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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフの里国の東門

エルフの里国はその国土と呼ぶ地域を囲むように結界が張られている。

それは大昔(太古って言っていいのか?)から存在し、外敵から身を守る為、とにかく大昔から有るそうだ。

物理的に遮断する結界は高さ5メートル程まで届き、悪しき『術』の流れも遮断する、そうだ。

この『結界』は、遠目で見ると薄ピンクの霧の様なモヤなんだが、近くに居ると分かり難い。

合わせて、現王で有られる女王ユーカナーサリーの結界が、監視レーダーのごとく里国を覆っている。そうだ。

そうらしい、、、だって私は見えないもん。


そして、エルフの里国を出入りするには、東、西、南の門をくぐる事となる。

北に門が無いのは、険しい山岳地帯の為、自然の城壁相当になっているからだと説明を受けた。

ただエルフの里国、どんだけの大きさなのか知らない。

北海道ぐらいなのか、オーストラリア、はたまたユーラシア大陸ぐらいあるのか。


そして私は今、東門の前に立つ。

東門の形状はアーチ型の立派な石造りであるが、門と言っても扉は無い。

オープン状態のアッパッパーであり、基本誰でも自由に出入り出来る。

通行手形も検問も無い。

但し、エルフの里国に悪しき何かを持ち込もうとすると(思考も)何か引っ掛かるそうだ。

力や物理的に侵入を掛ける者は、エルフの門番達と対峙する事となる。

女王ユーカナーサリーに聞く所の、東門であった今まで一番の危機は、鹿と豚を合わせたような三本の角を持つ獣の類い『シュイジェレン』の100頭程の群が追い立てられるように門外から迫った。

『術』で押し止める事も出来たそうだけど、彼等に悪意は無いので、門を素通しさせた。

でも門は、突進してきたシュイジェレン達の体がぶつかり、部分的に破損してしまった。事ぐらい。

ただ、エルフの里国としては、食糧が向こうからやって来たと歓迎されたそうだ。

そんな感じで、エルフの里国の外も平和でありそうだ。


「女王様、ユーカナーサリー、エルフの里国の外には、出ても良いものなのですか?」

私達はエルフの王宮に有る、王の私室にリーザとさくらと三人して遊びに来ていた。

「構わねぞ。トキヒコ殿の探求心成るか。今し方、向かうとするか」

探求心だなんて、、、単なる興味本位でしかありません。

女王様の魔力を行使して頂き、リーザ、さくらと三人揃って『渡って』東門へと到着した。

女王様の魔力、便利だ。

エルフタクシーとかエルフバスとかエルフ電車、エルフ飛行機とかにすれば儲かるぞ!一人労働者だとブラックな労働環境か。そもそも、エルフの里国には貨幣文化が無いんだった。


突然の王の訪問にピラウロウを初め、東門にいるエルフ達の皆は面食らってる。

エルフの皆は慌てて片膝を着き、畏まる。

「『右に立つ者』すまぬな、ちと邪魔をするぞ」

女王ユーカナーサリーはエルフ達の前でも、自然体だ。

「我が王よ、ご訪問嬉しい限りの事」

ピラウロウは堅い。

「『右に立つ者』よ、済まぬがトキヒコ殿を東門の外へ出して貰えぬか」

「はい」

ピラウロウは静かに返事をする。

が、エルフ語なので分からない。


東門には、エルフの大戦士と呼ばれる『右に立つ者』(王を守る為に、その右側に立つ者)ピラウロウを筆頭に複数のエルフが生活している。

『大戦士』と言っても、戦争で名を馳せたとか、武闘会で優勝したとか、実際に相手を傷付けたり、ましてや殺傷を前提にした戦闘をこなして来た訳では無い。

エルフにも戦いの記憶は有るそうなのだが、それはいにしえと呼ばれる程の大昔。それこそ国を囲む結界が創られたような時代の事。

それでも『大戦士』と呼ばれる者は強い。

武と術の鍛練を日々行い、有事や不測の事態に備え、エルフ同士での模擬戦と呼ばれる訓練では負けない。

『王の側にて護り立つ者』としての技量と気概を持つ。


そんな大戦士の一人である『右に立つ者』ピラウロウが守護する東門から、私はエルフの里国の外に出ようと思っている。

何故エルフの里国の外に出る?

