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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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122/296

エルフ湯の開店!

私達はわがアパートに戻った。

「いやぁ~凄かった。エルフ達の力を見せつけられたよ」

リーザは隣で微笑んでくれている。

あれと同じ物が、ココにあったら、絶対に流行る!

「さくら、さくらの絵を飾る場所も決めたぞ」

「うん!」

それと、もうひとつのピースだ。

「リーザ、お裁縫は出来る?」

「はい、どうされました?」

「うん。『エルフ湯』の出入口用に『のれん』を作って欲しいんだけど」

出入口の寸法は(大体)測って来た。

「この間、健康センターに行った時に、のれんを潜って入ったでしょ、あれが『エルフ湯』にも欲しいな」

「ええ、是非そうしましょう」


今のエルフ達の働きっ振りを見たら、もう大きな問題も無く、順調に『エルフ湯』はオープンを迎えるだろう。

「リーザ、もうすぐ設備も完成して、『エルフ湯』がオープンする日も近いと思う。何か注意事項ってあるかなぁ?」

「この度のエルフの里国における銭湯、大衆浴場となりますね、ユーカナーサリーは『エルフ湯』とおっしゃってますが、私達エルフの社会では、法律的な公衆浴場法も営業許可申請も必要ありませんので、特には無きに思います」

何か有れば女王様がお決めになるか、指示を出されるだろう。

そもそも、エルフの社会には法律も規則も規制も無い。

「でも、お風呂を皆で利用して行く決まりは作ろう」

「決まり、規則ですか」

「うん。まあ、少しだけ」

私が決めた、このお風呂『エルフ湯』での決まり。

1.他のエルフに迷惑を掛けない。

1.お風呂で走らない。

1.湯船で糞尿禁止。

1.混浴禁止。

1.仲良く入る事。

まあ、こんなとこだ。女王様は嫌がるかもな。


そして、いよいよ『エルフ湯』のオープンの日となった。

女王様がいらっしゃる事もあって、この場に集まった大勢のエルフ達が畏まって王の言葉を待っている。

私は女王様にお願いし、今回この銭湯(お金は取らないけど)の建設に携わった者、今後運営に携わる者達を集めてもらった。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは上機嫌だ。

女王様はエルフらしからぬ感情と表情を普通にお出しになる。

早くお風呂に入りたいのか、私はリーザと共にお側に立っているので、ソワソワ感が伝わって来て微笑ましい。

「皆の者、誉れ也」

いやにあっさりとしたお言葉だが、女王様の意識はエルフの皆に伝わる。気持ちが伝わっているのだろう。

言葉と気持ち、実際に相手のどちらを受けたら強く感じるのだろう。

人間であっても伝わる気持ちを感じる事は出来る。でもこの場では私はエルフでは無いので、言葉を聞いて得た感覚しか感じられない事が残念だ。


「トキヒコ殿、『エルフ湯』の開場と成る。一番風呂は我と一緒に入る事ぞ。尽力した貴公を労わなければ成らぬ」

あー女王様、乗り乗りですけど、混浴はちょっと。

「そうです、この銭湯の建設に携わった者達を労う為にも、集まってもらいました。しかしですね、銭湯は『女風呂』『男風呂』に分かれております。『混浴』はございません。よって私は女王様とは別々での入浴となります事をお許し下さい」

「我とは入れぬと申すか」

「ええ、ここではそう言う決まりになりますね」

私は入り口に有る、決まりの書かれた大きな木製プレートを指差した。

(リーザに書いてもらった)

「我らはエルフぞ、我らに決まりなど不要」

「ですが、決まり事にがんじがらめな人間が加わって作りましたので、こうなりました」

まあ正直な所、こんなに当たり前の事を誰かに言われないと分からない者が居るのが人間なんだよなぁ。人間の愚かさを露呈しているみたいで、逆に恥ずかしいのだが。

「う~む、致し方がない事か。良かろう。そもそもトキヒコ殿に頼んだのは我。この決まりに文句の有るエルフは、我に言え」

文句の一番手は女王様です。


女王ユーカナーサリーを先頭にのれんをくぐる。

リーザに作ってもらったのれんは、バッチリだ。あの温泉マークも刺繍とパッチワークで仕上げてもらった。

のれんをくぐった直ぐ正面には、番台が作られている。

ザドエッタがいそいそと、番台に上がった。

「トキヒコ殿、何故『西家建者』は、此方に上がる?」

「ええ、これは番台と言って、私の人間社会ですと入場料を支払う場所です。それと、見張りの役も有ります」

「見張り?とな」

「はい、この『エルフ湯』の決まりに反する者が居ないかの監視です。『男湯』『女湯』に、それぞれ分かれて入る為でありますとか、この場で皆が心地よく過ごせる為の指揮者相当の者となりますね」

女王様は少し納得してないみたいだが。


『男湯』は私を先頭に脱衣場に向かった。

おおー、広い。実際に完成となると、脱衣場の印象がちがう。

天窓から日射しが入り明るい!ロッカー相当の棚も綺麗だ。エルフは貴重品を特に持ち歩かないだろうから、こういった棚で十分だ。

風呂上がりの水飲み場もレバー式の蛇口相当の物が有り、木製のコップも多く備えられている。

風呂上がりも楽しみだ。

先日、皆の前で一度裸になったから、スパッと服を脱いだ。

タオルも持たずに、フルチンだ。

扉を開けるとお風呂場の湯気と熱気が充満している。

大きな湯船は薄く綺麗な黄緑色のお湯を湛えている。

充満している湯気も雰囲気も正に銭湯や旅館の大浴場そのもの!バッチグーだ。

先ずは洗い場に向かい、目の前に有るレバーを引き倒す。

頭の上からバシャーとお湯が落ちて来る。お湯の温度、勢いもバッチリだ。

ズレヅノォグロマジチキシェの仕事っ振りが光る!

備え付けられている、ヘチマの様な物で体を擦り、再びレバーでバシャーと。

他の男エルフ達も続いた。


「では、スルガトキヒコ、入らせて頂きます!」

まあ、こんな宣言は必要無いけど、雰囲気ね。

完成した大浴槽、薬草の湯は、綺麗な薄い黄緑色のお湯を湛えている。

そーと、足先を入れる。ちょっと熱目だ。

湯船の底に足が届いたら、ドボーンと少し勢い良く入った。

気持ちいい~!

男エルフ達は、座ってお風呂に浸かる事が初めてなので、少し恐る恐る、、、でも、誰からか『ドボーン』『バシャーン』と来だした!

「本当は、そおっと入らなくちゃダメなんだよ!だけど今日は良し!」

皆が、50人程いた男エルフ全員が湯船に浸かった。

湯船のお湯は溢れたが、湯口からは薬湯が煌々と流れ込む。

「みんな、どう?!」

エルフ達が唸ってる。

分かる。皆お風呂にゆったりと浸かり、いい気持ちになってるみたいだ。

奥の壁の戸を誰かが開けてくれた。

爽やかな風が入り込み、目線の向こうにはジオジエラ湖が見えた!そう、自然の景色を見ながらの入浴はいい!最高だ!

いつの間にか、すっかりお風呂好きになっちゃたよ。

こんな立派なお風呂、大浴場が出来るなんて、何か嬉しくて涙が出そうだ。




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