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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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131/296

エルフの里国の東門 迷わせの森

『迷わせの森』と呼ばれる入り口(多分)に立つ。

先程のけもの道だかわだちは、森の奥へと続いている。

この道の先は、何処に繋がっているのだろうか?何処か隣国となる所まで、続いているのかなぁ。

「ではトキヒコ殿、この先はお二人でお進み下さい」

「ええ?ピラウロウは?」

「私はこの場で待ちまする」

頼もしいお伴が、一人減る?

「ええ、何で?」

「先ずはお試しを」

試す?

「トキヒコさん、進みましょう」

まあ、リーザが一緒だから、心配は無いんたけどね。


リーザと共に轍に沿って、森へと足を踏み入れる。

空気が少し冷んやりとする。

「リーザ、『迷わせの森』には何度か来たの?」

「いえトキヒコさん、私も初めてです。ですので興味深いです」

ええー!まあ、ピラウロウは『術』を使えば迷わないような事を言っていたけど。

「リーザ、何が『迷わせの森』って言われる理由か知ってる?」

迷ってしまったら、どうなるんだろう。

「トキヒコさん、私もその呼ばれ名を聞き及ぶまでで留まってます。危険は無き場とも聞いてます。ですが何が迷わせるのか、どうして迷いと呼ばれるかのその理由については、聞き及んでおりません。ですので探索ですね。興味深いです」

あーリーザ、色々と観察とか追求が好きだからな。

「それで、この森を抜ければ、どこかの国なり地域に繋がってて、そこで暮らす生き物とか住民に会えるのかな?」

エルフの里国には、そこで暮らすエルフ以外にも外部からの来訪者が来ると聞いている(エルフの里国内で会った事が無いけど)。

「トキヒコさん、私は我らの里国の外の世界を知りません。これは我らエルフの殆どの者がそうなります」

「え、エルフの皆は里国の外、国外には出ないの」

国外旅行とか。

「はい、基本そうなります」

へぇ~、まあ日本でも昔は一般人で海外旅行する人なんて居なかったし、鎖国なんかもしてたし、そもそも国外の情報、下手したら存在も知らなかった、意識すら持って無かったかも。一部のお偉方さんや特権階級者を除いて。

「でもですねトキヒコさん、私はエルフの里国の外に行ってますよ」

「ああ、そうか」

そう、リーザは私の社会、私の暮らす世界へとやって来た。


さっきはピラウロウが居たから、恥ずかしさから少し遠慮したけど、リーザと手を繋ぐ事にした。

そして森をしばらく進んだ。

木々の密度は増し、うっそうとして来た。

周囲も光を遮り出し、暗がりとなる。

「リーザ、何処まで進もうか?」

このまま、先を進んだら、隣国にでも行けるのかなぁ。

「隣国なり、誰か知らない者が生活している地域に入っちゃうのかな?」

隣国、、、何が有る?どんな民が暮らす?がぜん興味が爆発!


そんなことを思っていたら、ピラウロウが目の前に居る。

あれ?

「トキヒコ殿、ご無事でお帰りなさいませ」

あれ?

「リーザ、戻っちゃ、、、わっ!」

私の右手は太く手の形をした、緑の木の枝を握っている。

あれ?

「リーザ?」

リーザの姿は無い。

その代わり私が握って居る木の枝は、よくよく見ると人型とも取れる姿をしており、地面と根が繋がっている分けでも無い。

そして単独でゆらゆらと動いている。

「トキヒコ殿、やられましたな。この者が『迷わせの森』の正体であり申す」


「私達は化の者ドロワジュワドロッゾと呼ばれます者。何と言いましょう、妖怪的な樹木、、、『木妖樹』と呼びまするか」

化かされた?木妖樹?

「会話を行ったり、意識を読み取る事は叶いません。ですが見たまま、何やら意志を持つ者達。森や林と呼ばれん樹木の類いとは異なるモノ。森が森で無くする為の存在です」

見た目は植物と動物の中間?

まあ、こちらの世界に来たのなら、私の持つ常識はふっ飛ばさないといけない、、、って分かってるつもりだけど、驚くわ!

樹木と言うよりは、大きな植物。観葉植物のゴムの木とか、でっかく太く育った何かの雑草の様に、全身緑色でしなりも有る。

「そして、その姿や行動より、少し意味嫌われる立場の者でもありまする」

確かに見た目、気持ち悪い。

そして、ゆらゆらと揺れて、笑っているように見える。

でも今は、その姿を見ると、腹立つ。

「それよりも、リーザは!?」

「トキヒコ殿、時期に現れるでしょう」

いや、さっきまで私が一緒に居たのに、手も繋いで、、、心配だ。それに木妖樹、腹立つ。何かバカにされてるみたい!


「ピラウロウ、火鉱石有る?」

「如何いたした」

「リーザが戻らない、心配だ。この『迷わせの森』を焼き払う!そうすれば、もう誰も迷わない!」

腹立つし。

いままでゆらゆらと揺れていた、木妖樹が一転してブルブルと震え上がる!