そこには興味本位しか無い。

地図の無い世界。エルフの里国の外は、どうなってる?

まあ、エルフの里国の地図も無いんだけど。

別段女王ユーカナーサリーもダメって言ってないしな。

ただ、ピラウロウに少し同行させるように女王様から言葉を頂いた。

ピラウロウは、デカイ。筋骨粒々で2メートルぐらいある。

見上げると、精悍な顔立ち。

逞しく、武骨、頼れる戦士って感じ。

こんな強そうな(実際強い)お伴を連れて行く門の外には何が有る?どうなってる?何か危険か?やはり興味がそそられる。


「え~『右に立つ者』本日はお願いします。私の勝手で申し訳ございません」

私は日本語だ。

リーザが間に立ってくれているが、上手く伝わったのか不明。

怒って無いか?

表情が変わらない。エルフは感情を余り表に出さないから。

ただ、『右に立つ者』ピラウロウは、私の意識を読み取ってくれたみたいだ。

「はい、門外のご案内を執り行わせて頂く次第です」

日本語での返事!感激!でも何か、堅い。

「リーザ、『右に立つ者』って凄く真面目なエルフ?それと、呼称で呼ぶのがちょっと抵抗が有る。敬う気持ちは有るけど言い難い。名前か呼び名か何か声を掛けるのに失礼の無いのがないか、聞いてもらえないかなぁ?」

リーザが声を掛ける間も無く

「トキヒコ殿、『ピラウロウ』とお呼び下さい」

おー早速私の言葉を理解しちゃたか。あー、ありがとう。

「ありがとう。でもさ、私に“殿”は要らないよ」

「分かりましたトキヒコ殿。しかし、我が王が貴殿の事を『トキヒコ殿』と呼ばれます際に、私が敬称を略す事などもっての他」

ふぅ~ん。じゃあ女王様にも“殿”は不要と言っておかなくっちゃな。

私はピラウロウに握手の手を差し出した。

ピラウロウは戸惑った。エルフは握手の習慣が無いから。

私はピラウロウの右手を取り、

「これは握手と言って、挨拶のひとつ。お互いが握り合う」

伝わったか?

「あがー!強い!強いよっ!」

ふーふー、大戦士バカチカラ!

「軽く、軽く、握り合う。じゃあ、もう一度。そうそう」


「ではピラウロウ、改めまして、本日はご同行をお願いします」

リーザは私と共に門外へ出る。

さくらは女王様と東門で留守番なんだが、どうやら東門の建物内にも面白そうなモノが多くあるそうだ。

「それでピラウロウ、東門の外に出るのに注意する事はあります?」

「この門を出まして暫く進み、森林地帯と成ります」

「森、木々が生い茂る?」

「はい。ですがただの森と呼ぶには、些か誤りとなりまする」

森と言うには森が誤りって?

「リーザ、何?」

「はい、この先に広がる森林地帯は『迷わせの森』と呼ばれます」

「迷わせの森!?じゃあさ、迷ったら森から出られないとか?」

「トキヒコ殿、『術』なれば支障ございません」

いや、私『術』なんて使えないし。

「トキヒコさん、ですので私が同行いたします」

『迷わせの森』と聞くだけで、ちょっと怖い。

でも「迷うかよ、そんなのっ!」って強気の自分も居る。それはリーザとピラウロウが一緒だからなんだけどね。

いずれにせよ、楽しみでしかない。

「よし、出発!」

特に旅行とかキャンプとかの備えをしている分けでも無いので、ちょっとお試し、散歩のレベルで。


東門を潜り、エルフの里国の外に踏み出す。

別に空気が変わったりしない。

エルフの里国の東門を潜り、景色的に延長されただけ。

少し小高い丘に向かうように草原地帯を進む。

荷台が通った跡か、けもの道のように道跡は、振り返るとエルフの東門に続いている。

それは外部からの訪問者の存在を示す物。

でも、エルフの里国内で、エルフ以外の者を見た事、出会った事は、まだ無いなぁ。

2~300メートル有るか無いかの先に、うっそうとする森は見える。

『迷わせの森』、行っちゃいましょう!



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