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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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エルフのお風呂作り

「トキヒコ殿、我が里国にも貴公の世界に有る、湯殿が必要と考えておる」

 お風呂~!?


 私は今、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに“花の間”にて謁見中だ。

 女王様の暇つぶしの相手とも、、、。

 リーザはさくらと共に、エルフの王より王宮敷地内で、王宮の近くに与えてられているリーザの住居でおやつ作りを行っている。

 私だけ、ちょっと呼び出された。


 エルフの里国にも風呂は有る。それはリーザに教えてもらったし、実際に入った事もある。

 “熱鉱石”にエルフが『術』を流し込み、発生させた熱を利用して、水をお湯へと温める。

 便利だ。無公害でもある。

 でも、湯船は木製で1m四方ぐらい、高さ深さが160~170cmぐらいの縦長の箱。

 そこに、手摺用の丸棒が湯船のひとつの角部分、そして底から1本が天井まで立っていて、縦長の湯船には、踏み台で上がったり、高い床になっていたりと、エルフ達は立ったまま一人づつその手摺用の棒を持ちつつ湯船に浸かる。

 変な、、、いや、変わってる。

 まぁ、人間の一般的なお風呂と比べちゃうからだろうけど、、、変。


 大人のエルフ達は胸辺りになるから、少し屈めばいいけど、子供エルフや女王様(155cmぐらい)、溺れんか?

 今までの私の『お風呂経験』からすると、やっぱり変。

 シャワーも有るけど。

 浴室に繋ぎ込まれた四角い木製パイプから、打たせ湯の様に、これも熱鉱石にて温められたお湯が流れ出す。

 これはバシャバシャとして、良い。

 でもやっぱ、繰り返すけど浴槽は変。


「女王様、どの様なお風呂をご所望されるのですか?」

 突然にお風呂だなんて。それも私の世界版だなんて。

「トキヒコ殿も存じておろう。我らのヴァンナ、風呂は各自が立ち姿にて入る事となる。あれは、効率は良い。だが、湯殿で効率を求む事も無かろう。エルフによっては危険を伴おう者も居る」

 あ、もしかして、やっぱ女王様、お風呂で溺れ掛かった事が?

 エルフの里国の者達は、泳げない(積極的に泳いだりしない)から。


「貴公の世界の風呂を知ってしまったら、比較は止も得ぬ事ぞ。尚且つ、貴公の国では『風呂文化』として昇華されておる。我が里国にて取り入れぬ事にはがからぬ程ぞ」

 あっ、自分がゆったりお風呂に浸かりたいんだな。いいでしょう!

「では女王様、私に何が出来ますでしょうか?」

 わが家にお越し頂いた時に、テレビやネットで学習済みだろうになぁ。

 事実数回、我がアパートの狭いお風呂にも入って頂いた事はございますが。


「アドバイザー?と言うか。設計士か現場監督と申すか。我が里国の風呂作りに、一肌脱いでくれぬか」

 お風呂だけに“一肌脱ぐ”とは、上手い事をおっしゃられる!

「ですが女王様、私は建築家では無いのですが」

 建設現場の設備関係は、色々と納めた事は有るけれど。

「イメージ。そう、イメージを我らエルフ達に伝えれば良い。材料の調達から細かな調整は、我らで行おう。ただしな、スペシャルなヤツを頼もうぞ」

 スペシャルって、、、これってもう決定事項だよな。


 リーザの住居に向かう。

「ただいま~」

「あ、お父さん、おやつが今、出来たよ!あーお帰りなさい」

 さくらが元気に迎えてくれた。

「トキヒコさんお帰りなさい。我が王は、ユーカナーサリーは如何でしたでしょうか。何かおっしゃられました?」

 リーザとさくらは何か焼き菓子を作ったのかな?いい匂いがする。


「うん、女王様、お風呂だって。それより何を作ったの?いい匂い」

「はい、さくらと共に一種のパンの様なモノです。生地に甘味の強い果物の実を混ぜ込み、焼き上げてみました。こちらで準備出来ます材料にて挑戦しました初物です!」

 お、リーザ何やら自信作か!

「頂いてもいい?もう匂いに誘われてるよ」

「はい、是非!お茶も淹れましょう」

 元々備え付けられていた、白いテーブルにリーザ作の新作おやつ、お茶のセット、水飲みの器具が並べられた。

 さくら用の子供椅子も新たに作って頂いた物も有る。

 この椅子を作った、エルフの工作技術は素晴らしい。

 木を切り出したり削り出す、大きな機械などは当然無い。何事も基本手作業だ。

 しかしまるで、何か特殊な機械や道具でも使ったみたいに、左右の寸法が均等であったり、また独特のアールの付いたデザインラインで仕上げられている。素晴らしい。

 エルフの皆様のおかげも有り、リーザの住居でも家族団らんの時間が得られる。


 リーザの新作菓子、美味しい。コレはイケる!

「うんリーザ、美味しい。新作大成功だね」

 リーザは微笑んでくれる。

 さくらは半焼けでジャムみたいになった果実の実で、口の回りが大変だ!

「女王様はお風呂が作りたいと、私の世界のお風呂を希望されたんだ」

「ヴァンナ、、、お風呂、ですか」

「うん」

「確かに、私達エルフのお風呂は人社会、特に日本のお風呂と比べてしまうと、滑稽に見えてしまうかも知れません」

 いやいや、確かに“変”とは思ったけど、滑稽だなんて、滅相も無い。

「私もトキヒコさんのアパートに有りました、初めて入りました湯船の広さ、腰を着け足を伸ばしての入浴に驚きを隠せませんでした。良いモノと感じました」

 我がアパートの浴槽では、リーザの足は伸ばせられません。狭いの。


「それとですね、」

「ん、何?」

「自分意外の誰かとひとつの湯船に浸かる心地よさ。トキヒコさんに教わりました。」

 あーリーザ、子供の前なんですが。


「『肌と肌とのふれ合い』ですね。」

 あー、ちょっと恥ずかしいなぁ

「でもさ、私の世界の科学や文化を持ち込んでいいのかなぁ~」

 余り人間社会のモノをココに持ち込みたくはないんだよなぁ。


「ユーカナーサリーはご自身の判断で、その影響の度合いを鑑みた結果と思われます」

 いや、単にご自身が個人的にお望みの様な気がしたが。

「我が王が、ユーカナーサリーが良いと申された事は良いのです。それが私達エルフの望む事と成ります」

 女王様に絶大な信頼!まるで信仰心だな。

「まあ別段私も日本的なお風呂がエルフの里国に出来たとしても、何かの悪影響が出るとは考え難いと思うけど、、、」


「いやでも、お風呂が気持ち良くって、お風呂にばかり浸かっちゃって、仕事が疎かになるエルフが出たりして」

 うん、影響出るぞ。

「その様な事は、、、分かりませんね。日本のお風呂は魔物的に気持ちの良さを提供しうる存在かも知れませんね。」

 魔物的って、、、


 お風呂入ると気持ちがいい。良く湯船に浸かりながら、鼻唄歌ったり、ウトウトとしちゃうし。

 でも、実の所、私は特別お風呂好でも無いんだよなぁ。

 温泉ブームとかの時でも蚊帳の外。

 温泉宿の料理は好きだけど、お風呂好きや温泉好きの人って、何回もお風呂に入ったりして、、、

 これを機会にエルフと一緒にお風呂好きになるのもいいか。

「良し、いい風呂を作って、怠慢エルフを産み出そうじゃないか!」

 変な決意だが。


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