるかのぉ。じゃが、事実としての“超能力”如何也?」

 いや、有りません。

「何か、それっぽい特殊能力を持つ者はいそうですが、事実となりますと、、、」

 “超能力”かぁ~、物を動かしたり、透視したり、テレパシーを送ったり、、、凄い能力!実際に有るのか無いのか不明だし、私は“超能力”持ってませんし使えません。合わせて私は『術』も使えなければ“魔力”も持って無いし。

 『超能力』って知名度は高いけど、実際に在るのかは実に怪しい。

 あくまでも、マンガやアニメ、映画にゲーム、小説世界で創られる空想の産物なんだろうなぁ~。人間の願望なのであろう。

 だからエルフ達、ちょっとズルい。

 『第六感』は特殊能力!?、、、また別か。


 ただ向こうの世界、エルフ達は『術』は日常的に使われていて、歩いたり、喋ったり、それこそ息をする事と変わらないぐらいに、自然と行われている、みたい。

 そう、手足を動かすのと同じぐらいに、自然と『術』は繰り出されている。

 私が『術』を繰り出しているエルフを見れば、違和感というか珍しい行い、自分(魔力を持たず術の行えない人間)との違いを感じるんだろうけど、日常的に自然と“魔力”なり『術』を行使するエルフ達は何も感じないののだろう。それが彼らの日常だから。

 彼らの日常(魔力や術が使われている時)は、どちらにせよ、やはり私からすれば魔法か超能力なんだけど。

 エルフの里国、、、これは里国内かどこか近くに『魔法使いの国』か地域か里が在るんだろうな。

 いずれにせよ、人間社会では空想の物語になっちゃうな。


「トキヒコ殿、我らの世界に在る“魔力”とはの、見えざる、形無き魔力の素より形作られる。其は“ルイラー”と呼び、我らの世界に漂い満ちておる。空気といっしょじゃ。空気を吸い、酸素が身体を走る。それは細胞活動に繋がる。空気と同様に体内へと吸収され様ルイラーも身体を走り、魔力となる体内回路を経由する。そこで蓄え魔力は満たされよう。」

 体内回路で蓄える、、、どっかに『魔力回路』って言う臓器でも有るのかな?


「私達人間はその“体内回路”を持たないと言う事ですね」

「然り。我ら魔力を持つ者は、ルイラーを大気から取り込み、体内にて凝縮して魔力とする。空気を呼吸するのと同じく、それがそのまま体内に留まる仕組みじゃな。」

 う~ん?

「個々が持つ、蓄える魔力の量・大きさには差異が生じる。それは体躯なり精神力なり個々により差異は生じるがの。」

 身体の大きな者が、、、いや、膨大な魔力を持つと言われる、女王ユーカナーサリーは失礼ながらエルフの中でなくとも、私から見ても、小柄だ。

「じゃがの、トキヒコ殿の居る世界でも、魔力の素であるルイラーは存在するぞ。」

「そうなんですか。でしたら私も行く行くは魔法使いになれます?」

「どうじゃろう。素体が違うからのう。」

 病院でも保健体育の授業でも、私の体内に『魔力回路』って言う臓器が有るなんて聞いた事無いからな。


「それとじゃな、この辺り、トキヒコ殿の暮らす世にはルイラーは少ない。だが、それなりの数成る木々や生在る者達が起こす流れの有る場なれば、ルイラーもそれなりに得よう事と成るやもな。」

 ルイラーは自然が作り出すのかな。だとしたら、開発された土地や街中ではその量も少ないのか。

 大昔だったら、この世界にもルイラーが溢れていて、『術』や魔法を使えたご先祖様がいたのかな。仙人とかな。

 だからリーザは、森林とか自然を多く感じる場所に行くと、元気が増すイメージが有るのか。


「しかしトキヒコ殿、貴公は術を使えねば魔力もその回路も持たぬ。じゃが、何故にこうもルイラーを纏うのじゃ?」

「え、纏う?ルイラー、魔力の素をですか」

 見えないし、何も感じません。

「然り。ルイラーを目視で追う事はまま成らん。だがの、貴公の側にて居るだけで、魔力が溢れる如く我が身にて廻る。これはリーザとして同じであろう。不可思議な事ぞ。」

 はあ。

「人間がその様な特性を持つ者とも思えん。我は戸惑いを抱く程ぞ。」

 お~、私って便利?でも、自分が使えなきゃな。


 ここからが本題でもある。

「女王様、さくらの魔力回路は、、、」

「有る。それも膨大なモノ。我の想像を満たさし切れぬ程のな。」

「それって、女王様を超える、、、」

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、膨大な魔力をお持ちと聞く。まあ、その膨大さが東京ドーム何個分とかであったとしても、よく分からないけどね。


「今はの『枷』により抑えが入っているが、その回路を停める事は無理じゃ。」

「もっと強力な『枷』を掛けたとしても、停められませんか?」

 さくらが持つ『魔力』は、暴走気味であるが数度発動している。

 それは必然だったのか、ただの偶然だったのか、いずれにせよ暴走気味に発動したのがエルフの里国であった事は幸いである。

 さくらは『枷』により力を抑えられている為に、『術』も『魔力』も自身の内に秘めている事に自覚が無い。

 使い方を教わってもいないので、今現在はコントロールは出来ないであろう。


「トキヒコ殿、先に説明した通り、魔力成れを廻し『術』の行使は呼吸と同じじゃ。呼吸を止めれるか?否じゃ」

 いつの日か、5年先なのか、10年先なのか、さくらに掛けて頂いている『枷』を外す日が来る。

 まあ、二十歳か大学を卒業するような歳までは、今の人間社会で暮らしているだろう。だからその頃でいいだろう。

 あれ?さくら今、中学2年生だから、もう10年を切るぞ!早っ!そんなに先の事でなくなってる!


 さくらの『枷』を外し、女王ユーカナーサリーの持つ魔力を超えるかも知れない力を解放した時、、、何が起こるのか私では想像も着かない。

 果たしてさくらは、肉体的に精神的にも耐える事が出来るのか。予想も付かない何かの変化に対面した時、さくらはどうする?どうなる?

 その時、私はさくらを支える為の準備は、何が出来る?

 悲しいかな、実際には何も出来ない事を単なる人間である私の意識、肉体が自分に返事をしている。

 でも、心と思いは持てるはずだ。たったそれだけ、、、だけど親としての思いが有る。親は子供に命を掛けてもいい。

 オレの命と交換でいいのであれば、安いもんだ。

 今のところ、不安と心配しか持てないのが現実。

 でも、迎えるべきその日は、やって来る。


「ただいま〜」

「おうよ、さくら戻ったか」

「女王様、ストロベリー味のアイスを私が選びました!」

「良い良い、さくらは良い」

買い物に行っていた、リーザとさくらが帰って来た。

女王ユーカナーサリー先生の『術』と『魔力』の講座は、魔力の素『ルイラー』が在る、で止まってしまった。

結局今の所、『術』も『魔力』もやっぱ良く分からん。

ただ、何故か私は多くのルイラーを纏っていると。

よし!

私は自分の周りの空気をパタパタと集め、深呼吸を繰り返す。

「お父さん、何やってんの?」

「いや」

ルイラーを多目に吸ってみました。

、、、吸ってみましたが、何も無し。

魔法使いへの道のりは遠い、、、のか?




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