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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフのお風呂作り 建設部隊の集合

お風呂のイメージはまあ、まとまった。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに、描き上がったエルフの銭湯のイメージ画と建物や浴槽、サウナ室の構造案を提出した(リーザが一人で王宮に訪問した)。

「トキヒコさん、トキヒコさんにも見て頂きたかったです。ユーカナーサリーは食い入るように、お渡ししました書類について見られてました。質問攻めにも合いました」

リーザも楽しそうだ。

「で、イメージ画を見た女王様の印象は?」

「良好、ですね」

ふぅ~、何とか第一段階突破かな。

でも相手はエルフ。それも女王様である。何か根本的なミスを発見されたり、何か突拍子的な案が追加されるかもな。


「痛った、たたた、、、」

イメージ画の提出をした3日後に、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーのご訪問だ。

「先日はよいモノを頂いた。礼を申さねばなら故、邪魔する事を許せ」

王様であられるのに、いつも謙虚だ。

「私の拙いモノに対し、ご賛辞頂きありがとうございます」

「何、なかなかに分かり易く、尚且つ我の求む事と相違近し事ぞ。またの、サウナ為る設備、リーザから説明は受け是非ともじゃ、我らの里国でも再現したく思うたぞ」

わー、女王様を早くサウナに入れたい!

「トキヒコ殿、次の休日成る日は、我が里国に来て頂きたく思うが、如何じゃ?」

「はい、大丈夫です」

「うむ、我らのヴァンナ、風呂じゃが、トキヒコ殿のイメージされたモノを作り出したく思うぞ」


「そこでじゃ、エルフを紹介するよって、引き続き力を借りたいのじゃ」

「紹介って、設計士とか大工、工事関係者か何かですか?」

「まあその様な者達じゃ。我らの湯殿作りに我の勝手を聞く者を集める」

王様であられるので、強制労働の命を下すのか?

「それとなトキヒコ殿、湯殿の名は決めとるぞ。エルフ・ヴァンナ。こちらの言葉で表現するならば『エルフ湯』じゃ!どうじゃ!」

ん~、エルフ・風呂で『エルフ湯』、、、そのまんまな気が。

王様であられるのに、語弊力が弱くないか?


次の休日の土曜日にエルフの里国に女王様の魔力によって、私は『繋ぎ』渡った。

「痛った~たたた」

リーザはさくらと共にリーザの術の力で、エルフの里国に『越え』て来た。

エルフの王宮内の1階の奥に位置する『集まりの場』という場所に通された。

初めて入る場所で、こんな広間が有ったんだ。

100畳ぐらいあるのかな?そんな広さの部屋に、片側に30人座れる3つの長テーブルが並んでいる。

左右の壁は大きく切り開かれていて、部屋の中は明るい。

右手は廊下を挟んだ外窓の向こうに、トゥクルトッドドゥー達が居るであろう小高い丘が広がっている。

そして、この部屋には100人近くのエルフ達が、男エルフ、女エルフを問わずに集まっていた。ちょっと圧倒される。

見た目も屈強な者達が集まっている。

エルフを紹介すると言われたが、こんなに大人数と一度に会するとは思って無くて、ちょっと焦った。


「皆の者、よくぞ集まってくれた、礼を申す」

(女王様が口を開いたが、エルフの言葉なんで分かんない)

「此度の発端は我の我儘である。されど、後々に皆に繋がる物と成る。よって、我の我儘に付き合え!」

「「「 ぅぉ~ 」」」

と、エルフ達が小さく唸り、足がドンドンと床を踏み鳴らした。

続いてリーザが女王様の横から出た。

やっぱりエルフの言葉で何か言っている。

「ん?」

「トキヒコさん、お願いします」

「え、何?」

「自己紹介と内容の説明を」

さくらと演台から少し離れていた所で、ちょこんと座っていたのだが、突然に振られた。

「ええ~、エルフ語分かんない」

「いえ、何時も通りでお願いします。トキヒコさんの言葉でお願いします」

あー緊張する。それと言葉。いいのかなぁ

さくらの描いたお風呂の絵を簡易な木枠に入れ、それを抱きつつ立ち上がった。

演台に向かう。

「えー、初めまして。私はスルガ トキヒコと言います。皆さんすみません、私はエルフ語が出来ません」

集まって居るエルフ達は『うんうん』と、「気にするな」ぐらいの態度を取ってくれてる(多分)。

先日女王様に提出した、『エルフ湯』のイメージ画と構造案をA3用紙に10枚づつ、コピーしたのを回してもらった。(足らんかったな)

