海に行きたいエルフの王様 女王様海へ
リーザは濃いブルーの水着に決まった。
リーザの水着選びは、身体の計測から始まって、「あーでもない」「こーでもない」と言う前に、色々と(自由に想像~妄想~して下さい)ありました。
だから水着が決まるまでには、すっかり夜が更けてしまった。
今回もビキニタイプだが、上下共にサイドが幅広で少しクラシカルながら、スポーティーな感じでかっこいい。
コレは、似合う!まあ、リーザは何を着ても似合うんだろうけど。
さてさて、女王様はどんな水着をお選びになるのか、楽しみだ。
私の分は、今までのでいい。
海水パンツを替えた所で、少し成長して来たお腹は隠せない。
翌日の帰宅後。
「トキヒコさん、ユーカナーサリーが水着をお決めになられました。でもですね、当日までトキヒコさんには内密にせよと」
「内密~って、内緒か。女王様、なんか恥ずかしいのかな?」
まあ、エルフには下着や肌着を着ける習慣が余り無いみたいだけど、水着はペラペラの布一枚だからなぁ。
「ユーカナーサリーは、楽しみは取っておけと。そうですか、我が王の恥ずかしみですか。そうですか、有り得ますね」
え?リーザ感じ無かったのか。
ただ、ネットショッピングだから、購入履歴を見れば分かっちゃうけどね。でもそれは女王様の意に反するので止めておこう。
『楽しみの先延ばし』か、いいでしょう。待ちましょう。
「私とさくらの水着も含めまして、明日には配達されるとの事です。私も楽しみです」
「じゃあ、明日はリーザとさくらの水着のお披露目だね」
「はい!是非に!」
次の日曜日休みに、私の住む場所からは、比較的に近場となる海水浴場に行くことが決まった。
そこはリーザと新婚旅行で行った地域と同じ半島沿いとなる近隣の海水浴場であり、場所的にはそこより手前となる。
「さくら~、日曜日に海へ泳ぎに行くぞ」
「海~!行くー!」
「あ、リーザ、さくら泳げないよね」
さくらをプールには連れて行った事は有るが、幼児用の浅いプールや浮き輪に乗せっぱなしで、水に浸からせる程度。泳ぎを教えたり、練習なんてして来なかった。そもそも昨年の夏は、まだ2歳児だ。
「はい、今回海へと行くことが決まりましてから、お風呂にて訓練を始めました」
「訓練~?」
「はい、息を止め潜る程度ですが、さくらの潜水もなかなかです。私は負けてしまいそうです」
え~、多分リーザ、3分、いや5分ぐらい潜ってられそうなのに、、、。
「リーザ、それ潜らせ過ぎじゃない?さくら無理して息止めて無い?」
教育と言うか、発育に影響無いか?脳に酸素が回らなくなってとか。
「トキヒコさん、問題は無きに思いますよ。私もユーカナーサリーより授かりました、さくらに対する観察の『術』を用いております。さくらの波長を知るモノです」
へぇ〜、そんなの有るんだ。まあ、リーザが一緒であれば問題無しだろう。
女王様、リーザに『術』の一種を与えて下さったのか。『術』を教えたりするんだ。
「そっか、さくら海に行ったら泳げるぞ~」
「うん!泳ぐ!」
まあ泳ぐのならば、断然プールなんだけどね。
そして日曜日、天気は良かった。
多分、確実に暑くなる。天気予報も当たり前の様に真夏日になると、慣れた口調で言っていた。
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは朝からわが家にご訪問頂いた。
水着にも別室でお着替え頂き(何かギャーギヤーときついとか薄いとか締め付けられるとか聞こえて来たが)、水着姿はまだベールに隠されている。
女王様のお出掛け用に真っ赤なワンピースをリーザに調達してもらっていた。その服に着替えて頂いている。
ヒラヒラとするスカートに戸惑いを見せたが、さくらの
「可愛い」
の一言で悦に入った。
リーザと女王様、二人とも海水浴用に髪をアップにセットしていて、カッコいい!
「トキヒコ殿、コレ成るが車か、自動車か」
「はい、女王様にお乗り頂くには、余りにもお粗末な車で。立派な高級車で無い事はお許し下さい。私の身分相応の車でございます事をお許し下さい」
私の愛車は1300ccのファミリーカー。
負け惜しみでなく、私コンパクトな車が好きなんよ、それが速かったら尚更いい!でも、速いはちょっと我慢。
予算の事は確かに有る。
確かに大きい車は運転も楽で、今回のような遠出をするには特にいいだろう。でも、狭い日本の日常の中で、大きい車って取り回しが面倒だし。
身の丈に合った車としても満足している。
「遅い、、、の。」
あ、この反応、以前も誰かが?
「ユーカナーサリー、一般車道を走る車は、こんなモノですよ。四方を車体に囲まれてますので、体感速度も感じ難いですし」
リーザも以前、車の速度に関して“速く無い”的な事を言っていたけど、エルフのスピードに対する感覚は人とは大分違いそうだ。だけど、私からしたら、ゆっくりとした生活環境を、それこそスローライフ的に過ごしている様に思うのになぁ。
この2人がスピード狂なだけ?
車を走らせる事約2時間。リーザと新婚旅行で来た海岸と繋がる半島の海水浴場。そこより手前。
有料駐車場に車を停め、ここが経営する海の家に向かう。
(あ~予約もせずに、スッと停められて幸運だ)
駐車場から海の家まで道路を挟んで50mぐらい。四人で連なって歩いて向かう。
夏の日差しは、暑い!強い!熱い!
海に来ると日差しの強さも増す感じがするのは、気のせいか?
「ん?匂うの」
「はい、潮風ですね。海の香りです」
砂浜の直前、コンクリートブロックの防波堤でエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは足を止めた。
コンクリートブロックの防波堤に登り(階段が有る)海を一望した。
「こ、これが海。そして波、、、」
「ただならぬ力じゃ。ここまでの規模の動作、尽きる事無く繰り返し繰り返し、、、」
お、初めて海を見られて感動されてる。
「我は対峙せねばならぬが、如何にせよ!」
え?
「あ〜ユーカナーサリー、海水浴は海に対峙しなくていいんです」
「な、何と申す!これ程の力を目の当たりにし、為す術無く我に引けと申すか!」
「いえいえ、海水浴とは、海に入る事です。ユーカナーサリーもテレビか何かで観られませんでした?」
テレビとかネットを観たので、海水浴を所望されたんじゃないの?
「う、うむ。確かにそうじゃった。我が観た画面からは、多くの者が我よ我よと海に入って行く姿じゃった」
「はい」
「しかし人間は、これ程の力を眼前にし、物怖じせずに海へと入る。人間もなかなかに剛の者が居るよの」
あれ?女王様、ちょっと海を恐れてる?




