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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフの里国の王への謁見 オマケ

気付いたら、別の部屋に移動していた。

リーザが『王の私室』と教えくれた。


どうやら先程、女王様にアジサイをお渡しした後、女王様の異変を察知したリーザが、力ずくで二人を抱えこの部屋に飛び込んだそうだ。

いわゆる『光の速さ』ってやつで。


その女王様は?

「アワワわわわ」


大きなソファーの先にちょこんと座り、白色のアジサイの花束を真っ直ぐに目の前に立てた状態で、小刻みに体を震わしている。


「リーザ?誤解しないで、アジサイの花言葉、本当に知らなかったんだ」

「正直驚きましたが、トキヒコさんが嘘を言っていない事も分かります」

「それと女王が『花言葉』まで学んでいた事にも驚かされましたが」

そこは流石『花の王』と呼ばれるだけ有るのか。


しかしこの状態、どうしたものかな?

「リーザ!リーザ!見たか!見たか!我もコクられたぞ!」


女王は突然立ち上がると、リーザに積め寄った。

いや女王様、コクられたって。


「カー、これは参るのぉ」


「何故だか解らんが身が震えておるぞ」


女王様はコクられた、、、異性から言い寄られた事が無かったのか。


「少し、、、困りましたね」

ね、どうしたもんだか。


女王様は白いアジサイの花束を掲げ、ゆらゆらと踊り出しそうだ。

あっ、なんか踊り出した。


「リーザ、この部屋に入ってから、女王様の言動と態度が聞かされてるエルフのイメージとは程遠いんだけど」

と小声で話す。


「我が王、ユーカナーサリーは特別です」

リーザは毅然とキリリッと言った。


「でもですね、そこは王として身を置く者、決して人前で乱れる事は有りません」

再びキリリッ。


「今の状態は?」

「特別です」

キリリッ



「王よ、女王よ」

たまらずリーザが声を掛ける。

が、女王様の耳には届いていないようだ。


「ユーカナーサリー、ユーカナーサリー」

リーザは声を荒げる事はしない。

ユーカナーサリーって?


「ん?どうかしたか、リーザよ」

今度は女王様は気に留めたようだ。


「少し落ち着いて下さい」

「ん?我は落ち着いておるぞ。ただ動悸がじゃな、少しするわ」

どうやら女王様は、今まで得た事の無い感情が自身の内で起こっているみたいだ。

「なんかこー、落ち着かんというか不思議な気分じゃ」


「この喜び、嬉しさは、母様から頂いたモノともまた別じゃ」


『母様』と言った時、女王様の顔が少しだけ陰った気がした。


「しかしだな」

女王様は少し落ち着いて下さったようだ。


「これが『愛の告白』というものか。なかなかにな、なかなかに良いな、良いぞ」

女王の興奮は収まっていないようだ。

『愛の告白』って、、、。


「いくら女王が相手でも、トキヒコさんはダメです。私たちは伴侶としてこの先を進む事を決めました!」

「女王様、申し訳ございません。私の不勉強、無知さから有らぬ誤解を生じさせてしまいました。申し訳ございません」

女王はつまらなそうな顔になった。


「分かっておる、分かっておるからこそ、嬉しさと合わせ焦燥感というかだな、変な気分なんじゃよ」




「リーザよ、お前は如何にして愛を告げられたのじゃ」

リーザはトキヒコの顔を伺った。


トキヒコは頷いて答える。


「はい、女王。私はトキヒコさんより言葉を頂きました」

「おお」


「言葉で私に対する思いと結婚の申し込みを頂きました」

「おお、それはそれは!どうじゃった?」

「嬉しかったです。嬉しくって飛び上がりました!」

リーザがモジモジする。


「思わず嬉しさの余り飛び上がったのですが」

リーザ、モジモジ

「ふむ」

「トキヒコさんの暮らす、アパートと言うのですが、そのお部屋の天井を突き破ってしまいました」

リーザは自分の取った行動の結果を恥じ、両手で顔を覆ってしまった。




女王は並んで自身の面前に立つ、二人に向き直った。

「我は心から二人の事を祝福するぞ」

二人は深々と揃って頭を下げた。


「ありがとうございます」

私の体が震える。武者震い?

ああ、そうか、、、誰かにこの結婚を報告した事も、祝福を受けたのも初めてだ。

ああ、ああ、ああ、ただただただ、、、嬉しい。


トキヒコは結婚を実感すると、自然と目から涙が溢れ出した。


「ありがとうございます」

改めて女王にお礼を言った。


「トキヒコさん?」

トキヒコの異変に気づいたリーザが横から顔を覗き込んで来た。

「どうされたんですか?どこか痛みますか?」

「リーザ、、、」

「リーザも、ありがとう」

「はい」

トキヒコは満たされている。


「トキヒコ殿分かっておるな、リーザは我の一等ぞ」

え?一等って?


「我の一等を娶るならば、それ相当の覚悟が必要じゃぞ」

いや、さっき祝福して下さったじゃんか、覚悟って、、、ゴクリ。

「トキヒコ殿、貴公に命ずるぞ」

王様の命令は絶対か?私はエルフ族では有りませんが。半分そうなるのかな?


何か怖い。

「申すぞ」

ゴクリ。

「貴公の愛を全てリーザに注げよ、我からの唯一最大の命令じゃ!」

女王様は聡明で本当にお優しい。

ありがとうございます。


「よし。我は決めたぞ」

何をお決めになられた?

「我はリーザの次にトキヒコ殿の伴侶となるぞ!」

いや女王様、おっしゃる意味が分かりませんが。



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