「今回、縁が有りまして、エルフの里国でお風呂を作る事になると女王様よりお聞きし、何かの参考になればと考えて来ました」

エルフ達は『縁』に反応してた。それとイメージ画もそうなんだけど、同じ絵が並ぶコピーされた用紙にも興味を示している。

「お配りしました、この様なモノが皆さんで製作可能でしょうか?」

私の問に対し、リーザが皆に声を重ね掛けた。

すると、大体4つのグループに分かれた。

「リーザ、何の班分け?」

「はい、それぞれの者が自分の出来そうな事、得意そうな事、興味を持った者に分かれたと思われます」

皆、自発的に動くんだ。

大まかに、建物、大浴槽、サウナ室、水風呂に分かれたようだ。


リーザとそれぞれに分かれたグループに歩み寄る。

「こちらは、ストラシィ~建てる者、大工相当となる者達のようです」

大工さんの集団か。

「建物の大きさはどうでしょう?」

男湯、女湯、それぞれに大浴槽とサウナ室も有る。

「中身の大きさが決まらないとなぁ」

全体を監督する、現場管理相当者をこのグループの中から出すようにお願いした。

各所と調整を行わなくてはならず、女王様にもその旨をお伝えした。

「うむ、現場監督者成るか。この場をまとめ上げる調整者と成る事か。うむ」

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、一人の女エルフを指名した。

『西家建者』の呼称を持ち、私はザドエッタ(ザドエッタ・ブドゥワック)と呼べば良いと紹介された。

なかなかに逞しく、力強そうなカッコイイ女エルフだ。

握手をしようと右手を差し出すも、戸惑いの色が顔に出る。

リーザが隣で、エルフの言葉で促してくれた。

ザドエッタから恐る恐る差し出された右手を握った。

「あーーー!強い、強い!」

痛ってーな!折れるかと思った。苦笑い。

私が叫んだから、皆の視線を集めちゃったよ。

「皆の者」

女王ユーカナーサリーが口を開くと、声の大小に関わらず、この場に居る全てのエルフは注視する。

(エルフの言葉なので、私、分かりません)

「『西家建者』が此度の湯殿の建設に関する仕切りを行う。スルガ トキヒコ殿の言とこの者の言は、我の言として捉えよ。異存有る者は申し出よ」

女王様、毅然としてらして、カッコいい~!


『エルフ湯』全体の建屋の大きさは、中の施設(浴槽、サウナ室、水風呂)の大きさや配置が決まらないと、正確には出せない。

私が描いて来たのは、計画図なので、細部の寸法までは出せていない。

女王様は『イメージを伝えよ』との事であられたが、実際にエルフ達が何を(材料)どうやって(建築技術)取り組むのか理解していないので、寸法までは入れられ無いのは正直な所だ。

それでも、番台を置くイメージや、脱衣場について説明した。

それと、お風呂から上がった者がくつろげる空間が欲しいと、横に長いベンチが、一室をコの字になるような絵を描いた。

三人のエルフが立ち上がった。

「ズレヅノォグロマジチキシェ~木材で組む者、建具屋さん相当の者となります」

脱衣場の棚の作製もお願いした。


続いて立ち寄った所は、大浴槽の構造案を広げている。

「カニエンプラツァ~石工作や、石を切り出す者達の様です」

浴槽は、大人エルフ達が横並びで5~6人ぐらいで一度に湯に浸かれるぐらい大きいやつ。

石組みで作られていて、周囲は角材が囲む様に乗る。

その木の材料は、ヒノキみたいに香る木がいい。

「どの様な“香”を求むるのか?」

わぁ質問来た!でも、あの香りを口で伝えられない。

「リーザ、何かヒノキの様に香りの良い樹木はココには有るのかなぁ?別段ヒノキで無くても、エルフ達が安らぐ様な香りを感じる木」

「安らぐ香りでしたら、そのニュアンスは伝わるでしょう」

リーザが通訳となって、話してもらう。

また、タイルの様な平らな石を浴槽や洗い場に敷き詰めたい。数多く欲しいと言ったら、もう一段屈強そうなエルフ達が立ち上がった。

カニエンプラツァ、力持ちそうで、たくましい!


次はサウナ室の様だ。

ここにも、ストラシィ(大工)やズレヅノォグロマジチキシェ(建具屋)が集まっているそうだ。

サウナ室は屋内に小屋を作る感じだ。

木組みの部屋を作る。部屋の中は壁に沿って階段式の座り場に囲まれる。

もう、私の知るサウナ室そのものになるが、気密性は高くしないとな。

サウナ室に関しては、リーザの描いたイラストが的確だ。実際にリーザはサウナを体験して来たばかりだし。

工作に関しては、思いの外、スムーズに理解し受け入れられたようだ。

だけど、あのサウナの独特な蒸気が籠る部屋としては、リーザからの説明無しでは伝わら無かっただろう。

あー、リーザが敵情視察として、サウナを体験しといて良かった。


水風呂

これは木組みの水槽を作る。余り大きく無く、深くない物を。

一度に大人数が入る分けでも無いだろうから。

どちらかと言うと、エルフ達の今のお風呂の変形版でいいと思った。

でも、その浴槽の高さ、深さに対して迷う者が多かった。

私は実際に床に座り、日本に有るお風呂のイメージを伝えた。

エルフ達の戸惑いは、多分解消されたと思うけど、今まで立って入っていたお風呂に座って入れと聞かされても、実感が沸いていないようである。


現場監督に任命された、ザドエッタと打ち合わせ(説明)を続けた。

この施設全体と浴室全体それぞれに、ヴォダ(水)やお湯、薬草風呂用の別配管などの設備の提案した。

水の引き込みやお湯を作る“熱鉱石”の配置や誰が何時『術』を用いるのかは、エルフ達に丸投げだが。

『薬湯』となる薬草はリーザからザドエッタに説明してもらった。きつく無い、優しい何かの薬草を。

トイレの設置と“熱鉱石”を使った追い焚きも提案した。

エルフの里国で出来る事、出来ない事が分かって無いので、どうしても一方的な話しになってしまう。

だから色々と、案を振るだけだが、エルフ達は真剣に考えてくれる。

お風呂作りの素人である私の提案や意見に対して、エルフ達はそれぞれが自分の事として考え、取り組む姿勢を見せてくれる。

女王様の勅命だ。

でも、エルフ達は他人事との反対の意味で、私達の世界で使われた『自分事』の精神を持っているのだろう。

彼らは素晴らしい。

そんなエルフ達がこの大衆浴場だか銭湯に対してどう理解し、どういった物を作り上げるのか、楽しみでならない!

あ、『エルフ湯』か。



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