エルフ湯 女王様のサウナ体験
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの指示(我儘)で、エルフの里国に日本的な大衆浴場が出来上がった。
女王は『エルフ湯』と名付けた。
先ずは大浴場。
薄い黄緑色の薬湯を湛える大浴槽に、恐る恐る足先を入れる。
何時も入るエルフの風呂の手摺は無い。
直ぐに足が湯船の底に着き、少し安堵する。
ゆっくりと体を沈めると、お尻も直ぐに風呂底に着いた。
その場で足を伸ばし、湯船の縁に体を預け天井を見上げる。
「良い!良いぞ!」
女王様のお風呂の感想の第一声である。
リーザは女王の横に付き添っている。
女王から少し間隔を開け、他の女エルフ達も続いた。
続いて女王はサウナを体験する。
サウナ室にはリーザによって、サウナの利用法と注意事項の書かれたプレートが備え付けられている。
「越える者よ、此がそなたの申したサウナ風呂とな」
「はい我が王よ。是非お入りになりましょう。先立って、水をお摂り下さい」
リーザは女王に木製のコップに入れられた水を渡した。自身も一杯の水を摂った。
リーザは女王の手を引くようにサウナ室の扉を開ける。
もアァ~と熱っせられた空気が飛び出す。
「熱を持つ部屋となるのだな」
「はい、王よ」
サウナ室の中へと進み、女王を真ん中部分に座らせた。
「では失礼いたします」
リーザはサウナ室中央に有る熱鉱石に少し水を掛けた。
『バシュー!』
一気にサウナ室内が水蒸気で充たされ、サウナ室の温度が上がる。
「越える者よ、何ぞ?」
「はい『ロウリュ』と申します」
「『ロウリュ』とは、あちらの世界のフィンランド国にて行われるサウナ風呂の入浴方法となります。真似る事にて取り入れた次第です」
「熱鉱石をサウナストーンに見立てまして、水をかけ、水蒸気を発生させます。水蒸気がサウナ室内に充満し体感温度が上ります。これは、発汗作用を促す事となり、健康増進作用を高めます。合わせて、心地よいサウナを味わうことができます」
「言うが越える者よ、熱かろう」
「はい、これがサウナとなります」
ロウリュの方式で水蒸気を発生させると、サウナ室内に湿度が上がり体感温度が一気に高まる。
これにより発汗作用も高まり、新陳代謝の効果が得られる。
、、、そうだ。
「此がサウナなるか。熱いの」
「はい王よ、60ダーシー(60℃)となります」
サウナの温度は80~100℃近くが一般的のようだが、エルフの皆はサウナ初心者。トキヒコが温度の設定を決めた。
「しかしだな、何を好き好んでこの熱さの中に留まる?」
「王よ、ベンチを一段お下り下さい」
女王ユーカナーサリーは最上段のベンチから、真ん中のベンチへと移動した。
熱は上方に籠る為、リーザの配慮である。
「はい、トキヒコさんは我が王と同じ事を申されました。ですが、サウナの効用は血行促進に伴い、健康面、精神面、美容面の効用がございます」
「うむ、されば?」
「はい、先ずはこの熱さですが、血流がよくなり、体調が良くなります。それは血管が熱き空気により膨らみ、身体中に栄養が渡る事と繋がり、さすれば老廃物が洗い流されるという事に繋がります」
「うむ、全身の血流が促進される、多くの細胞の代謝が進むと言う事か」
「はい、続き精神的な面での良い効果が挙げられます。不安や緊張感に駆られ、動悸をされる者も居ます。精神面による諸事情にて全身がこわばり、それが筋肉により血管を圧迫します。血の巡りが高くなる事による動悸です。サウナの熱の効果にて、身体が温まり筋肉のこわばりがほどけ、血管を圧迫していた筋肉が緩まります。結果的に動悸等が一時的であったとしても身体的に開放されます」
「その効果、我らエルフに悩み無し、とも言い切れん」
「わが王よ、サウナの効果3つ目です。サウナは多くの利用を行うと肌ツヤが良くなるとも言われております。
これは、サウナに入りますれば血流が良くなり胃腸の働きも活発になろう事です。内部臓器〜胃腸の働きが良いと、食欲もあがり、食事が美味しく感じます。血流は栄養を届ける役目と老廃物を排出する役目より、食事で得た栄養を身体中に届け、不要なものを排出する行為となり、身体の内面からの美に繋がります」
「『美』成るか」
「はい、我が王よ!」
「越える者よ、語るではないか」
「はい、私もサウナ風呂を知り、気に入りました。我らが皆がサウナに慣れ親しむ事により、我が里国の活気が増すやも知れません。またそれによりこの室内温度も上がる事となりましょう」
「まだ熱くすると申すか!」
「はい、徐々にですね。将来的には100ダーシーまで上がるでしょう」
「100ダーシー!想像が付かぬ熱き部屋と成るか。う~む、王宮の我が湯殿にもサウナ風呂を備えるべきかのう」
「こうお話ししている内に、10パーシィが過ぎました。一度サウナ室を出ます」
「我が王よ、身体をお拭き下さい」
女王様はサウナの熱で汗だくだ。
「次は水風呂となります」
「水風呂とな?」
「はい。2パーシィ程水風呂に浸かります」
「うむ」
女王ユーカナーサリーはサウナの熱さから一変して、水風呂に入る。
低い湯船の底が見えている為に、何の戸惑いも無く湯船に入れる。が、
「越える者よ!何の責めじゃ!」
熱いから冷たいを全身で味わって、女王様少し素が出ちゃった。
「王よ、2パーシィです。今暫くお待ち下さい」
女王ユーカナーサリーは、水風呂を上がると、リラックスチェアーに案内された。
ズレヅノォグロマジチキシェの造作した、リラックスチェアーだ。
「我が王よ、この工程を2、3度繰り返しますのがサウナの醍醐味となります。如何ですか?」
「うむ、初と成る物、行為と成れば何の様な事ぞ。しかし、何事も体験に勝る事は無い。確かに安堵成る気概とは成る」
「はい」
「トキヒコ殿、越える者よ、そしてエルフ湯に携わった者、今後携わる者。皆誉れ成り!」
エルフの里国の王は、満足して下さったようだ。
「我は再びサウナ風呂を体感するぞ。そして浴槽に戻ろう」
女王様、お風呂でダメダメエルフになっちゃいそうだ。