「トキヒコ殿、短絡的過ぎまする」

ピラウロウ、困り顔。

「でも!、、、そうだ、焼き払った後は農作用の畑にしよう!」


野焼きは古来より行われている、農業の習慣的な手法だった。

でも今は、空気汚染や山火事の原因となったり、環境面から禁止されているし、実際に生態系に害を及ぼしたり大気汚染の原因だ。

焼畑も同類の害がある。

世界的な規模で見れば、酸性の土壌の性質から野焼きや焼畑を行う事により、灰が中和剤となり酸性の土壌から作物の栽培に適する肥料となったりして土質が変わり、土壌が改良される場合も有る。

それと、雑草の除草のコストを省くことができるが、湿潤熱帯という地域に限られる様だ。


また焼き畑等は、農地の開墾手段として低コストである。途上国の貧しい農民によって行われていても、現代社会では先進国の環境問題がそれを良しとしない。大気汚染の原因となるからだ。

それが国際問題となっても、根絶には至っていないのが現状。

私も大気汚染の点からは、眉をひそめてしまうが、そもそも自然環境における苦情は先進国の都合だ。

豊かな先進国は自分達の都合を基準にしいる。散々地球を汚して来た自分達を棚に上げて。


あー、この森には今は入りたく無いが、ちょっとこのけもの道を逸れた部分に移動して、あちこちから森を覗き込む。

でも、ピラウロウの姿が見える範囲で。弱腰だ。

「リーザ!」

森に向かって呼び掛けてみる。


「トキヒコさん!ご無事でしたか!」

程なくして、リーザが入り口に戻って来た。

でも、さっきと別の木妖樹を10本(10体?)程左右に抱えている。

木妖樹を狩って来た?大漁?

「トキヒコさん、申し訳ございません。私がご一緒したにも関わらず、この様な失態を。お許し下さい」

「いや、危険が無いって聞いていたし。いま思えば、ピラウロウの態度が何か余裕をかましてたからなぁ」

ピラウロウにやられたか。

「『右に立つ者』火鉱石を!この森を焼き払います!」

リーザが抱える木妖樹達がブルブルと暴れだす。

「『越える者』よ、それは短絡的であり、直情過ぎまする。賛同は致しかねまする」

あ、リーザ私と同じ事を、、、人間の(私の?)悪しき影響が!

「トキヒコ殿、人間は激情で過剰なる生き物か?」

「ピラウロウ、申し訳ない。半分本気で半分冗談なんだ」

「冗談?」

「そう。悔しかったり、憎らしい時に悪態をつく。それが憂さ晴らしとなって、気分を落ち着かせる行為なんだ。一部の人間が持つ感情のコントロール方法なんだけど、謝ります」

「いえトキヒコ殿、ご説明恐縮です。憂さを晴らす、必要な事と理解できます。しかしながら『越える者』は貴殿の影響を受けてまする」

はい、合わせてスンマセン。


リーザが抱える木妖樹を降ろすと、木妖樹達は(私と手を繋いでここまで来た者も)、集まりひと塊になった。

実はピラウロウに解説(タネ明かし)されて、何も手に持たず、手ぶらだったのがいけなかったそうだ。

『迷わせの森』の中で、何かを掴んだりすると、それが『木妖樹』を掴んでしまう事になると。

確かにリーザと手を繋いだ(と思った)時から、リーザの返事が無かったような、、、。

荷物を持ち直す時は、特に注意が必要だと。

だから『木妖樹』に対するだけだったら、『術』は要らなかったそうだ。

ちぇっ、ピラウロウにやられた。

それか、『迷わせの森』の先には行かせたく無かったのか?

まあ、実際そんな準備も時間も無かったけどね。さくらが待ってるだろうし。


「う~ん、こいつらどうしよう。知っていれば害は無いと思うけど、初めて遭遇した者は驚き慌てて逃げ出したり、転んで怪我でもするかも」

「焼きますか」

リーザがウィンクして来た。

「木妖樹、集合。説教だ!」

伝わったみたい。木妖樹達は震えながら集まった。

さっき『焼く』と言った事に反応してたから、私の言葉は伝わってるみたいだ、、、驚き!

「う~んと、木妖樹達さあ、この森を通行する者の道案内とか、安全の確保とか出来ない?」

木妖樹達の震えが修まって行く。

「そうするとさ、多分皆に好かれると思う」

少し意味嫌われ者、、、まあ動きと、外観もな。

「好かれるとさ、今度は皆が守ってくれる様になると思う」


「困った時はさ、エルフの里国に逃げ込めばいい。それにあっちに有る門まで行けば、この頼れる戦士『右に立つ者』がいる。なっ、ピラウロウ!」

ピラウロウに振ったが、表情が読めない。

「私は東門を守る者。我らの里は悪しきモノで無ければ拒みはしません。我が王の意に反せなければ問題となりませぬ」


エルフの里国の外に出て、東門からの探索はここまでだ。東門でさくらが待っている。

でも、次に来る時には『迷わせの森』を抜け、もっと向こう、隣国になるのか何が有るのか知りたい。

その時は木妖樹達は道案内してくれるのかなぁ。期待はしたい。

東門に向かい歩き出す。

振り返ると、木妖樹達が揺れている。

変なヤツら!でも、何か憎めない。

ピラウロウは「少し意味嫌われる者」と言ってたけど、私からすれば「珍しい(変な)生き物」。

こちらの世界、エルフの里国に自分の常識は持って来ちゃいけない事を再認識させられた思い。これは一つの収穫だ。

いやいや、もっと収穫は多いぞ。

エルフの里国と違う国なりエルフ達とは違う民達が暮らす世界が有る事を意識付けされた。

何と言っても『右に立つ者』大戦士ピラウロウと知り合えた。

ちょっと、カマされた気分では有るが。ちぇっ、貸しとこう。


「ピラウロウ、また来てもいいかな?でも次に来た時は、『迷わせの森』の向こうへ行きたい。お伴は要らないけど」

「トキヒコさん、私はお伴させて下さい」

危険が有るなら、リーザとさくらは連れて行きたく無いけど。

「うんリーザ、いつの時か行こう」

「トキヒコ殿、私はお伴させて頂きます。あなたの直情性は危険です。護りの者が入り要である、と存じました故」

嬉しい事を言ってくれる。

「でも、女王様の許しを貰わなくっちゃな」

さあ、戻ろう。エルフの東門へ。




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