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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフのお風呂作り エルフ湯建設現場巡回

『エルフ湯』建設の現場監督であるザドエッタからの報告は、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの元に随時届いているとの事。

「トキヒコ殿、『エルフ湯』は順調ぞ。だがな、我が現地へ赴くと皆の気が散る。故にトキヒコ殿、済まぬが我に代わり様子を見て来てくれぬか?」

女王様の頼みを断れる分け無いじゃんか。

でも、打ち合わせを行なってから約1ヶ月。あの時から実際の現場の状況がどうなっているのか。

実際にどんな風に進んでいるのか、見に行きたい!


『エルフ湯』の建設現場は、エルフ達の水源であるジオジエラ湖の近く、ジオジエラ湖からの風が届く場所。

「ここで『エルフ湯』は作られてるんだ」

女王ユーカナーサリーから知らされた建設現場はジオジエラ湖が近い、エルフ達の食堂の建物も見える。

建設地にはトゥクルトッドドゥーに乗って来た。

今回もトゥクルトッドドゥーのヅリュースに乗せてもらった。

リーザはサーシャインにさくらと二人乗り。

でも今回は、さくらと同じ年に生まれた『ウメ』と他の5頭のトゥクルトッドドゥーを連れて来た。

何か団体さんだが、トゥクルトッドドゥーも遠出をさせる機会が必要と聞かされ、引き連れて来る事となった。


「ザドエッタ、元気?現場は順調?」

現場監督であるザドエッタが少し浮かない顔をしている。

「トキヒコ殿、越える者、さくら、ご機嫌如何か」

ザドエッタは日本語で答えてくれる。

でも、エルフ独特の無表情か?いや違う。

建設現場に目を向けると、大まかな基礎に当たる部分は、位置が出ている。

でも、こんなもんか?何かエルフの力が発揮されていない様に感じる。

「ザドエッタ、問題が有るんだね」

私は優しく問いかけた(つもり)。

「ええ、実は、、、動きが悪いんです。皆作るべきヴァンナも建物もイメージは共有出来てるのに、手の進みがかんばしく無く感じます」

ザドエッタは、皆を纏める事がままならず、責任を感じているようだ。

そもそもエルフは責任など持たずに、覚悟を持つ者。

自身で選択して、この建設作業に参加したが、現場監督は女王ユーカナーサリーから任命された事。

名誉な事と同時に、どこかで、なにかを重責に感じてしまっているのだろう。

まあ、人間であり、エルフの里国の純然たる民ではない、私と立場は全く違う。

それに今日この場を訪れ、エルフ達を見て感じた。

エルフは未知な物事に対し、それが理解のゴールが見出だせ無い事に対して戸惑う。

その傾向が少し出てるのかも知れない。

理解はしたと思っても、やはり異世界の異人が言う見た事も無いお風呂。

たかだかお風呂だが、戸惑う対象に大も小も無い。同じだ。

女王様、何か感じられていらっしゃったな。


よしっ!ここは一丁、実践あるのみ!

「ザトエッタ、ちょっと、こんなのを作って欲しい」

私は1800×800×深さ700のサイズの木箱を平板で作ってもらった。簡易型の湯船だ。(蓋を付けたら棺桶だな)

合わせて、簡易でいいので四角い桶を3つ作った。

そして今いる、建設現場のエルフ達に集まってもらった。

「よし皆んな、今日は休みだ。労働しなくていい日。だけどその前にちょっと付き合って」

私は、エルフの大男達に急遽作った風呂桶を担いでもらい(二人で担いじゃった)、四角い桶を持って、ジオジエラ湖のほとりへ向かった。

あの食堂の近くだ。

食堂に居たエルフ達は、木箱を担いで行進して来たエルフ達を何事かと外に出て来た。

私を認識した食堂に居たエルフはサムズアップして来たので、私もサムズアップで答える。

「リーザ、食堂から“熱鉱石”を借りれるかな?」

リーザは私がやろうと思っている事に気付いてくれている。

「お待ち下さい」

リーザは食堂へ駆けて行った。

「よし、ではここに木箱を降ろして下さい」

木箱が降ろされる。

「では次に、バケツリレーでこの木箱に水をいっぱい貯めて下さい」

バケツリレーは身振りで伝えた。

力強いエルフ達の行動は、あっという間に木箱の浴槽に水を湛えた。

でも、しっかりと作った分けでは無いので、周囲に水が漏って来てる。

「お待たせしました」

食堂から戻って来たリーザの手には、ソフトボール程の“熱鉱石”が握られている。

「リーザ、このお風呂を熱鉱石で40℃に出来る?」

「はい!お任せを」

リーザから渡された“熱鉱石”を『ドボン』と入れた。

リーザがすかさず“熱鉱石”に『術』を流し込んだ。

1分も立たずに、木箱の湯船に貯められた水から、湯気が立ち登り出した。

思ったよりも早い!う〜ん、便利だ熱鉱石!

木箱の湯船にお湯が貯まり、お風呂が出来た。でもここからだ。

私は意を決して大勢のエルフに囲まれる中、服を脱ぎ裸になった。

湯加減を確認し、木箱の湯船に入った。ドボ〜ンと。

「こうやって入るのが、今皆んなで作ってるお風呂だ。どう、イメージ固まった?」

あー恥ずかしい。

私は木箱の湯船を抱え、足を伸ばし、頭を後ろに逸らしてこの屋外風呂を満喫した。そうして目を閉じないと居られないぐらいにエルフ達に注目されている。

でも、水漏れの湯船は水位を下げて行く。

あー、ダメだ。

目を開けたら、目の前にはジオジエラ湖の美しい景色が飛び込んで来た!これ、いい!

「どう、分かった?これを大きくしたのが、今作っているお風呂。こうやって、座ってゆったりと入る。でも、浴槽はちゃんと組まないと水漏れしちゃうからな」

振り返ると、食堂からこちらに来ていたエルフの数人が裸になって、列を作ってる。

「何やってんの!?」

「トキヒコのやる事間違い無い」

いつからそんな信頼?を得た?

でも何か援護射撃を受けたみたいで嬉しい。

だけど、私がこの木箱の湯船から出た時は、殆どのお湯が漏れ出ちゃってたが。


「さあ、今日は休みだから明日からまたお願いね」

しかし、誰一人として帰るエルフは居なかった。

「何?今日も現場に入る?」

「「「おおぉぅ」」」

と賛同された。

木箱の湯船を持って引き上げようとしたら、食堂に居たエルフ達に置いて行けと頼まれた。

でもそれ、漏っちゃうよ。




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